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カーネーション×GRAPEVINE対談 勇気ある音楽馬鹿たちに向けて

カーネーション×GRAPEVINE対談 勇気ある音楽馬鹿たちに向けて

カーネーション『Multimodal Sentiment』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:沼田学 編集:飯嶋藍子、柏井万作

「音楽にまつわる歴史のすべてとあらゆる無駄な妄想やレコードを愛してやまない勇気ある音楽馬鹿たちに本作を届けたい」——そんな直枝政広(Vo,Gt)の言葉とともに送り出された、カーネーションのニューアルバム『Multimodal Sentiment』。カーネーションの二人にとっては約4年ぶり、通算16枚目のオリジナル作となる本作は、彼らが辿って来た道程を踏まえながら、それを遊び心と極上のメロディーに乗せて真っ直ぐ未来へと打ち放つ、そんな瑞々しくも突き抜けた一枚となった。

大森靖子や川本真琴など、数多くのミュージシャンが参加している本作。その中にひとり、少々意外な人物が混じっていた。GRAPEVINEのギタリスト・西川弘剛だ。昨年の2月に対バンして以降、さらなる親交を温めていたという直枝と西川。彼らが意気投合した理由とは、果たして何だったのか。そして、西川が見たカーネーションの制作現場とは、どんなものだったのか。

1988年にメジャーデビューしたカーネーション。一方、97年にメジャーデビューしたGRAPEVINE。世代こそひと回り違えど、結成からそれぞれ30年、20年以上を経た今もなお、第一線のロックバンドであり続けている彼らは、自分たちが辿ってきた道程を、そして現在の音楽シーンを、どのように見ているのだろうか。『Multimodal Sentiment』についてはもちろん、それぞれのバンドの現在のあり方に至るまで、二人に語らってもらった。

ゲストを呼ぶこと自体が僕らにとってはアレンジメントなんですよ。(直枝)

―先頃リリースされた最新作『Multimodal Sentiment』は、カーネーションにとって、実に4年ぶりのアルバムになりました。

直枝:結構、空いちゃいましたね(笑)。まあ、そのあいだにSoggy Cheerios(直江が鈴木惣一朗と結成したユニット)で2枚アルバムを作ったり、常に大森靖子さんのプロデュースやサポートをしたりしていたので、何もしてなかったわけではないんですけど。あくまでも、カーネーションが僕の母体だから、そこは焦りたくなかったし、軽々しくはできないので、機が熟すのを待っていたところはあります。

―今、挙げられた大森靖子さんをはじめ、本作はかなりたくさんのミュージシャンがゲスト参加しています。

直枝:まあ、僕らはもう、何が起こっても怖くないというか、レコーディングやライブに誰が参加しようが、もうそれがカーネーションなんだっていうふうに捉えているんですよね。だから、ゲストを呼ぶこと自体が僕らにとってはアレンジメントなんですよ。 ゲストに来ていただく方にはいつも言っていることなんですけど、あなたに来てもらったということは、僕が書いた楽譜に沿って弾いてもらいたいわけではなく、もうあなたの自由にやってくださいと。それをジャッジするのは僕らだけど、ちゃんと責任も持ちますよっていう。

―なるほど。その中のひとりとして、個人的にはちょっと意外な方が入っていて……まあ、今日来ていただいた西川さんなんですけど(笑)。

左から:西川弘剛、直枝政広
左から:西川弘剛、直枝政広

西川:あ、はい(笑)。当初、弾くつもりはなかったんですけどね。ベテランのレコーディングを見てみたいなと思ってて、「もしレコーディングする機会があったら、見学させてもらえませんか?」というお願いを、以前から直枝さんに伝えていて。それからずっと音沙汰なかったんですけど、突然、「明日からレコーディングするから見においでよ」って連絡をいただいて。

―なぜレコーディングを見たかったんですか?

西川:GRAPEVINEも自分たちなりのレコーディングの仕方はあるんですけど、他の人たちはどうしているのか、ちょっと見てみたいじゃないですか。どっちかっていうと、作業よりも現場の雰囲気を知りたかったんです。ベテランの人たちは、どんな感じの雰囲気で、レコーディングをやっているのかなって。例えば、ちょっと作業が停滞したり悩んだりしたときに、誰がどんなことを言うのかなって。それにすごい興味があった(笑)。

直枝:あっ、そういうことだったの?

西川:はい(笑)。でも、実際現場に行ってみたら、全然揉めないんですよ。みんな演奏は上手だし、直枝さんのデモテープがすごいしっかりしているから、迷いもあんまりなかったりして。結局、僕が行った日は、2、3曲録り上げてましたもんね。

左:西川弘剛

直枝:結局、2曲かな? ちゃんと形になったのは。

―むしろ、GRAPEVINEの現場のほうが大変だったり?

西川:そうですね。レコーディングの最中なのに悩んでいるときもまだまだありますし、録り終わった後に編集して、構成をいじったりもしているので。うちのほうが、よっぽど悩んでるかもしれない。

カーネーションの場合、僕が参加した“WARUGI”っていう曲も、見学させてもらったその場で普通に録り終わって、もうほとんど今の形になっていました。で、そのタイミングで直枝さんに、「西川くん、何か入れてみる?」って言われて……入れるところ、もうないけどっていう(笑)。

直枝:(笑)。でも、西川くんも、ちょっとウズウズしてたじゃない?

西川:そうでしたっけ?(笑)

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リリース情報

カーネーション『Multimodal Sentiment』
カーネーション
『Multimodal Sentiment』(2CD)

2016年7月13日(水)発売
価格:3,300円(税込)
CRCP-40468/9

[CD1]
1. まともになりたい
2. WARUGI
3. Lost in the Stars
4. いつかここで会いましょう
5. Pendulum Lab
6. 跳べ!アオガエル
7. アダムスキー(Album Mix)
8. Autumn's End
9. E.B.I.
10. 続・無修正ロマンティック ~泥仕合~
11. Blank and Margin
12. メテオ定食(Album Mix)
[CD2]
・アルバム全曲のインストゥルメンタルバージョン

イベント情報

『カーネーション「Multimodal Sentiment」リリース記念ライブ』

2016年10月3日(月)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO
出演:
カーネーション
大谷能生
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料金:前売4,500円 当日5,000円 学割2,500円

プロフィール

カーネーション
カーネーション

1983年12月「耳鼻咽喉科」を前身に「カーネーション」結成。1984年シングル「夜の煙突」(ナゴム)でレコードデビュー。以降、数度のメンバーチェンジを経ながら、時流に消費されることなく、数多くの傑作アルバムをリリース。練りに練られた楽曲、人生の哀楽を鋭く綴った歌詞、演奏力抜群のアンサンブル、圧倒的な歌唱、レコードジャンキーとしての博覧強記ぶりなど、その存在意義はあまりに大きい。現メンバーは直枝政広(Vo.G)と大田譲(B)の2人。他アーティストからの支持も厚く、2013年には結成30周年を祝うべく14組が参加したトリビュートアルバム『なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?』が発売された。2016年7月13日に4年ぶり16枚目のオリジナルアルバム『Multimodal Sentiment』をリリース。

GRAPEVINE
GRAPEVINE(ぐれいぷばいん)

ブルースやソウルに耽溺していた早熟なボーカリストと、ビートルズやニール・ヤング、XTCに影響をうけたプレイヤーたちが大阪で出会う。彼らはマーヴィン・ゲイの曲から名前を借用し、ロックバンド「GRAPEVINE」を結成する。結成メンバーは田中和将(Vo&Gt)、西川弘剛(Gt)、亀井亨(Dr)、西原誠(Ba)。セルフリリースのカセットテープが注目をあび、1997年にポニー・キャニオンと契約。1997年9月、ミニアルバム『覚醒』でデビュー。2002年に西原誠が脱退し、金戸覚(Ba)、高野勲(Key)がメンバーに加わった2014年、ビクター / スピードスターレコーズに移籍。2016年2月に最新アルバム『BABEL,BABEL』をリリースした。8月からTRICERATOPSとともにデビューアルバム再現ライブツアー「IN A LIFETIME2016」を開催する。

関連チケット情報

2016年10月3日(月)
カーネーション
会場:CLUB QUATTRO(東京都)

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劇団快快“ウェルカムチキュージン”

8月7日に一時休館となる渋谷PARCO前でおこなわれた劇団快快によるパフォーマンス。「地球に暮らす宇宙人」をテーマにした衣装で歌い踊りまくる姿はポップで多幸感にあふれる。小林うてなとOpen Reel Ensembleもゲスト参加。
(野村)