「幽霊会社」に政治資金から「調査費」を支出!? 小池百合子氏の「政治とカネ」疑惑を徹底追及!~岩上安身による神戸学院大学教授・上脇博之氏インタビュー(小池百合子候補編・後編) 2016.7.25
(記事構成:関根かんじ、平山茂樹)
※7月30日テキストを追加しました!
7月31日に投開票を迎える東京都知事選で、有利な戦いを展開しているとされる小池百合子氏。しかし、その小池氏に重大な「政治とカネ」にまつわる疑惑が次々と浮上している。
政治資金収支報告書によれば、小池氏が代表を務める「自民党東京都第10選挙区支部」は、2009年から2014年までの5年間に、「M-SMILE」という会社に、「調査費」名目で計335万7000円を支出している。この「M-SMILE」という会社の実態は不明で、2012年から「モノヅクリ」という名称に変更されたのだという。
この「M-SMILE」と「モノヅクリ」の社長を務めていた森口つかさ氏は、実は小池氏の元秘書で、明日、7月31日に投開票が行われる都議補選に出馬しているのである。
森口氏が小池事務所に入所したのは、2008年9月のこと。本来であれば、議員のために世論調査を行うのは秘書としての業務の一環であり、その対価は給与として支払い済みのはずである。つまり、「M-SMILE」に「調査費」名目で支払われた計335万7000円は、「裏金」に回った可能性が極めて高いのだ。
7月25日、岩上安身は市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表で神戸学院大学教授の上脇博之氏に直撃インタビューを敢行。小池氏の抱えるイデオロギーや「政治とカネ」に関する一連の疑惑に関して話しを聞いた。
本記事では、インタビューの後編として、小池氏の「政治とカネ」疑惑を扱った部分を掲載する。
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■後編動画
政治資金パーティーの「不記載」疑惑が浮上!
岩上「では、ここから小池氏の政治とカネの問題に移りたいと思います」
上脇「小池氏は、2012年3月12日と6月25日に政治資金パーティー『Y’sフォーラム』を開催しています。しかし、2012年の政治資金収支報告書の収入欄に、2つのパーティーの記載がないのです。
支出欄に、965,356円が『会議費』として、パーティの会場代にほぼ合致する金額が記載されています。パーティーとなるとパーティー券を売っているはずで、2つのパーティーの収入分が裏金になった可能性があるのです
小池氏の場合は不記載、または虚偽記載に問われかねない。小池氏は、書いていないことを認めた。舛添さんだったらツッコミどころ満載。収入分については言い訳をし、数字の辻褄合わせをしている。小池氏側は、過失だと言いたいんです。
訂正自体が虚偽記載の可能性もあり、説明責任を果たすべきです。おカネについては、舛添さんよりひどいと言えるでしょう」
上脇「小池氏代表の自民党東京都第10選挙区支部が、支援者が所有するビルの一室を、相場価格の半額程度で賃貸していることも明らかになりました。
家賃相場との差額は寄附として政治資金収支報告書に記載する必要がありますが、支部の収支報告書には記載はありません。事務所家賃として5年間、月約16万円です。相場では家賃45万円前後で、その差額は約1700万円にもなります」
「調査費」の支出先は幽霊会社!? 「M-SMILE」の実態とは
岩上「さらに小池氏の自民党東京都第10選挙区支部が、2009~14年までに、調査費として335万7000円を、会社『M-SMILE』支出していた。しかし、そのM-SMILEは実在していないといいます」
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上脇「調べたところ、M-SMILEという会社は登記されていません。そもそも存在していなかったのではないか」
岩上「ええ!?幽霊会社という話はよくあるが、登記もされていないなんて話は聞いたことがありません!」
上脇「小池事務所は、会社名『モノヅクリ』に変わったと弁明したが、変更後も、領収書が『M-SMILE』のままなんです。常識的に会社名が変わっても、前の社名で領収書を書きますか?かつ、小池事務所は、そのまま受け取っているんです」
岩上「架空会社に支払うことは、民間会社なら脱税、横領で犯罪です」
上脇「この支払先にはかならず、受け取る人間がいるんです。選挙の年、2012、14年は増えています。選挙の裏ガネに使われた可能性が拭いきれない。
選挙のための調査だと言うが、25万円支出している2013年には選挙はなく整合性がない。議員のために世論調査を行うのは秘書としての業務の一環であり、その対価は給与として支払い済みのはず。秘書の経営する会社に調査費用を支払うのはあまりに不自然です」
岩上「それで、小池氏は、7月31日に投開票が行われる都議補選に、森口氏を、独自候補として擁立した」
上脇「これで全容がわかったんです。『モノヅクリ』はスーツを作る会社で、調査会社ではなかった。森口氏のプロフフィールにも、『M-SMILE』は出てきません」
岩上「森口氏は、兵庫生まれで京大大学院、兵庫県立大大学院、慶応大学大学院に入学だけで卒業も退学も書いてない」
上脇「学歴が正確に書かれていない。さらに経歴があるが、『M-SMILE』の記載はない。会社は実在しないと考えるべき。2009年、『M-SMILE』に調査費が出ています。秘書の幽霊会社に支払っていると思え、説明責任があります。
秘書の勤務期間が書いてないので、もし森口氏の会社に払っている期間に、森口氏自身が秘書だとしたら、裏金づくりに利用したと思われても反論できない。
元秘書の勤務期日がはっきりしないが、森口氏が2009年、M-SMILEの元社長で秘書だったとすると、秘書に頼めばいい。形式上は、会社に払っているから、森口氏に払ってはいない。お金は誰に渡ったか。何に使われたかは、わからない。
舛添氏は、政治とカネで辞任したんです。その後釜に、平然と舛添氏より政治とカネの問題を抱えた人が立候補すること自体が不可解極まりない。改革というイメージだけで、支持したらしっぺ返しされますね」
岩上「こういう実態をマスメディアが報じないことがいちばんの原因でしょうが、それはもうあきらめるしかない。舛添さんも新党改革でした。今回も改革ですが、騙されないようにしてください」
IWJではこのインタビューが行われた後の7月29日、都議補選の街頭演説を行っていた森口つかさ氏を直撃した。森口氏はIWJの取材に対し、小池氏からの「調査費」の受領に関して、自身が小池事務所の秘書を務めていた時期と、「M-SMILE」の社長だった時期とは「かぶっていないという認識だ」と説明した。
他方、「自民党東京都第10選挙支部」が「調査費」名目で支出した計335万7000円に関しては、「秘書でない時期に、個人として受けていた」と説明。しかし、政治資金収支報告書には支出先として「M-SMILE」と明記されており、森口氏の説明と食い違いが生じる。
■森口つかさ氏への直撃取材
あの”号泣県議”と同様の手口!? 1年間で5000枚という大量の切手を購入!
上脇「そして、自民党東京都第10選挙区区支部の収支報告書に添付された、領収書をチェックすると、宛名も、ただし書きも空白の領収書が多数発見されました。これは舛添前知事もやっていました。
2014年には1年間で5000枚という大量の切手を購入し事務所費として計上。号泣県議こと野々村竜太郎被告と同様の手口ですね。大量発送の場合は料金別納でするが、小池氏は別納もしているという。
切手は換金する場合がある。他に政治資金管理団体もあり、選挙の年は、切手代も100万円を超えます。
自由民主党豊島総支部が、2013年10月22日、自由民主党豊島総支部女性部に対し30万円を女性部補助金として支出しています。これは使途不明金です。補助金の名目も不可解です。
さらに、自由民主党東京第10選挙区支部の2014年分政治資金収支報告書に、自由民主党東京都支部連合からの寄付金として、計17万7001円分が不記載です。これも裏金として支出された可能性があります。
それぞれの金額は多くはないが、あっちこっちに使途不明金があり、お金にクリーンとは、とうてい思えません」
岩上「にもかかわらず朝日新聞は、『小池氏はお金にはクリーン』というイメージを有権者が抱いているという調査結果を記事にしています。早く実態を伝えないと都知事選挙は終わってしまいます。今回は刑事告発はされないのですか?」
上脇「私たちグループが、猪瀬元都知事、舛添前知事と今まで告発した人は、みんな辞めています。小池氏は舛添氏よりもひどい。マスコミがきちんと報道すれば、舛添さんのように、遅かれ早かれ、また辞任することになる」
岩上「猪瀬氏、舛添氏とカネの問題で辞任することになって、今回の都知事選は、『クリーンな人』が最低限のスタートラインとなっているはずです。鳥越氏が私生活の女性問題を問われて、カネとスキャンダルにまみれた候補に票が流れ、勝つとするなら本末転倒も甚だしい」
上脇「当初、自民党は、叩けばホコリが出るので、国会議員からは都知事選候補を選ばないようにしていた。自民党が小池氏を押せなかった理由のひとつが、カネの問題だと聞きます。私たちが調べただけでもこんなに出てくるんですから」
岩上「森喜朗氏との確執があったとも聞いたが、それよりもカネの問題があったのですね。鳥越氏もあぶない。自民党が増田氏から小池氏に票を付け替えたら、小池氏に決まります」
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