三菱自動車の不正 経営陣に報告されるも見逃す

三菱自動車の不正 経営陣に報告されるも見逃す
三菱自動車工業の燃費データの不正問題で、弁護士などでつくる特別調査委員会は、5年前にも社内からデータの改ざんなどの不正を指摘する声が複数寄せられ、経営陣に報告されていたにもかかわらず、会社は問題がないと結論づけ、不正を見逃していたことを明らかにしました。
三菱自動車は、主力の軽自動車で燃費をよりよく見せるためデータを改ざんするなど、過去10年間に販売した合わせて29の車種で不正を行っていたことが明らかになっています。
この問題で、外部の弁護士などでつくる「特別調査委員会」は、不正の経緯や原因などをまとめた報告書を公表しました。
それによりますと、燃費データの不正を行った開発部門では、平成23年に法令順守の徹底を図るため全従業員を対象に行ったアンケート調査で、「燃費を測定する走行試験の結果で虚偽の報告があった」など不正を指摘する回答が複数寄せられたということです。
こうした指摘は経営陣にも報告されていましたが、会社は十分な調査をせずに「問題なし」と結論づけ、当時から開発部門が行っていた燃費データの不正を見逃していたとしています。
また、経営陣が開発部門の業務が過剰になっている実態を十分に把握しないまま実力以上の目標を設定し、現場に任せきりにしていたことが不正につながったと指摘しました。
そのうえで、「不正行為が法規に違反していることへの意識が極めて希薄で、法規があまりにも軽んじられていた」として、経営陣と社員が一丸となって再発防止に取り組むよう求めています。

調査委「不正の原因は一体感のなさ」

特別調査委員会の委員を務める坂田吉郎弁護士は、記者会見で、「不正の原因は、会社としての一体感のなさだ。それぞれの組織が自分たちのことしか考えずに『タコつぼ化』しており、どういう車を作りたいのかという企業理念が共有されていなかった」と述べ、会社全体で企業風土の改革に取り組む必要があると指摘しました。