テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)が夏休み期間限定で、関西2府4県に住む子供たちの入場料を無料にするキャンペーンを展開中だ。平成28年3月に迎えた開業15周年の記念企画で、「地域の皆さんへの感謝の気持ち」が実施の理由だという。だが夏休みといえば、黙っていても多くの集客が期待できる“稼ぎ時”。「入場ゼロ円」いう大胆なキャンペーンの背景には、常識を越えたUSJならではの戦略も見え隠れするが、「赤字覚悟」に二言はないらしい。(阿部佐知子)
USJの「子供無料」キャンペーンは、「海の日」(7月18日)までの3連休初日の16日にスタートし、9月4日までの日程で実施される。
対象は関西2府4県に在住する人で、大人(12歳以上、通常7400円)1人と、同伴する子供(4〜11歳と12歳の小学生、同4980円)の計2人分の入場券を、7400円で発売する。大人2人と小学生以下2人の4人家族なら、子供2人分の約1万円が“浮く”わけだ。
USJが同様の無料キャンペーンを実施するのは初めてではない。平成23年には、3月に東日本大震災が発生し、自粛ムードなどから入場者数が3割減となっていたため、5月から約1カ月半実施した。さらに25年夏には、子供向けエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」の来場者が1000万人を突破したことを記念して行っている。
今回の実施の背景について、運営会社ユー・エス・ジェイの森岡毅執行役員は「入場者減で厳しかった23年とは真逆の理由だ」と説明する。
USJは27年度、来場者が過去最高の1390万人を記録。無料を掲げて集客をする必要はないだろう。子供の入場料を無料にすることで、普段来ない大人が来場すれば売り上げ増につながることが期待されるかもしれない。だがこの点についても「経済効果があるのは、ベース(入場者数)が低いときのみ」といい、今回の無料キャンペーン実施は「正直、持ち出しの方が多い」と打ち明ける。つまり、最初から「赤字」を覚悟しているわけだ。
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