さあ、やってきた、四年に一度のお祭りだ。にわかスポーツファンになる準備はできている。
いつでも来い、松岡修造!
今回のリオ五輪で注目しているのは、フェンシングの太田雄貴選手と、レスリングの登坂絵莉選手。
私はかつて、フェンシングを題材にした漫画の連載を企画したことがあった。けっこうな量の取材を行い、いまは亡き、月刊少年ジャンプに読み切りも描いた。
当時のフェンシングは、圧倒的に地味な存在だった。太田雄貴もまだ高校生で、ごく狭い世界でしか認知されていなかった。
バンドのファンにありがちな、「売れる前から知ってたよノリ」が私を支えている。金メダルを獲ったら、言っちゃうんだろな。
「いつかこんな日が来ることを、私は10年前から知っていたよ?」
登坂絵莉は、今回が初五輪なのだが、同郷(富山)なので応援に力が入るのは当然。
ルックスもいいので、結果次第では、あっというまにアイドル的人気を獲得しそう。金メダルを獲ったら、言っちゃうんだろうな。
「え、絵莉たんに、寝技を決められたいですぅ」(ハァ・・・、ハァ・・・)
いや、そういうキャラじゃないわ。
*
さて、今回オススメしてみる10本は、メイン、もしくは一部に、オリンピックを取り扱っている映画である。
オリンピック前に観て気分を盛りあげておくのもよし、オリンピック後に訪れる、祭りのあと独特のさみしさを埋めるために用意しておくのもよし。
スポーツのよさは、事実であるところ。どんな創作者の筆致も、事実にはかなわない。なので今回紹介するのは、1本をのぞけば、事実、もしくは事実に基づいた作品ばかりである。
胸が熱くなる、スポ根オリンピック映画3本
オリンピックが人を惹きつけるのは、そこに「熱」や「感動」があるからだろう。まずは擬似的にその感覚を味わえる3本を。
(画像はAmazonへのリンク)
『炎のランナー』
(1981年 原題『 Chariots of Fire』)
種目は陸上短距離、舞台は1924年パリオリンピック。
二人の対照的なランナーの物語。ひとりは、人種への偏見に苦しみつつ、みずからの尊厳のために走る。ひとりは、神のために走る。
ライバルとなる二人は、目標とするメダルに手が届くのか。
当時のイギリスの、権威主義や差別といったバックグラウンドが、ふたりの真摯な姿勢をより際立たせている。
ヴァンゲリスによるテーマ曲『タイトルズ』は、その崇高さがオリンピックのイメージにぴったりで、いまや公式テーマ曲であるかのように多用されている。
流れれば、かってに感動スイッチをオンにされるから、もはや迷惑ですらある。
その気高き精神に金メダルを。
『クール・ランニング』
(1993年 原題『 Cool Runnings』)
種目はボブスレー、舞台は1988年カルガリーオリンピック。
100メートル走でジャマイカ代表になること目指していた青年は、ハプニングによってそのチャンスを失う。 どうしてもオリンピックに出たい青年は、かつての金メダリストに出会う。だが種目は、ボブスレー。
ボブスレーって、なんだ?
コメディ寄りの物語だが、終盤はしっかり熱い。
オリンピックうんぬん抜きで、私の好きな映画ランキング、トップ10に入る気がする。
物語の構成が、スポーツ漫画として見れば、完璧である。雪を見たことのない人間が冬のオリンピックを目指す、なんて設定は、じつに少年漫画的でわくわくする。
レゲエブームとともに降臨した作品で、鑑賞前に予習として買ったサントラは、いまだに聞くことがある。
その~ ノリの良さに~ 金メダルを~ Yeah Yeah Yeah ♪
『ミラクル』
(2004年 原題『Miracle』)
種目はアイスホッケー、舞台は1980年レークプラシッドオリンピック。
当時、史上最強といわれたソ連代表に、学生の寄せ集めチームで挑むアメリカ代表の物語。
くせの強いコーチ、バラバラのチームメイト。種目がアイスホッケーなだけに、精神面だけでなく、肉体的にもぶつかりながら、共通の目的のもと力を合わせていく。
彼らはタイトルのとおり「ミラクル」を起こすことができるのか。
ベタベタです。ベッタベタであります。が、それがいい。これぞスポ根。
『クール・ランニング』につづいての冬季五輪だが、暑い夏に観るのも一興。
リンクをも溶かすその情熱に金メダルを。
スポーツも芸術、なオリンピック記録映画3本
私は、オリンピックの中盤、および閉幕のタイミングで放送される「総集編」を見るのが大好きだ。何度でも見ていられる。
テレビがなかった、もしくは、まだメディアとして未熟であった時代は、「記録映画」というものがそういった役割を果たした。
IOC(国際オリンピック委員会)は毎回、公式記録映画の制作を開催国に義務づけている。歴代作品の中から、いまでも名作として語り継がれる3本を。
『オリンピア』
(1938年 原題『Olympia』)
舞台は1936年、ベルリンオリンピック。
この大会から、オリンピックは開催地の国威を示すための「ショー」としての側面を強くしていく。
記録性よりも芸術性を重視しているという評価が、肯定的な意味だけでなく否定的な意味でも使われた。
しかし、これ以上のオリンピック映画はないともいわれていて、ヴェネツィア国際映画祭で最高賞を受賞、以降の記録映画に大きな影響を与えた。
のちに、ナチスのプロパガンダ映画だとして糾弾されたことでも知られる作品。
その先進性にGoldmedailleを。
『東京オリンピック』
(1965年 日本映画)
舞台は1964年、東京オリンピック。
巨匠、市川崑が総監督を務めたことでも知られる。
『オリンピア』の影響を受けた、芸術性の高い作品。
当時は映画館だけでなく、学校や公民館でも上映会が開かれ、非公式ながら観客動員数は2350万人、事実上、日本映画史上最多ともいわれている。
(公式の最多記録は『千と千尋の神隠し』の、おなじく2350万人)
つぎの記録映画『東京オリンピック』にも金メダル級のものを期待。
監督は、庵野秀明はどうだろう。 市川崑発案の、文字を黒バック、直角に曲げた明朝体で表記、というスタイルを受け継いでいるので。
そのころまでには、新劇場版エヴァも完結してる、・・・・・・よね?
『白い恋人たち』
(1968年 原題『13 Jours en France』フランス映画)
舞台は1968年、グルノーブルオリンピック。
『オリンピア』の影響を受けた『東京オリンピック』、の影響を受けた、これも芸術性の高い作品。
おなじタイトルのテーマ曲がよく知られている。久石譲っぽいと感じるのは、私だけではないはず。
桑田佳祐の『白い恋人達』とは無関係。北海道土産も無関係。
原題は『フランスでの13日』。ぜんぜん違う邦題をつけた人、オシャレね~。
その映像美に金メダルをシルブプレ。
オリンピックにまつわるドラマチックな映画3本
オリンピックであらたなスター選手が誕生すると、メディアはさかんに周辺取材を行い、その実像を掘り下げる。
選手がおばあちゃん子で、そのおばあちゃんがテレビの前で涙するシーンなんかを流されると、こっちまでいっしょに泣けてくる。
関わるひとりひとりにドラマがある。それはオリンピックの前から、そしてオリンピックの後もつづいていく。
『フォックスキャッチャー』
(2014年 原題『Foxcatcher』)
種目はレスリング、関係舞台は1988年ソウルオリンピック。
ロサンゼルスオリンピックの金メダリストである青年は、つぎのオリンピックに備え、資金が潤沢なあらたなチームに入る。しかしそのチームのコーチは、なにかがおかしい。
1996年に起きた射殺事件に至るまで描く。
デビット・フィンチャー監督作品と聞いても納得してしまいそうなネタ。
理解しがたい虚栄心は、金メダルからはほど遠い。
『ミュンヘン』
(2005年 原題『Munich』)
関係舞台は1972年、ミュンヘンオリンピック。
華やかな祭典が行われるなか、選手村にテロリストが侵入、選手を人質に取る。
最悪の結果に終わった「ミュンヘンオリンピック事件」に端を発した、報復作戦を描いた作品。
オリンピックはあくまでも序盤の舞台にすぎないが、テロの脅威が異様に高まっている現代の情勢を見るに、今回のリオでも、その可能性を考えずにはいられない。
リオの警備関係者が以前、おれたちはがんばらない宣言をしてたが、大丈夫なんだろか・・・・・・。
ぶじに終わったなら、警備関係者に金メダルを。
『不屈の男 アンブロークン』
(2014年 原題『Unbroken』)
関係舞台は1936年、ベルリンオリンピック、および1998年、長野オリンピック。
オリンピック出場歴のあるランナーの青年は、戦争に参加する中で、日本軍の捕虜となってしまう。そこでの生活は、想像を絶するきびしいものだった。
原作小説における日本軍の描き方に問題があるとして、国内では公開までに一悶着あった作品。結果的に公開規模が小さくなり、DVDの発売もまだなので、私も未見である。
のちの長野オリンピックで聖火ランナーを務めた場面も含まれているというから、日本へのわだかまりのないものに仕上がっていると思いたい。
アンジーの初監督作品。メダル判定は不可。
番外編1本+α
『X-ミッション』
(2015年 原題『 Point Break』)
関係するのは2014年、ソチオリンピック。
FBI捜査官が、ある犯罪組織に潜入する。その組織は、エクストリームスポーツのスキルを駆使した奇抜な方法で現金を強奪し、貧民街に現金をばらまいていた。
バイクで道なき道をぶおーん、スノーボードで崖をしゅばーん、ウィングスーツで空をびゅーん。
いわゆるアトラクションムービーであり、ストーリーはあまり重要ではない。CGなしの、リアルで過激なスタントに夏の暑さを忘れる。大スクリーンで見るべきだったなあ。
命知らずなスタントに金メダルを。
これがなんでオリンピックネタ?
えーっとですね、スノーボードのシーンは、ソチオリンピックの金メダリスト、ユーリ・ポドラドチコフらがスタントを担当したということで。
すんません、これを入れないと、紹介数がきりのいい10本にならなかった・・・・・・。
『オリンピックの身代金』
舞台は1964年、東京オリンピック。
あの東京オリンピックには、とある学生によるテロ計画があった。
事件自体はフィクションだが、時代背景がしっかり描かれているため、当時の日本人が、どんな思いでこの一大イベントを受け止めていたかといった空気を体感できる。
竹野内豊、松山ケンイチら出演でテレビドラマ化もされた。
けっして楽ではなかった時代に、この国家的イベントを成功に導いたすべての国民に金メダルを。
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ということで今回は、オリンピックに乗っかった記事を書かせていただいた。
リオではどんなスターが、名言が、生まれるのだろう。にわかスポーツファンはわくわくしている。
Até logo!(ほな、またね)
五輪とは無関係なゆるい四コマです
『まぐねっこ』(by 五郎)
◆その23
・・・・・・!?
『ペットボトルくん』(by ショウエイ)
◆その55
なんでだろう。