シン・ゴジラ:ネタバレ感想/考察

シンゴジラを観て以来、感想や考察などを漁っていましたが、どうにも自分が満足するレビューが見当たらないのでここで書きます。Twitterでネタバレはできないし、でも語りたいしで大変欲求不満なのです。時系列順に、思ったことを書いていきます。













冒頭、まず思ったのは、登場する政府関係者がはじめから真面目すぎないか?もちろん原因不明の海底トンネル崩落はそれなりに大事件ですが、これからの大参事の予兆である以上、演出的にもっと軽めに描写すべきだと思いました。はじめはなんてことないただの事故、それがだんだんとんでもない事態に発展していく。その落差を出すには、冒頭のキャラの態度をもっと気楽で能天気なものにしてもよかったのではと思うのです。

矢口がこの時点で巨大生物の可能性をやたら強く提言することに違和感があります。彼はネットの動画を一回見ただけで、他に何の根拠もないのに、強弁に巨大生物の可能性を主張します。赤坂などそれなりに親しい相手だけならともかく、公の会議の場で、総理大臣相手に主張するのはいささか行き過ぎでははないでしょうか。それこそ牧博士が実は彼の関係者で、巨大生物の存在可能性を以前から知っていたとか、なにかしらの個人的な因縁があれば説得力があったかもしれません。

突然の水蒸気の噴出と赤い海水。これはなんだったのでしょうか。そもそもゴジラはそれまでどこにいたのか。今回の映画ではいきなり東京湾のど真ん中から現れます。考えたのは、あの異変はゴジラが第一形態に進化した瞬間だったのではないかということです。つまりそれまではいわば第零形態、おそらくそこそこ大きな普通の魚のようなものだったのではないでしょうか。そこに至るまで長年進化を繰り返し、あの時あの瞬間、ついに生体原子炉機関を確立させたのでは。だからいきなり体温が100度以上に上がり、さらに進化の過程で体内構造が部分的に損傷し、出血した。それがあの赤い水だった。そのうち原子炉をコントロールする術を身に着け、体温の無制限な上昇が止み、水蒸気が止まったと。

ゴジラが川を遡り、船舶が次々に打ち上げられて人々が逃げ惑う様はまさに津波の描写そのもので、露骨でしたね。

初見では、ゴジラかと思わせておいてカマセ怪獣の登場というギャレゴジと同じ展開を取るのかと思わせておいて、やっぱりゴジラだったという2段構えのサプライズ構成で、してやられたと思いました。これはネタバレなしだからこそ楽しめる展開です。

それにしても第二形態は目が大きくて、それでいて濁っていて、かわいいような気持ち悪いような、しかもかなり動きが激しく、これはこれで怖かったですね。ただこの第二形態のCGが一番出来が悪かったと思います。CG臭さ出ますね。

鰓から体液を吐いていたのは何だったのか。思うに、鰓呼吸から肺呼吸へと進化する途中段階で、組織変遷に伴う出血だったのではと。

進む途中でいきなりバタンと停止する。初見では、ここでこの怪獣は死んで、人間側が死体を分析、今後もこのような巨大生物が現れる可能性に備えて準備を進める中で、真打ちのゴジラが登場する、という展開なのではと思いました。が、予想は外れ、非現実的な超急激進化。もはやポケモン並ですね。ここでようやくこの怪獣がまぎれもないゴジラであることを確信し、僕は心底たまげました。マジでか。

射撃をやめさせる総理。この瞬間こそが重要なターニングポイントだったのではと思います。おそらく、この時点のゴジラは、まだ自衛隊の攻撃が効くレベルの生物だったはずです。機関銃はともかく、誘導弾くらいで普通に殺せたのではないでしょうか。こここそがゴジラを倒せる最後のチャンスだったと思うのです。

カヨコのキャラクター、好きになれませんでしたね。リアルな登場人物たちの中で、一番漫画っぽい存在でした。おそらく意図的だと思うのですが、その意図は分かりません。アメリカ側からの視点で語る役割なら、普通に外国人キャストでよかったと思うのですが。まあ些細な不満です。

牧博士の消息を辿る展開は、パトレイバー1、2を思い出させました。物語冒頭から行方不明で、主人公たちが彼の思惑を後から追いかけていくという作り。そもそも牧博士という人は何がしたかったのでしょうか。「好きにした」とは何をしたのか。この牧博士とゴジラとの関係性がこの映画の中で一番分かりにくく、輪郭がぼんやりしています。僕が推測できるのは、おそらく牧博士はずっと第零段階までのゴジラを追跡研究していて、でもそれをDOEに報告せず、隠匿した。そのまま入水・・・それだけ?「好きにした」というにはなんかしたかんじがしません。そもそも、ゴジラが進化して日本を襲うことを願っていたのなら、生きて見届けたくはなかったのか?ま、パト1の帆場も同じなのでそういうことなのではとは思います。

ゴジラに放射能があることが判明した時の関係者のリアクション、もっといろいろ見たかったですね。官房長官の「これまた面倒な話になってきたなあ」というのも好きですけど。一般市民の放射能に対する不安とか、そこら辺の描写がもう少しほしかったです。まあ些細なことです。

ゴジラ二度目の上陸。これ、もっと遠くから察知できなかったの?最初に映った時点で、海面から高く身体が出てましたが、従来作品のようにまず海面に背びれが突き出てるのを発見して~という行程があればもっと遠海から対策取れそうなのですが。それこそ魚雷撃つとか。たぶんちゃんとした理由がありそうなのですが分かりません。自衛隊の作戦も、上陸阻止ではなく上陸してからの駆除、とはじめから組まれてた感じがします。

自衛隊の総攻撃。すごかったです。今作のいいところは、自衛隊は確かにゴジラにさっぱりかなわないけど、でも自衛隊弱いとは思わせなかったところ。自衛隊強いよ。ゴジラじゃなければひとたまりもない。順次攻撃威力を高めていってそれでもどうにもならず、やむなく撤退という流れは、やれることを全力でやりきってる感がありました。「火器の無制限使用を許可します」の台詞はかっこいいですね。

思ったのは、この時自衛隊は生物への攻撃の基本として、頭と足に攻撃を集中させていましたが、そのあとの米軍の爆弾が背びれに命中して貫通していたことを考えると、むしろ狙うべきは背びれだったのではないでしょうか。あそこは放熱板なのですから、通常の皮膚より当然薄くなってるでしょう。もちろん米軍のは地中貫通型爆弾という特殊なものだったからこそ効いたのかもしれませんが。

さて米軍の攻撃で初めて大きめのダメージを喰らったゴジラ、ここで待望の放射熱線です。いやーこれはすごかった・・・。ゴジラにとっても初めて使う熱線。あれはもともとああいう機関ができていたのか、それとも攻撃されたことで瞬間的に形成されたものなのか。ここら辺の、状況に応じて自分の体を作り替えていくさまはSCP-682を連想しました。まさに不死身のクソトカゲ。

まず可燃性のガスを大量に放出。そこに原理は不明だが着火して大火炎に。あれだけで一気に東京が火の海になってしまい、やべえとなりました。そこから炎が収束してプラズマに・・・もう最高です。最高です。最高です。下顎が割れるのは正直やらなくてもよかったんじゃねと思います。まあ些細な不満です。さらに背びれからのビーム。もうこれ見た時「何でもありやなこいつ」と呆れました。体内放射という人もいましたが、別物だと思います。撃ち終わりもプラズマから徐々に火炎に戻ってボボボボボ・・・ボシュンッと消える。最高です。もう最高です。不満があるとすれば、放射熱線を撃っているゴジラの姿を直接見る人間が描かれないところです。あの時の、あの世界では前代未聞の常軌を逸した攻撃に対する、あの世界の人間のリアクションが見たかった。生物が口からビームを吐く!?意味が分かんねえ!?というリアクション。まあ些細なことです。

打ち切った後の東京の空撮。コンテの絵がどんなだったか目に浮かびます。もう火の海を通り越してマグマの海になってないか!?

今作を2つに分けるとすれば、熱線を撃つ前、撃った後に分けられると思います。撃つ前まではドキュメンタリータッチ、被害にあう一般市民の描写もそれなりに挟み、カメラの視界が高く広い。撃った後はカメラの視点が矢口中心に低くなりました。もちろん意図的だと思います。でもやっぱり後半も一般市民の描写が見たかった。先ほど言ったように、この世界の人間のゴジラに対するリアクションというものを僕はもっと見たい。シャレにならない線量の放射能。とんでもない射程の熱線がもしかしたらこっちにまで飛んでくるのではという不安。テレビ画面に何度もリピートされる熱線を吐くゴジラ。怖いと思います。その体験を追いたかった。これはけっこう僕の中では大きな不満です。

総理大臣筆頭に国のトップの人間が一気に死んだのはかなり「この国やべえ」という危機感を抱かせました。あそこら辺の人たちが結構優秀に描かれていたので特に・・・。そして国として弱体化したところにつけこむように、米国、国連からの干渉。「日本を戦後からやり直す」ここも強くパト2を意識しました。東京に核兵器を落とされるというのはあくまで象徴であって、核兵器というガジェットそのものはたいして重要ではない。だから作中でも台詞の中にしか登場しない。その本質は、 事態を日本だけで解決できなくなれば米国に干渉され、この国が結局彼の国の属国であることに気づかされる・・・。この国のそんな不甲斐なさ、情けなさを浮かび上がらせることです。

だからこそ、日本人が日本人の手で事態を解決しなくてはならない。核兵器の投下というのはハリウッド作品ではよくある手段。それをさせないために頑張るという構図は、邦画対洋画という意識も感じ取れました。

不満を上げるなら、この間ゴジラは完全に沈黙しててほったらかしにされてるところですね。ここでゴジラの存在感が薄くなってしまっているのはなんか惜しいなと。例えば、エネルギーを溜めるということは温度が上がることですから、少しでも体温の上昇を遅らせるために冷却材を周囲に敷き詰めるとか、なにかしら日本側が対策を取り続ける描写が欲しかったです。特に、抑制剤の製造期間を得るためにカウントダウンを遅らせるという政治的工作は、それはそれでリアリティあっていいと思うのですが、でもそれで当初のカウントダウン通りにゴジラが目覚めちゃったらどうすんの?現場で実際に目覚めるまでの時間を稼ぐための物理的工作をする描写があったらな、と。

ヤシオリ作戦。発動の時に4度目のエヴァBGMが使用されます。これなんですが、4度も使うのはやりすぎでは・・・とはじめ思いました。何で4度も使うのか。僕は推測します。エヴァファンからしたら、最終作戦であるこのヤシオリ作戦発動の瞬間、クライマックスで初めてエヴァBGMが鳴りだしたら、それはテンションが上がるでしょう。でもそしたら頭の中はエヴァでいっぱいになってしまい、これからのゴジラとの戦いを「ゴジラ」として見れなくなってしまいそうです。ならエヴァのBGMをはじめから使わなければいいのですが、そこはきっとどうしても入れてみたかったのだと思います。おそらく庵野監督の中には「作戦発動の瞬間に流れるべき音楽の最高形」が決まっていて、それが鷲巣さんの「DECISIVE BATTLE」なのだと思います。エヴァファンへのサービスという面もあるでしょうが、本質はそこなのだと思います。あの曲が監督にとっての最適解であって、最適である以上作品をまたいで使用することも厭わないと。ですが、前述の通りクライマックスで初めて流せばヤシオリ作戦をエヴァイメージに染めてしまう。だから物語中盤から何度も流すことで、曲をこの映画に「馴染ませる」、エヴァの音楽だけど、ゴジラの音楽でもあるんだ、と観客に「慣らせる」、そのために何度も使用したのではないでしょうか。・・・結論から言うと全然馴染んでませんが。何度流れようがそのたびに「エヴァだ・・・」と思いました・・・。

新幹線爆弾、無人在来線爆弾、面白かったです。アイデアだなあ・・・。これまでやられやくだった電車が積年の恨みを晴らすとき。ゴジラを倒した(転倒させた)のは自衛隊でも米軍でもなく、JRだったとは!

無人機の爆撃を受けてのゴジラの背びれビーム。遠く離れた指令所を超えて空の彼方までビームが伸びていて、もうなんか現実離れしすぎててそれも怖かった。どんなに距離取ってても屋外でいる以上、流れビームが指令所に直撃する恐れがあるのでは?と・・・。あ、尻尾ビームはさすがにこれくらいはするだろと予想してました。

肝心の凝固剤経口投与作業ですが・・・いやあこれは一番ツッコミどころですよね。まずゴジラがポンプの届く場所に倒れてくれるとは限らない!倒れても瓦礫だらけでポンプ車が近づけなかったらどうする!道を開けるための重機も並走してましたが、あれだけではどうにもならないこともいくらでもありそうですし。だいたいポンプが口の中に入るまでにゴジラが起きださない保証はない!実際起きて熱線吐かれて第一中隊は全滅。まあ・・・想定内だったとは思いますが、あの現場にいた作業員、本当に「決死」の覚悟でしたね。ほとんど特攻ではないでしょうか?あんなにゴジラに近づいて・・・。

ただ、やっぱり全体的にうまく行きすぎという感は強いです。順調すぎる。こんな作戦、上手く進むはずがない!絶対どこかで想定外のトラブルが起きる!いや、ここでご都合主義で成功するのはいいんです、ただ、後最低一回は失敗する描写が欲しかった!せっかく飲ませた凝固剤がゴジラの姿勢が悪く口から漏れてて無駄になるとか。というか、舌どころかおそらく消化器官もなさそうなゴジラの口のどこから、凝固剤は摂取されたのでしょうか。まあ些細なことか。

でも、算段というか勝算は確かに充分ある策ではあったなとは思います。はじめに熱線を吐かせまくって体内のエネルギーを使い果たさせる。すると自然と休止状態になるからその時に転倒させて、そのまま眠っていただく。エネルギーがある状態で転倒させてもすぐ起き上がるでしょうが、休止状態寸前ならそのまま寝っぱなしになってくれる勝算は大だった・・・。 とはいえ、状況に応じていくらでも体を作り替えられるゴジラ、目論見通りに行くかもあやしい。 それこそがこの作戦の「賭け」だったのだと。初見ではこの目論見を僕は理解できておらず、「倒れてもゴジラすぐ起き上がるじゃん!飲ませられっこないじゃん!」とツッコんでました。

そもそもなぜポンプ車で経口摂取というあのシュールな画面を選んだのか。正直ストローでチューチュー飲んでるみたいでギャグすれすれだったのですが、これはゴジラを原発に見立てて、福島原発の冷却水注水作業のメタファーにしているからですね。日本人なら誰もが見れば気付く、露骨なメタファーです。これがやりたかった最大の理由だと思います。これがやりたかったからこそ、一見シュールなこの見せ方にしたのだと。その意図を理解した瞬間、ここまでのやや強引な展開の全てが許せました。ゴジラは暴走する原発のメタファー、そのテーマを伝えられた時点でこれは庵野監督の「勝ち」なんだと思います。

立ち上がったゴジラはいきなり凍り付きます。ここが解せないです。体内温度-196℃とかでしたっけ?え?なんで?たしかこれは血液凝固剤で、これで血流による冷却機能を奪って、体内温度が無制限に上がるのを防ぐために生体原子炉が停止する、というはずだったのでは?「冷却」される要素なくね?おかしい・・・。

推測としては、ここは「分かりやすさ」、「ゴジラが固まって動けなくなるというイメージの伝達」を優先し、理屈を捨てたのかな、と。庵野監督はそこら辺の思い切りがいい方なので、ここは理屈より印象優先だったのかな。とにかく、ゴジラを一番かっこいいポーズ、一番かっこいいアングルでモニュメント化してみたかった・・・のでは。東京のど真ん中に、負の遺産、人類の罪の記念碑として屹立する「ゴジラ」。それを日常的に視界に入れながら生きていくこれからの日本人。ゴジラ=人類の愚かさと「共存」していく。忘れない。目を背けない。なかったことにしない。そういう意味では、牧博士の思惑はまさに完遂されたことになります。ゴジラはそこにモニュメントとして立っているだけで僕たちを不安にさせ、自問させる。自分たちが何を抱えてきたのか、何を生み出してきたのか。それを問いさせる。そのための、この結末だったのだと思います。

なんかいいかんじにまとまりましたね。いろいろ抱えてたものを吐き出せてスッキリしました。なんかコメントとか頂けると嬉しいです。あ、最後に一つだけ。

「ゴジラ、完全に沈黙!」この台詞、最高ですね。聞きたかった!

バリキオス

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  5. rusethefoxのコメント: i cant read japanese but i hope everything is going well and you are okay <3
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