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【社会】

防衛装備庁 研究公募10件採択 大学参加に批判 応募半分以下に

 防衛装備庁は、軍事研究への応用が可能な基礎研究に研究費を支給する公募制度で、二〇一六年度分について四十四件の応募があり、国立研究開発法人物質・材料研究機構(茨城県つくば市)や大阪市立大など十件を採択したと発表した。それぞれ最大で年三千万円の研究費が支給される。

 制度が始まった二〇一五年度は、応募数百九件に対し採択は九件だった。装備庁は、応募数が半分以下に減少した理由について「募集する研究テーマを絞り込んだのが要因の一つと考えられる」と説明したが、大学などが軍事研究に関わることについて批判的な見方も根強く、消極姿勢につながった可能性もある。

 装備庁によると、採択されたテーマのうち、物質・材料研究機構が研究するのは水中での摩擦抵抗を低減する技術。ペンギンが海中を高速で泳ぐ際、体表面に空気膜ができることなどを参考に泡を表面に形成する技術を掘り下げるという。潜水艦や護衛艦の高速化などにつながる可能性がある。

 大阪市立大は有毒物質を吸着する新素材の研究が選定された。災害現場やテロ対策で活用するガスマスクなどの新規開発に役立つとみられる。

 採択された組織は他に、北海道大、レーザー技術総合研究所、東京理科大、NEC、東京農工大、山口東京理科大、三菱重工。

 応募四十四件の内訳は、大学などが二十三件で、昨年度より三十五件減少。独立行政法人など公的研究機関が十一件、企業などが十件だった。

 

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