THAAD:韓国人教授、人民日報に配備反対訴える寄稿

 終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓半島(朝鮮半島)配備に反対する韓国人が中国共産党機関紙の人民日報に相次いで署名による投稿を寄せている。THAADへの反対意思を表明するのは個人の自由だが、意見表明の手段がTHAAD配備に国家レベルで反対し、「韓国への報復」を公言する中国の党宣伝メディアだというのは「不適切だ」との指摘が聞かれる。

 人民日報は31日付紙面の「国際論壇」というコーナーに「THAAD配備は韓半島問題の解決をさら困難にする」という表題で韓国・慶南大極東問題研究所のイ・サンマン教授による寄稿を掲載した。イ教授は「韓国政府のTHAAD配備は韓半島の平和統一と国民の安危を無視したものであり、米国の利益にサービスする非戦略的決定だ。そのせいで北東アジアの情勢が急変している」と指摘した。イ教授はまた、「THAAD配備という決定は(北朝鮮の)4回目の核実験(今年1月)以降、韓半島の緊張をさらに激化させ、問題解決を困難にする。韓半島問題は対話と協力によって解決すべきだ」と主張した。

 イ教授は「THAADは北朝鮮の核攻撃に対する防衛用だというが、実は中国に関する情報を米国に提供する狙いがある」などと中国のTHAAD反対論を踏襲するような主張も行った。一方、韓国がTHAAD配備を決定した根本的原因である北朝鮮の核ミサイルの脅威については全く言及していない。

 人民日報は7月25日付の国際論壇でも慶尚北道星州郡の住民名でTHAAD配備に反対する内容の寄稿を掲載した。筆者は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に大統領府(青瓦台)秘書官を務めた金忠煥(キム・チュンファン)氏だった。金氏は「我々はTHAAD配備に決然と抗議する」と題する投稿で、実効性、安全性、責任性など6項目の理由を挙げ、「韓国政府はTHAAD配備決定を撤回すべきだ」と主張した。

 人民日報は2つの寄稿をいずれも注目度が高い3面の右肩に掲載した。党機関紙である人民日報は記事の掲載や論調などを共産党宣伝部が全面的に決定する。韓国の中国専門家は「韓国国民は言論・表現の自由を享受する権利があるが、外交上の懸案をめぐり韓国と摩擦を起こしている国の宣伝メディアに韓国の決定を批判する寄稿を行うことは思慮を欠く行動だ」と苦言を呈した。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース