AR(拡張現実)によるスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」がまだ上陸すらしていない中国で早くも偽物が登場した。香港紙蘋果日報(アップル・デーリー)など中華圏メディアが31日報じた。
報道によると、中国のアプリ配信サイトに登場した「山海経GO」というゲームはポケモンとキャラクターこそ違うが、全地球測位システム(GPS)とARを利用したゲーム内容は酷似している。モンスターが出現すると、西遊記に登場する孫悟空が頭に被った輪の「緊箍児(きんこじ)」を飛ばし、モンスターを捕まえる。
ポケモンGOのモンスターはかわいくて精巧にできているのに対し、山海経GOのキャラクターは、中国の神話集、山海経に登場する妖怪が発する奇怪な雰囲気を生かしている。山海経GOはゲーム配信開始と同時にダウンロード1位となった。
3月に登場した「シティモン(城市精霊)GO」もユーザーの位置を追跡し、精霊を探し出して戦うものだが、地図サービスを利用するという点でポケモンGOと似ている。AR機能には対応していない。シティモンはポケモンGOのブームを背景に中国国内のアプリ配信サイトでダウンロード順位が50位圏内に入った。シティモンは中国語版だけがあり、7月5日にサービスを開始したポケモンGOに先立ち登場した。業界では「ポケモンGOの事前広報映像が公開されたことを受け、中国のゲーム業界がつくったパクりゲームだ」との指摘が聞かれる。
中国では国家機密流出への懸念などからポケモンGOのサービスは難しいとみられている。無作為に生成されるポケモンGOの座標が軍事施設と重なり、ゲームユーザーがその周辺の写真を撮影し、インターネットに掲載すれば軍事機密が流出する可能性がある。このため、中国政府はゲームの配信を許可しない可能性が高い。ポケモンGOが使用するグーグルマップも2010年から中国で接続がブロックされている。