2016-08-02
■シン・ゴジラ 予習復習のための「これだけは見ておけ」最短コース 
これからシン・ゴジラを見る人&見てきた人が、シン・ゴジラの関連作を楽しめる最短コースを考えてみました。「関連作品が多すぎてどこから見て良いのか分からない」という人のために入門編から上級編まであります。最短で30分で楽しめるのでぜひ検討ください。
■入門編
基本的に庵野作品を見るならば常識として抑えておかなければならない作品を最短で見れるように列挙してあります。
庵野&樋口コンビの最初期の傑作「トップをねらえ」第五話/最終話
時間がない人はまず第五話を見ましょう。第五話は三巻に入ってます。30分です。
第五話を見て、「すげえ!」と思ったら、続いて最終話を見ましょう。
この第五話と最終話は、庵野秀明脚本で樋口真嗣・庵野秀明が絵コンテです。いちおうトップ全体が山賀さん原作なので山賀博之もクレジットに入っていますが、実質的に庵野脚本で樋口演出(絵コンテ筆頭なのは最初の絵コンテを樋口真嗣が書いているからです)の最初の作品ということになります。
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庵野秀明総監督/樋口真嗣監督アニメ「不思議の海のナディア」35話〜39話
なんと原作は宮崎駿、設定は前田真宏(今回のシン・ゴジラでもデザインとイメージボードを担当)、キャラクターデザインは貞本義行(エヴァンゲリオン、サマーウォーズでもキャラデザを担当)、そして総監督は庵野秀明、監督は樋口真嗣という「シン・ゴジラ」のプロトタイプのようなアニメ。
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レンタルでいいから35話から最終話までだけでもみるべし。2時間弱で終わる。
「なるほど」と思うはず。
庵野秀明エンタメの真骨頂「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」
不朽の名作。庵野秀明アニメの最高傑作との呼び声も高い(清水総研調べ)。
エヴァは死ぬほど沢山あるので、とりあえずこれだけみて「アリ!」と思ってから「序」を見て、そのあと旧劇場版「Air/まごころを君に」と「エンドオブ・エヴァンゲリオン」を見て、次にテレビシリーズを見て、それでも足りなかったら、「新劇場版:Q」を見るのがオススメ
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このラストで流れる「翼を下さい」がとてもいい。
とってもとってもいい。
これで懐メロに味をしめたんじゃないかなあ。
どうしても昔のゴジラを見て見たければこれ一択「ゴジラ」
さて、「シン・ゴジラ」が初めて見るゴジラであるという人も少なく無いだろう。
それくらいゴジラというのは死んだコンテンツになっていたのである。
そして「あーシン・ゴジラ面白かったから旧ゴジラも見てみよう」と思ったとしたら、ちょっとまって欲しい。旧ゴジラはなぜ12年間もシリーズが途切れていたか。誤解を恐れずに言えば、つまらないからである。
大半のひとにとっては退屈だからだ。ちなみに僕も好きじゃない。
それでもどうしても「シン・ゴジラ2」が待ちきれない、どうしてもゴジラのようなものが見たい、という人には、ぜひ最初のゴジラをみることをお勧めする。
白黒だし、音声もお世辞にも綺麗とは言えない。ゴジラの足音など完全に太鼓の音なのだが、シン・ゴジラが本来目指したゴジラの初期状態が体験できるのは、半生記前の初代ゴジラだけである。
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戦後10年で、ここまでの作品を作ってしまった円谷英二と東宝は素直に凄いとしか言いようが無い。
また、この映画の背景を知る上で貴重なプロジェクトXもオススメしておく
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現代特撮技術の粋を結集した「シン・ゴジラ」のプロトタイプ 「巨神兵東京に現わる」
「シン・ゴジラ」のプロトタイプと呼べる作品はいくつかあるが、キャラクター原案を前田真宏、造形を竹谷隆之、総監督を庵野秀明、監督を樋口真嗣が担当する、まさしく「シン・ゴジラ」と全く同じスタッフで作られた短編映画。
特撮博物館で上映するためだけに作られ、その後、エヴァンゲリオン新劇場版:Qの冒頭で流された。新劇場版:Qに特典映像として収録されている。
この作品で一番おもしろいのはメイキング映像なのだが、それはまだ映像作品化されていない。残念。
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■中級編
庵野作品・樋口作品の引用元はどれなのか
「シン・ゴジラ」に登場するキャストはどうしてこんな感じなのか、ということを知るために見ておいたほうがいい周辺作品です。
ネルフの元ネタはこれだ!「謎の円盤UFO」 第一話
DVD版はなんと庵野秀明自身がコメントを寄せている。
見るとあまりにもネルフなので笑う。
古い作品だが、とても味のある作品。
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まあYoutubeでオープニング見て「これは面白そう」と思ったらレンタルで見てみるのでいいのでは
見て分かるように、オープニングはまんまエヴァのオープニングに引用されています。
新劇場版のエヴァがやたら月に基地を置きたがるのもムーンベースの影響とか
初のエヴァ的世界観の実写化!?オマージュとしての「踊る大捜査線 THE MOVIE」
フジテレビの刑事ドラマ「踊る大捜査線」は、実は実写版エヴァンゲリオンとでもいうべき演出がいくつか見られる。それがどのくらい強い影響を与えたかというと、テレビ放映時にはエヴァで使われる作戦会議シーンのBGMがそのまんま流されたくらいだ。ゼーレの会議室のような警視庁の会議室など、見どころが多い。基本的にはコメディなので、そこまでエヴァっぽくはないけどね。
テレビドラマでみると長すぎるので、劇場版の最初のやつでいいんじゃないかと
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正義の怪獣が憎悪される時 「ガメラ3 イリス覚醒」
樋口真嗣が特技監督として活躍した平成ガメラシリーズの最終作。
正義の怪獣であるはずのガメラが、正義のための戦いとはいえ犠牲にしてしまった家族の姿を描く。
それまでの怪獣映画とは一線を画したテーマ性を持つ傑作。
前田愛の好演が光る。
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怪獣対策のリアリティに拘った「シン・ゴジラ」のプロトタイプ的作品写 「MM9」 第12話/第13話
MM9は、山本弘原作の実写ドラマ作品である。
怪獣が自然災害と見做されている世界を舞台として、怪獣の進路を予報したり弱点を探ったりする、気象庁特異生物対策課、通称「気特対(きとくたい)」の活躍を描いたドラマである。
全体の雰囲気はパトレイバーで、パトレイバーを念頭に見るとより理解が深まる。
今や「孤独のグルメ」の人になってしまった松重豊や、尾野真千子、そして「シン・ゴジラ」でもキラリと光る高橋一生が準主役として登場。「シン・ゴジラ」で長谷川博己を支える政調副会長の泉修一を好演した松尾諭もメインキャストとして出演している。今振り返ると「シン・ゴジラ」のプロトタイプと言っても良い内容で、1話から11話も肩肘張らずに見れば楽しめる。
最大の盛り上がりどころはやはりクライマックスの12話と13話で、テレビドラマとは思えない特撮で非常に驚いた。
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シン・ゴジラの中の人を樋口演出するとこうなる 「のぼうの城」
シン・ゴジラの中の人は狂言方和泉流の能楽師である野村萬斎だ。
そして野村萬斎を主役に抜擢したのが傑作映画「のぼうの城」である。
見どころはド迫力の合戦シーンと水攻め。
問答無用に面白いので見て欲しい。
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樋口組の完成形「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」
実写版「進撃の巨人」ほど賛否別れる映画も珍しい。
そもそも大前提として、人気漫画を実写化すること自体に無理があるのである。
それがたとえばマーベル映画のような、膨大な予算を投じても、駄作は駄作になってしまうし、もちろん傑作が生まれることもあるが、予算に限りのある日本映画において、コミックの実写化成功例は数少ない。
その中で、現役の人気コミックを下敷きとして、樋口真嗣がやりたい放題やって作り上げた娯楽映画が「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」である。まあもしかすると、みんなが忘れてるような人気マンガだったら、ここまで批判はされなかったかもしれない。
そもそも巨人が人間を食うという映画を実写化して、気持ち悪くないはずがない。
そして原作が人類の絶望をテーマとしている以上、作品としても絶望感を観客に与えないといけない。
僕としては前後編に分けたのは失敗だったのではないかと思っているけど、興行的には成功したみたいなのでよかった。
で、僕個人の感想としては、全編を見ないで後編だけ見ても楽しめる映画である。前編が怖すぎるので、それで後編を見に行きたくなくなっちゃった人が続出したのだと思うが、後編だけ切り取るとそんなに怖いシーンもないしまあ普通に楽しめるんじゃないかと。
ただし、アニメや漫画の「進撃の巨人」を期待して見に行くと、完全にオッサン向けのオッサン大好き映画なので再び裏切られることになる。まあこのへんの説明が足りなかったというか確信犯的というか、ただ、脚本には原作の諫山さんも絡んでいるので、これはこれで「別の本編」と言ってもいいんじゃないかと思うけどね。
内容としては、オヤジ版「僕らの7日間戦争」である。
「シン・ゴジラ」との関係性で重要なのはキャストだ。
長谷川博己、石原さとみといったメインキャストはもちろん、「シン・ゴジラ」では統合幕僚長役をやる國村準などの顔ぶれが、今の樋口組を作る重要なメンツとなっている。
長谷川博己が全然違う役どころなのに注目。
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■上級編
もう入門編、中級編の映画はとっくに見てるわ!
もっとないのか!
という人のために
元ネタの元ネタに近いものまで紹介
つまり、庵野秀明、樋口真嗣に影響を与えたであろう作品の一部である。
ただし上級編は「上級者向け」なので、基本的にどんなに退屈な映画にも耐えられる精神構造と、時には早送りも辞さない視聴スタイルが必要。ここ重要だから覚えておいてね。見て「退屈だ!」と言っても知らないよ
TOKYO-3の元ネタ「さよならジュピター」
さて、さよジュビである。
僕がこの作品の話をすると、年配の特撮マニアはみんな苦笑いをするあのさよジュピである。
いろいろと粗は目立つが、当時はとにかく最新技術の粋を尽くした特撮映画だったらしい。
登場人物が唐突に英語で話しかけてきたり、それに日本語で返したりといった感じが「シン・ゴジラ」っぽい。
他にも細かく細かく庵野作品に影響を与えている。
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市川崑 「東京オリンピック」
2020年の東京オリンピックが間近に迫っているが、庵野秀明のカメラワークに影響を与えたのは、市川崑の「東京オリンピック」というドキュメンタリー映画だという。
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これ、あの時代に一発撮りしてるんだからマジで凄いぜ。
聖火ランナーのシーンだけで感動する。
ちなみに極太明朝体をでかでかとテロップに入れるのは市川崑からの引用だと思われます。
岡本喜八「沖縄決戦」
あふれるテロップ芸
そして鬼のような鬼気迫る演出
圧倒的な絶望感
一度見るとトラウマになってしまうこと間違いなし。
ある意味で「進撃の巨人」よりずっと怖い。もはや戦争映画というよりもホラー映画
全編を漂う緊張感
救いの無さ
実際にあった米軍の沖縄侵攻をテーマにした日本の戦争映画の金字塔。
観測手からの報告「敵が七分に海が三分」(つまり、水平線の70%を敵艦が包囲しているということ。絶望しかない)という台詞が醸し出す圧倒的物量による絶望感は、そのまんま「トップをねらえ」第五話に継承されている。
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陸上自衛隊を知りたいならまずこれを見ろ「富士総合火力演習」
「シン・ゴジラ」の主役といえば、陸上自衛隊である。
今回、陸上自衛隊の登場するシーンには非常に力が入っていた。
予告編にも陸自の機材が多数登場するが、実際に陸自の機材の実力と陸上自衛隊の練度を知っているかどうかで、「シン・ゴジラ」の楽しさは何倍にも増すだろう。
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特に最新鋭の10(ヒトマル)式戦車は、日本の戦車として初めて、左右に惰行移動しながら射撃する「スラローム射撃」に対応し、なおかつ百発百中の精度を誇っている。もちろん、シン・ゴジラの中でも10式戦車が大活躍する。
また、特科大隊による支援火器の正確さは、極めて遠方から精緻な着弾をコントロールできることの証明であり、「弾着・・・イマ!」の掛け声と同時に着弾する様は身震いする。
ちなみに「軍隊ではない」ということになってる自衛隊では、極力直接的な呼び方を避けるため、歩兵部隊を「普通科」、戦車部隊を「機甲科」、砲兵部隊を「特科」と呼ぶ。
「シン・ゴジラ」を見る時に走っておきたい豆知識だ。
とまあ他にも書き足りないものは沢山あるが、気が向いたら順次足していく。
とにかく面白いから見よう
何度も見よう
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