28兆円余の経済対策決定 GDP1.3%押し上げ見込む

政府は臨時閣議で、「未来への投資」の加速を目的として、リニア中央新幹線の全線開業の前倒しなどを盛り込んだ、事業規模が28兆円余りとなる新たな経済対策を決定しました。政府はこれにより、GDP=国内総生産を実質で1.3%程度押し上げることが見込まれるとしています。
それによりますと、国内経済は個人消費や民間投資が力強さを欠き、世界経済も減速するリスクがあるとしたうえで、内需を下支えするとともに、「未来への投資」の加速を目的とする総合的かつ大胆な経済対策を講じるとしています。
具体的には、子育て支援や介護の充実など「一億総活躍社会」の実現に向けた政策は3兆5000億円程度で、育児休業に伴う給付金の支給期間を延長することや、所得が一定以下の人たちを対象に1人当たり1万5000円を給付する措置を盛り込んだほか、返済の必要のない給付型奨学金も実現するとしています。
また、インフラ整備は10兆7000億円程度で、国が低い金利で資金を供給する「財政投融資」を活用し、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年前倒しするほか、大型クルーズ船が利用できる港の建設を促進するなどとしています。
さらに、イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱に伴うリスクに備え、中小企業に対する融資の拡充などに10兆9000億円程度、熊本地震や東日本大震災からの復興などに3兆円程度を盛り込みました。
経済対策の事業規模は28兆1000億円程度となり、このうち国と地方の財政支出が7兆5000億円程度、財政投融資が6兆円程度で、これらを合わせた「財政措置」は13兆5000億円程度となっています。
政府はこの対策を実施することで、GDP=国内総生産を実質で1.3%程度押し上げることが見込まれるとしていて、対策の一部を盛り込んだ今年度の第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針です。
また、臨時閣議では、経済対策に合わせて、来年度の予算案の編成にあたって一億総活躍社会の実現に向けた政策などに重点的に予算配分するため、4兆円程度の特別枠を設けるとした「概算要求基準」も了解されました。