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 仏北西部ルーアン近郊の教会襲撃事件で、バルス首相は実行犯の1人アデル・ケルミシュ容疑者(19)について、司法当局が犯行4カ月前に身柄の拘束を解き、自宅軟禁に切り替えたことは「失敗だった」と述べた。同容疑者はシリアへ2度渡航を試みてフランスに送還され、テロに関わる可能性があるとされていたが、事件当時、1日4時間の外出が許されていた。

 29日付仏紙ルモンドのインタビューで答えた。バルス氏は、容疑者の更生の可能性などを考慮した司法当局の判断は「(イスラム過激派の)ジハード(聖戦)の案件に精通した裁判官らによるものだった」とし、専門的な知識に裏付けられていたと強調。そのうえで「(結果として)それは失敗だったと認めなければならない」とした。

 政権のテロ対策をめぐっては野党共和党のサルコジ前大統領が「時代の変化に対応した対策がとれていない」と、より強硬な手段を求めるなど、批判が広がっている。バルス氏は「我々は3年間で16回のテロを防いでいる。(サルコジ氏は)冷静さを失っている。時代の文化は変わり、テロのリスクをゼロにすることはできない時代に我々は生きている」と反論した。(パリ=高久潤