THAAD:中国、韓国配備批判に官営メディア総動員

 韓国に対する報復論の先鋒である環球時報は「韓国にどう報復すべきか」という専門家の対談を掲載した。中国国際問題研究院の楊希雨上級研究員。軍事科学院中・米軍事関係研究センターの趙小卓主任らは「韓国政府は自国民をだまし、中国との関係を軽視した。中国は韓国に強い反撃を加え、有事の際にはTHAADをたたき破壊しなければならない」と述べた。専門家らは経済・貿易分野での懲罰、国際社会の批判世論づくり、THAADに対する中ロの共同対応などを訴えた。中国中央テレビも慶尚北道星州郡でのTHAAD反対デモ現場、デモ参加者の主張などを繰り返し報じた。

 先月12日に中国が南シナ海の領有権をめぐる国際仲裁で敗れて以降、THAAD問題は中国官営メディアが扱う重要問題からは外れていた。南シナ海問題をめぐる国際世論を占う上で最大のヤマ場だった東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で中国は自国に対する非難声明を阻止するために総力戦を展開し、結局は成功した。

 北京のある消息筋は「習近平主席がTHAAD反対を公言した以上、中国は傷ついたメンツを取り戻すためにも強硬姿勢を取るはずだ。南シナ海の世論戦がある程度落ち着いたことを受け、THAAD攻勢を本格化したものだ」と述べた。中国の党宣伝部も官営メディアにTHAAD問題の焦点化を指示したとされる。ある国際問題専門家も「中国はTHAADが配備されるまで、現在のレベルあるいはそれ以上の攻勢を継続し、韓国社会に心理戦を仕掛け、THAAD問題を最大限有利な方向に持っていこうとするのではないか」と分析した。

 THAAD問題での攻勢は、韓国に対する報復の名分を積み上げ、中国国内の報復世論を高めることが狙いだとの見方もある。韓国に対し、「これだけ強く警告してもTHAADを配備するならば、その責任は韓国にある」とのメッセージを発するとともに、中国のネットユーザーの反韓ムードを刺激することが目的というわけだ。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース