9月に米ハワイ州である国際自然保護連合(IUCN)の第6回総会に向け、国内の非政府組織(NGO)6団体が共同提出した沖縄本島の外来種対策を求める勧告案を巡り、外務省がIUCNに対し、文案から「辺野古」関連の記述の削除を2度求めていたことが30日、関係者への取材で分かった。IUCN側は外務省の訴えを却下。名護市辺野古の新基地建設計画に触れる文言は残り、総会を前に8月3日から電子投票にかけられることになった。(社会部・知花徳和、篠原知恵)

沖縄県名護市辺野古沿岸部

 IUCNは160カ国の政府やNGOなどで構成する。外務省の削除要求は勧告案の文言を議論するため開設されたウェブサイト上にあり、IUCNメンバーのみ閲覧できた。日本自然保護協会などNGO側が提案した勧告案は、県外から大量の土砂が搬入される新基地計画に触れ、日本政府に外来生物の混入防止対策の徹底を求める内容だ。

 最初の削除要求は5月26日。「那覇空港第2滑走路など多くの埋め立て事業で同じような手法を取ってきた」と説明。勧告案は「不適切で矛盾し、恣意(しい)的だ」とし、辺野古関連の文言を「削除か見直すべき」と訴えた。日本政府が国内法に基づき、適切な環境保全策を講じたことも強調した。

 これに対しIUCN側は「何が言いたいか分からない」と回答。外務省が再び「辺野古」関連の文言に訂正線を引いて訴えたため、IUCNもいったん削除に応じたものの他メンバーから反論が出て、最終的に外務省側の要求を却下した。

 辺野古埋め立ては、県外から過去最大の1700万立方メートルの土砂を搬入する計画。アルゼンチンアリなど沖縄にいない外来生物が混入し、沖縄固有の生態系を脅かす可能性がある。日本政府が比較対象にした第2滑走路で搬入予定の県外石材は、約30万トンにとどまる。