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SSHの次は《SGH》? 「超グローバル高校」指定へ ‐ 渡辺敦司

政府の「教育再生実行会議」の第3次提言(外部のPDFにリンク)のなかで、グローバル・リーダーを育成する先進的な高校を「スーパーグローバルハイスクール」(仮称)に指定する方針が打ち出されました。《スーパー高校》としては既にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)がありますが、次の注目株は《SGH》 というわけでしょうか。

ところでスーパー高校として、「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」(SELHi=セルハイ)という指定校があったことを覚えていらっしゃるかたもいると思います。SSHもSELHiも、文部科学省が高校でも「学力向上路線」に転換したことの象徴的な存在として、2002(平成14)年度から指定を始めたものです。
SSHは今も毎年、新規指定があり、累計200校を突破しました。一方、SELHiのほうは2007(平成19)年度の指定(3年間)で累計169校を数えたのを最後に、指定事業自体が終わってしまいました。文科省によると「英語教育改善のための調査研究事業」に継承するというのですが、「先進事例となるような学校づくり」(SELHi)と「データ収集」(英語教育改善調査研究事業)では目的が違うため、事実上の打ち切りと言ってよいでしょう。

「英語が重要なのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、文科省のまとめ(外部のPDFにリンク)にある通りSELHi指定校では一定の成果が上がっていたものの、実は関係者の間では「英語を目的化しても仕方ないのではないか」という声があったのも事実です。商業高校の指定校などでは英語で取引するといったコミュニケーション能力がついたと評価されていましたが、それも通常の教育の範囲内で行えるのではないかという意見もありました。今やSSHでも、英語で授業をしたり、生徒も英語で成果を発表したりすることが当たり前になっています。既に焦点は「どうやって英語を身に付けさせるか」ではなく、「身に付けた英語で何をするのか」に移っているといっても過言ではありません。
そこで、SGHの出番です。第3次報告はその内容として、(1)外国語、特に英語を使う機会の拡大(2)幅広い教養や問題解決力等の国際的素養の育成……と簡単に示しているだけで、詳細はこれから急ピッチで詰めるものと思われます。ただ、(1)はあくまでも「手段」であり、「道具」としての英語を使いながら(2)をどうやって育てられるかが、グローバル・リーダー育成のカギになるでしょう。

グローバル化への対応とは、単に「英会話」ができるだけでは不十分です。文化や社会的背景がまったく違う人たちと一緒に、共通言語である英語でコミュニケーションを図りながら、そのなかでリーダーシップを発揮して物事を成し遂げる力までもが求められます。そのための素養を育成するのが、SGHの役割です。SGHができれば、卒業後の進路も国内にとどまらず、海外の大学が当たり前のように選択肢に入っていくことでしょう。

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