「ノケモンGOか……」
空調の聞いた部屋で一人呟いていた
それはもう、爆発的なヒットだった
当時マスコミ各社がこぞってあの冴えない小太りの若社長に取材を試みていたのをよく憶えている
景気の落ち込む中ワイドショーが飛びつくには格好のネタだったのだろう
ノケモンGOとそれを一社で全て企画開発運用していたノケモテック社は一躍スターダムにのし上がった
確か1日の売上が10億だか100億だかだったか、うろ覚えだがとにかく上場はいつだ!?海外展開は!?と
朝も夜も騒ぎ立てていたっけ
そんなマスコミの論調が変わりだしたのはノケモンGOがヒットして1週間程経った頃だった
とにかく、入ってはいけない場所、立入禁止区域にノケモンGOをプレイしていたユーザーが入ってしまいトラブルになったというニュースだった
ノケモテック社が全ての鉄道駅からゲーム内のイベントポイント(ノケストップ)を消去した明くる日、あの事故は起きた
結局、ノケモンGOは配信停止、社長及び開発責任者は日本社会に迷惑を掛けた罪、日本国民の和を乱した罪で刑事訴追され禁錮刑、今も収監されている
社員のその後については知らないがインターネット上では今も実名で全社員、開発メンバーのリストが、当然厳密には非合法だろうが公開されているらしい
――テレビでは10年前の事故には触れず、ノケモンGOについて幾分、好意的に紹介していた
海外の開発会社もノケモンGOを参考にしたらしい、コメンテーターが誇らしげに日本のゲーム業界の先進性について語りだした所でテレビの画面を落とした
時々思う
もしノケモンGOを開発したのが海外の会社だったなら、そしてそこにSomyやapploのような大会社が名を連ねていたなら……
そうしたらきっと僕は失業していただろうな
いや……、いっそそのほうが……
……
「ふふっ」
僕は15周年特別記念UUSSSR確定ユーザー還元100連ボーナスガチャ限定オリジナル特別仕様UUSSSRキャラの出現確率決定アルゴリズムのテストを開始した
ああ今日もきっと眠れないな