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都知事選で在特会前代表が11万票

ニュースソクラ 8月1日(月)19時10分配信

外国人標的の政策に一定の支持か

 東京都知事選挙は小池百合子元防衛相の地すべり的な勝利となり、女性都知事が誕生した。その裏で、見逃されがちだが、朝鮮人攻撃で有名な「在日特権を許さない市民の会」の前会長、桜井誠氏が5位となり、11万票を獲得した。

 桜井氏の都知事選での公約は以下のとおり。

(1)行政裁量の範囲で都内に在住する外国人への生活保護費の支給を停止し、生活保護の受給者は日本国民に限定にします。
(2)都内の不法残留者を四年間で半減させます。
(3)日本人に対し外国人が虚構の歴史に基づいて責め立てる、いわゆる反日ヘイトスピーチ禁止条例を制定します。
(4)税の公平性に反し減免されている総連、民団の中央本部及び関連施設への課税強化を図ります。
(5)違法賭博パチンコに対し規制を実施します。
(6)韓国学校建設については中止します。
(7)改めてコンパクト五輪の意義を考え、現行の東京五輪案の改善を図っていきます。

 基本的には在日外国人を対象とした政策が並び、公約を発表した6月の出馬会見では、「ナショナリズムを掲げて」選挙戦に臨むと決意を明らかにした。

 排外主義に見える公約だ。11万票の獲得を、一定の支持を得たとみるのか、まだまだ弱小勢力とみるのか。

 有力3候補に続く4位はジャーナリストの上杉隆氏で、その次の5位だった。ネットでの候補者討論会に出ていた山口敏夫元労相などを上回り、泡沫候補のなかでは頭ひとつ出た。街頭演説の聴衆(かなりの動員もあるのかもしれないが)の集まり具合はなかなか多いように見えた。

 都知事選への桜井氏の出馬は、在特会の活動が街頭デモや街頭スピーチから、選挙活動を活用する方向へじわりとシフトしている戦略転換とみることができる。背景には、ヘイトスピーチ対策法の成立で、街頭演説やデモが難しくなっていることがある。

 桜井氏は、産経新聞のインタビューのなかで、来年の都議選には10~20人を立候補させると話している。都議選は選挙区制のため支持率が2%程度では当選は到底難しいが、選挙期間中は街頭演説がほぼ自由にできるほか、反在特会の人から妨害を受けた場合には公職選挙法で禁止された選挙妨害になりかねないことから、街頭活動がやりやすい。それが選挙を活用する理由とみられる。

 桜井氏が率いた在特会は2009年12月に京都朝鮮第一初級学校(日本の小学校に相当)に対し、激しい拡声器による情宣で授業妨害をしたことなどから有名になった。在特会を取材した『ネットと愛国』(講談社、安田浩一著)によると、学校を守るため駆けつけた父兄などに「朝鮮人はウンコでも食っとけ」などと罵っている。

 やはり『ネットと愛国』によれば、当時の在特会は在日朝鮮人が多い大阪の鶴橋において「大阪ではね、1万人を超える外国人が生活保護でエサ食うてるんですよ。生活保護でエサ食うとるチョンコ、文句あったらでてこい!」と街宣した。その後は、東京の新大久保、川崎などの、いわゆるコリアタウンでの街宣活動も活発に行った。

 桜井氏自身は、橋下徹大阪市長(当時)とのテレビ中継の下での討論で、あわやつかみ合いになりかねない「討論」で話題になった。そのなかで桜井氏は「政治には興味はない。選挙には興味はない。政治家はもっとも醜悪なもの」と発言していた。

 また、在特会メンバーは前の都知事選挙に立候補した田母神俊雄元航空自衛隊幕僚長の選挙事務所に出入りして、選挙活動の経験を積んできている。

 桜井氏が都知事選で得た11万票はあなどれない。将来、海外メディアなどで日本でも本格的な極右の浮上と報じられる可能性もでてきているといえるだろう。

ニュースソクラ編集長 土屋直也

最終更新:8月1日(月)19時14分

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