燃料電池車が市販されるなど、水素が身近になっています。最近では燃料としてだけでなく、病気を治す医療面での研究も進んでいます。一方、水素を水に溶かした「水素水」がブームですが、疑問視する声もあります。
水素原子(H)は、化学の授業で習った周期表の最初に登場する、もっとも軽い原子です。質量でみると宇宙全体にある物質の約70%を占め、地球上では水や化石燃料、有機化合物として存在します。原子二つで安定した状態の分子(H2)となり、利用や研究が進んでいるのはこの水素分子のことです。
水素は、化石燃料に代わる次世代のエネルギー源として期待されています。
水(H2O)に電気を通しエネルギーを加えると、水素と酸素(O2)に分解されます。反対に、水素と酸素を反応させると、水になりエネルギーを放出します。このエネルギーで電気をつくりモーターを動かすのが燃料電池車です。水を温める給湯器用の電池にも使われています。反応後に出るのは水だけで、クリーンエネルギーと言われるゆえんです。
ただ、燃料電池車用の水素ステーションや給湯器に供給される水素の多くは化石燃料から作られ、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出を伴うのが現状。将来的には、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを使って水を電気分解し、水素製造時にもCO2を出さない方法の普及が望まれています。
医療面での研究は、細胞を傷める活性酸素に水素を結合させれば無害化できるのではないかというアイデアに基づいています。
日本医科大の太田成男教授は活性酸素で脳が損傷しているラットに水素ガスを吸わせました。すると、水素なしのラットよりも損傷が軽くなりました。2007年に論文が発表され、水素研究が広がりました。
活性酸素は、病気で血管が詰ま…
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