【萬物相】ドライブレコーダーが映し出す韓国社会

【萬物相】ドライブレコーダーが映し出す韓国社会

 先月、とある30代の公務員は、反則金3万ウォン(現在のレートで約2800円。以下同じ)の通知書を受け取っていぶかしく思った。いくら考えてもそんなことをしたはずはないのに、通知書には「信号操作不履行」と書いてあった。これは、ウインカーを出さず車線変更したことを意味する。何の罪になるのかと思うだろうが、これは厳然たる道路交通法第38条違反。当惑して警察を訪れたところ、誰かが、問題の場面を撮影したドライブレコーダーの映像を通報したのだという。仕方なく反則金を払い、警察署を出て、その公務員は「世の中は本当に恐ろしい」と思った。

 自動車に取り付けられるドライブレコーダーは、事故が起きたときに「解決士」役を果たすということで人気が出た。韓国を走る自動車の30%、600万台ほどがドライブレコーダーを積んでいる。そんなわけで今では、道路や犯罪現場で「沈黙の目撃者」役を果たすことも随分多い。2年前に高速道路で起きた「三段棒(警官などが持つ長さの伸びる警棒)暴行事件」も、ソウル市江南で先月、ほかのドライバーを暴行した「ペンペン交差点活劇」も、そろってドライブレコーダーに撮られた被疑者が捕まっている。ドライブレコーダーが怖くて、当たり屋の恐喝団による保険金詐欺も低迷している。

 ドライブレコーダーが初めて登場した時点では、形を記録する程度だった。それが今では、走っている車のナンバープレートを識別できるほど画質が向上し、音声も記録される。そのおかげで、汚職事件を摘発したというケースまであった。水原で2年前、ある企業の社員が、タクシーの中から会社に「税務公務員の接待をうまく終えた」と報告する声がドライブレコーダーに録音された。タクシーの運転手が通報し、2000万ウォン(約190万円)の賄賂を受け取った税務公務員が逮捕された。

崔源奎(チェ・ウォンギュ)論説委員
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