さて、もういいでしょう。
宇都宮さんに期待しながらも、戦略的判断で、大局を見て鳥越さんの応援をなさったみなさん、本当にお疲れ様でした。
他にも、色々なものを我慢して、リベラル都知事の誕生に向けて頑張った人は多いと思います。
改めて、苦悩を越えての行動に敬意を表します。
さて。
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私自身はといえば、舛添が辞意表明した時点で、既に失望だらけであった。
別に舛添が政治的に素晴らしいわけではない。金銭問題も、それはそれで追及すればいい。
だが本来やるべきだったのは、次のまともな都知事候補のあてもないまま「辞任せよ」の大合唱を煽ることではなく、「真相解明と再発防止を図る」ために舛添氏に協力を仰ぐ、という姿勢だったのではないのか。「全容を明らかにした上で都に返金し、謝罪する」で充分だったのではないのか。あくまで百条委設置を最優先に求めるべきであって、辞任を目標としたのは間違いではなかったか。むろん、その過程で自主的に辞任するならそれも構わないが。
そして、自公が百条委設置に反対するなら、それこそ自公の責任を参院選中に問うこともできた。
私はtwitterで「辞めさせることはない」と言い続けた。舛添と自公を対立させ、両方を追い込む戦法を採るべきだったのだ。
参院選とのリンクという意味では完全に戦略ミスだったと私は考える。
さて、この時点で左翼やリベラル側で準備ができていた候補者は宇都宮氏だけだった。
参院選で共闘を進めていた政党の枠組みで「都知事選も共闘」という確認が出来たことに、ようやくホッとした。
しかし、必ずしも宇都宮氏が共闘候補になるとは限らない。立候補準備を進めつつも、表明をギリギリまで待ってくれたと思う。告示3日前の立候補表明はギリギリだったと言えるだろう。
正直いってこの時点で私は都知事選については絶望的な見通しだった。最終的に共産・社民の推薦で宇都宮氏出馬。せめて民進が対立候補を立てないことを願っていた。
「宇都宮じゃ民進が乗れない」と主張する声があった。
それを「乗れないと決めつけるのは無責任」と批判した。
「共産党が宇都宮で行きたがっている」という発言も徹底的に批判してきた。
そうやって、鳥越氏の出馬が決まるまで、宇都宮氏を懸命に擁護したことをまず述べておく。
前回2014年、共産党がいち早く「宇都宮を擁立する」というような発表をしたため、「宇都宮=共産党」のようなイメージが存在するのは確かだ。これは「共産党の勇み足」として批判した記憶がある。しかしそれはあくまで勝手なイメージでしかない。 共産党フォビア、代々木フォビアと、さらにそれに結びついた宇都宮バッシングは、徹底して批判の対象としてきた。
しかし、ようやく決まった。発表された。
それがなんと、鳥越俊太郎である。
私としては、何度も書いているが「テレビでのメジャー感」と「主張のブレなさ」のバランスを
故・筑紫哲也氏に次ぐ高水準で保ってきたジャーナリストとして評価しているのである。テンションが上がらぬはずがない。結果論から言えば、最高の候補が出てきたと思った。
気持ちの切り替えのできていなかった人には申し訳ないが、この時点で私の心は地から天に昇った。都知事選のことはもう完全スルーしようかと思っていたのだが、方針を変えた。
ただ、切り替えができない人が多いのは理解できる。だから、最後まで「宇都宮氏への敬意を表し続ける」ことに拘ったのだ。「宇都宮氏に敬意を示し続ける」ことこそが、「心の切り替えに困っている」人の心を鳥越氏につなぎ止める手法だと考えたのである。
さて、宇都宮氏、そしてその陣営である。
既に色々な指摘が出ていて、彼を支持してきた人も、そろそろ解ってきたと思う。
私が違和感を持ち始めたのは、前回の都知事選後、選対である「希望のまち東京をつくる会」が解散せず、活動を続けたところからである。
まあ、それ自体は良いだろう。都政を研究して問題点を明らかにし、改善を提案する「政策立案チーム」としてなら、高い存在意義がある。
しかし、送られてくるニュースは、あくまで「宇都宮健児を都知事にする」ということばかりに注力しているように見えた。
まるで宇都宮氏をトップとするカルト教団のようだ。
思い過ごしか?ならばいいのだが・・・と怪訝に思いつつも、ニュースの購読は続けてきた。しかし、どうも、秘密保護法反対、戦争法案反対という、全国的な市民の闘いとの距離感を感じてきた。だんだん読み流すようになり、ほぼタイトルだけ見てアーカイブ行きということが増えた。
今、改めて確認してみると、少なくともこの2年の「うつけんニュース」の中で、「野党共闘」というキーワードで検索にヒットしたのは16年6月29日配信の1回のみ。その内容は「野党が都知事選で共闘を確認した」ことに疑念を表明し、「宇都宮健児でまとまってほしい」とする室井佑月さんのコメント紹介だった。
そして、「sealds」「市民連合」での検索には出てくるものがなかった。
・・・見事に、市民運動や野党共闘と距離を置いてきたのだ。
野党共闘が宇都宮氏を推さなかったのも無理はない。
というより、宇都宮陣営がそれを望まなかった、と言っていい。
市民の後押しによる、思想や細かな政策の違いを越えた幅広い連携。
いわば「反ファシズム・全日本統一戦線」と呼んでもいいものができていた。
「野党共闘」は、この「統一戦線」に包含される。
そして、宇都宮陣営は、この「統一戦線」には「全く参加していなかった」のだ。
それを裏付ける発言がある。河添誠によるものである。リンク先は私が河添のツイートのスクショを晒したものである。
https://twitter.com/k2gtr/status/752542384542486528
https://twitter.com/k2gtr/status/752821459752394752
和らげた書き方をしているが、宇都宮陣営が「野党共闘」に、いや「反ファシズム統一戦線」に対して、いったいどんな対応をしてきたのだろう?
私自身は戦略的な立場を考えてRTしなかったが、私のTL上には、宇都宮氏が「支持してくれるなら自民党でもどこでもいい」という発言をした際に批判のツイートが溢れていた。
宇都宮陣営から、「宇都宮を野党共闘の候補にしてほしい」という交渉を、一度でもしたことがあったのだろうか?この間の経緯を見るに、全く無かったと考えざるを得ない。
河添との間には、ずいぶん前に確執があった。
大きかったのは2014/8/28の、ヘイトスピーチ規制についての議論だろう。
http://bit.ly/2abOwD7
その後8/30に、ツイッターでブロックされ、FBの友人関係も切られていることに気づいたのだった。
しかし、予兆はあった。
「左翼(右翼)」についての認識の違いで意見をしたのだが、全く噛み合わずに引き下がった記憶がある。
ツイログに残っていないのでおそらくFBコメントでのやりとりだったのかと思うが、おぼろげな記憶によると下記のとおりである。
河添の主張は「左翼は善」「右翼は悪」「左翼同士なら連帯するのが当然」といった内容だった。
私は「左翼でもダメなのはいるからそいつらとは連帯できないし、右翼でも共通の目標があれば連帯すべきだろう」「右翼だって自分が善と考えているわけで、悪と決めつけられたら連帯の余地がなくなる」と(自分としてはかなり丁寧に)諭したのだが、全く聞く耳持たず、ほどほどのところで引き下がったのだ。
その頃から、「野党共闘」に嫌疑を示す今まで、河添の思考そのものは一貫しているのだろう。
ようするに「硬直した左翼」である。
まあ所詮、事実誤認を平気でツイートする人物である。信頼になど値しない。 (このツイート自体はその後訂正をしているが、事実誤認を軽く見ている印象である) https://twitter.com/k2gtr/status/731326384677605376
河添だけではない。
https://twitter.com/sangituyama/status/754867457618128897
こたつぬこ氏が追及しているが、既に選挙戦がスタートしている中で、海渡弁護士が鳥越氏の批判をした。むろん不備は批判すればよいが、選挙戦のことを考えるなら、それは表で、ツイッターでやるべきことではない。海渡は宇都宮選対の中心である。
さらに、である。週刊文春に鳥越氏の「女性スキャンダル」なるものが掲載された。
それに関して、岩上安身氏の取材が非常に良かったのだが(下記リンク)、この「ネタ元」とされる「某私大の教授」は、私の耳に入っている情報が正しければ上記の海渡と親しい人物である。
鳥越氏の出馬が決まってすぐに「自民党が鳥越氏の女性スキャンダルを追っている」と耳にしたが、そのネタ提供者は左翼の中にいたのだ。彼らは「極右政権と組んで野党共闘の足を引っ張った」わけである。いったい何がしたいのであろうか。
【緊急アップ!】週刊文春の鳥越俊太郎氏スキャンダル報道に様々な疑問点!鳥越陣営は「事実無根」だと名誉毀損と選挙妨害で東京地検に刑事告訴!岩上安身の直撃取材に鳥越氏本人が答えていた「疑惑」の真相とは? 2016.7.21
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/319457)
ヘイトスピーチ対策で足を引っ張り続け、自身がヘイトスピーチをするに至った寺澤有もこの件で鳥越氏への誹謗を続けてきた。寺澤も海渡や、上記の教授と繋がりがある。
真打ちは宇都宮本人である(もう敬称はつけない)。
宇都宮アカウントからのツイートによれば「鳥越選対から正式に応援演説の要請あり」「書面で条件等を回答して返信待ち」からのツイートが下記である。
https://twitter.com/utsunomiyakenji/status/758574740483153920
鳥越さんの応援要請について、政策面に関しては誠実なご回答を頂きましたが、女性の人権にかかわる問題についての対応という点で、残念ながら一致にいたっていません。以上ご報告申し上げます。
このツイートが宇都宮本人によるものか、スタッフによるものかはわからない。だから私は最後まで我慢した。しかし、日刊ゲンダイによる電話取材(下記)に答えているのは本人であろう。
宇都宮は明確に、「文春が記事にした問題のみを理由として」鳥越選対からの応援要請を断ったわけである。取材に対して濁して答えることもできただろうが、あえて理由を説明したのである。
既に複数の人が指摘しているが、刑事告訴しているーすなわち係争中で、かつ自分がタッチしていない案件について発言するのは弁護士としておかしなことである。日弁連の会長まで務めた人物の、なんたる惨状か。
いや、実際にはタッチしていたと考えるしかない。告訴を受けている側、すなわち選挙妨害を行ったメンバーの一員として。
<blockquote>
宇都宮健児氏に聞く 「なぜ鳥越氏の応援しないのですか」(日刊ゲンダイ)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/186683
</blockquote>
鳥越氏だけではない。
自分のツイログを漁ったらこんなモノが出てきた。
https://twitter.com/k2gtr/status/350241552800550912
宇都宮は3年前、2013年の参院選で吉良よし子さんの事務所開きに参加していたのだ。
それが、今回は「野党共闘」の候補応援には出てきていない。少なくとも自分の知る限りでは、唯一、福島瑞穂さんの応援に立っただけだ。さすがに海渡のパートナーだけはスルーできなかった、というところだろうか。
改めて「反ファシズム・全日本統一戦線」の外に宇都宮がいた、ということが確認できる。
サンダースは民主党の予備選ネオコン要素を持っていたヒラリー・クリントンの政策からネオコン要素を取り除き、民主党の政策全体をリベラル側にシフトさせた。
さらに、最終的にクリントンを持ち上げ、「民主党としてひとつになろう」と団結を呼びかけた。それも、一部の「支持者」からはブーイングを受けながら、である。
大局を見ることができない「支持者」を振り切って、(大統領選で民主党が勝つことを前提に)米国を少しでも良くするために尽くしたのである。素晴らしい活動と讃えたい。
かたや、この間サンダースに肖り、「サンダースを語る」というイベントも開いてきた宇都宮はどうだったか。上記の有様である。
たとえ今後姿勢を変えたとしても、サンダースのような支持を得られることはないし、都知事になることは永久にない。
宇都宮は「左翼の墓場」になる道を選んでしまった。
宇都宮を擁護する段階で、「サンダースを名乗るなんて生意気だ」といった言説も批判してきた。
が、それについては撤回する。
やっぱり、宇都宮はサンダースではなかった。批判して申し訳ない。
日本のサンダースは、様々なリスクを負いながら立候補表明して「野党共闘すべき」と煽り、そのまますぐに出馬撤回した石田純一氏であろう。
正直、都知事になってほしいとは思えなかった。
しかし、彼は今回の流れを作った最高の「役者」である。できることなら、「役者」として生き続けてほしい。
「左翼の終焉」とは、野間易通氏の新著の副題から引用した。
3.11以降、日本で見られた急激な市民運動の発展は、まさに「左翼の終焉」とも言える。
旧来の「左翼」が担ってきた、あるいは目標としてきた役割は超党派の市民が担うようになった。旧来「左翼」はその一部に過ぎなくなったのである。たとえば「革新懇運動」というものがあるが、彼らが目標としてきた運動は現在、市民連合がウィングを広げたうえで担っている。もちろん、その中のひとつの潮流として活動し続けることには意味がある。そもそもこの市民運動は「多彩な人々の連帯」であり、そこに結集する人たちがまた別のグループを構成していても、全く不思議はない。「雲」の中にも濃淡があり、濃い塊のひとつになる、というだけのことである。
その「雲」から外れたところにあるもののひとつが「左翼の墓場」である。
私自身は、思想的な左右で分けるなら「左翼」だと自認している。が、そもそも右翼も左翼もその定義は曖昧なものであり、右翼と呼ばれたこともある。「あなたからはそう見えるのだね」と受け入れるほかない。左翼でも右翼でも、別にその人の価値を高めたり貶めたりする評価にはならない。自由に評価してもらって結構である。
そして、「墓場に埋もれた左翼」に、私は未練はない。
私はANTIFAであり、リベラルであり、そして「雲の一粒」である。
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