東京都知事選 4野党共闘の終焉が見えた
今回の都知事選は、ひとつの副産物を生んだようです。
それは4野党共闘路線の実質的破綻が見えてきたことです。
今回の鳥越氏に対しては「オール東京」どころか、日本の左翼・フェミニズム陣営が総掛かりで支援した観があったのですが、ダブルスコアを喫する大敗をしました。
聞くところによると、この大敗を鳥越陣営は、「政府の内調を使った謀略のためだ」と総括しているようです。
鳥越さんたち、こういう陰謀史観的総括していると、もう後はありませんよ。私はかまいませんがね。
民進党の敗因はいくつもありますが、最大のものは基礎票すらまとめきれなかったからです。
・民進党支持層の投票先
・小池氏・・・30%
・鳥越氏・・・60%
・増田氏・・・10%
鉄の団結といわれた共産党ですら、2割が小池氏に流れました。
民進党に至っては、小池氏に3割食われ、増田氏にも1割持っていかれるのですから、基礎票が丸ごと瓦解したも同然です。
しかも民進党は、鳥越氏の反原発公約で、東京連合の主力である電力労連にソッポを向かれ、連合系の選挙マシーンが機能停止というていたらくでした。
この民共合作路線を進める限り、連合は民進と決別するか、容共と反共に分裂するでしょう。
さて、今日はこの東京で起きた4野党共闘大敗北という事態を、同じ4野党共闘で勝利した先日の参院選沖縄選挙区と比較してみることにします。
というのは、なぜ4野党共闘が沖縄だけで勝てて、他の地域ではまったくダメなのか、その理由が分かるからです。
ちょっと数字が続きますが、ご勘弁ください。
島尻氏は苦汁を呑みましたが、基礎票が崩れたかどうか、2010年の参院選と較べてみます。
●前回参院選・島尻候補得票数
・2010年参院選 ・・・258,946
・2016年参院選 ・・・249,955
約9千票減らしていますが、「オール沖縄」陣営が言うような保守陣営の大敗でありません。
むしろ島尻陣営もしっかりと基礎票は押さえきっていますから、シンザト事件というウルトラ逆風によく耐えたと評価してもいいくらいです。
ではなぜ、伊波氏に35万票取られて、負けたのでしょうか?
答えは簡単です。左翼陣営側の党派基礎票の積み上げによる集約効果のほうが勝ったからです。
2010年の参院選と較べてみれば、お分かりいただけると思います。
この時、沖縄左翼陣営は従来どおり、政党別に候補を立てて負けています。
・山城博治 ・・・215,690(39.70%)
・伊集唯行 ・・・58,262(10.70%)
山城氏には社民、伊集氏には共産党がバックについていましたが、左翼陣営分裂選挙でしたので、島尻氏に及びませんでした。
というか、ふつうは政党が独自候補を立てるのが選挙の常道であって、伊波氏に統一してしまったほうが異常なのです。
それはさておき、山城、伊集氏を合わせれば約27万ですから、保守票の25万~26万票と拮抗していますね。
そうなんです。
本土の人たちは、マスコミが常に怒号とデモの島としてしか報じないので、沖縄のことを丸ごと「左翼の島」と勘違いしている人が多いのですが、違うのがお分かりになったでしょうか。
前回知事選、今回の参院選で左翼陣営が勝利できたのは、あくまでも「オール沖縄」という4野党共闘という共産党発案の人民戦線戦術が功を奏したからです。
これが勝利できるには条件には三つあります。
①地域で紛争が存在すること。
②共闘の相手となる中道左派、ないしは保守転向組が存在すること。
③カリスマ性を持った指導者が存在すること。
沖縄ではこの三枚のカードがすべて揃いました。
①オスプレイ配備。辺野古移転問題
②民進党県連・旧自民党の一部・沖縄経済界の一部
③翁長氏
ところが、沖縄以外ではこの3枚のカードは揃いませんでした。
東京ではどうだったでしょうか。
①待機児童・震災対策など山積
②民進党
③なし
①の問題は山積していて、待機児童だけではなくあまたあるのですが、野党連合にはそのための解決の政策が何も準備されていませんでした。
鳥越陣営がおっつけで出したのは、「住んでよし、働いてよし、環境によし」という冗談のような語呂合わせでしたから話になりません。
もうちっと準備してから立候補しろよ、と思います。
②は民進党でしたが、昨日述べたように岡田氏ひとりが野党連合に熱心なだけで、党内部では懐疑的な声が多数を占めつつあります。
おそらく、選挙後には岡田氏追及という形で火種となるでしょう。
③は、本来鳥越氏が果たすべき役割でしたが、まぁもういいでしょう、ご覧の通りです。論評に値しません。
実はもうひとつあるのです。
それは共産党の組織力です。沖縄も宜野湾市長選や今回の参院選を見れば分かるように、野党連合の実戦部隊は共産党です。
共産党の組織票が崩れ始めると、この野党共闘は車輪がなくなった車のような状態になります。
この共産党から2割が小池氏に流れたということは、共産党の組織的締めつけが緩んできた兆候ではないでしょうか。
共産党はただの野党ではありません。「革命党」です。
党首選挙もなく、代表は密室で決まり、一端決まると十数年その地位にあります。
極端な上意下達体制が敷かれていて、下部組織が上級組織の命令に背くことは不可能です。
だから、共産党は強力な選挙マシーンだったのですが、これの弱体化の兆しが現れたのが、今回の都知事選であったようです。
共産党の小池晃書記局長は、選挙後に「民進党内でどういう議論が行われても、公党間の約束を守るのが当然のルールだ」と述べていましたが、今回の大敗を受けて、民進党は次の代表選で、岡田氏の民共合作路線を精算すると思われます。
民進党に冷静な頭脳があれば今回の敗因は、共産党と手を組んだことのツケです。
共産党支持者はおおむね60以上であり、無党派層や青年層の共産党への反発は想像以上に強いということが分かったのですから。
岡田さん、去年の国会前でのシールズに見た青年層の左傾化は、ただの幻影だったのですよ。
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コメント
投票率が59.7%と、前回より14%ポイント上昇したと聞いてから、それが150万票分も増えたという事だと気づくのに少々時間がかかりました。
今更ですが都民って沢山いますね。
この規模の都市で①②③のフォーメーション攻撃を成功させるには、①の問題解決案がどれほどマトモかにかかっていて、だからこそ宇都宮氏も三回分かけてどんどん政策提案や活動が妥当で価値のあるものに変わっていったんでしょう。
しかし彼は③の部分が足りない烙印を上から押された。見誤りですよ。コーディネートの仕方はいくらでもあったはず。私は入れないけど。
地味だけど大切な事をどれだけ都民が望んでいるのか、小池氏は地区ごとにうまく掴んだ演説をしていたと思います。無党派層は女性スキャンダルが鳥越氏に出ただけなら投票には行きませんから、耳を傾けたのです。
投稿: ふゆみ | 2016年8月 2日 (火) 08時33分
元共産党ナンバー4ともいわれた筆坂秀世氏の秘書を務めたという方の山口敏夫氏の応援演説が面白い。裏を知り尽くした人が野党連合の事情を大暴露、まあ、鳥越氏擁立は初めから義もなく無理筋だったと。
【都知事選】何者だコイツ 政党の裏を知り尽くす男現る!大暴露祭り!!!
https://www.youtube.com/watch?v=DDUezZblHPY
アラシさん達が観たら悶絶しそうです。
投稿: クラッシャー | 2016年8月 2日 (火) 09時22分