こんばんは!zorazoraです。
クライアントさんの関係もありますし、努めてお仕事の話は避けるようにしているのですが、編集者のような仕事をしていると、時に言葉遣いも気をつけなければなりません。
今日はせっかくだから、少しでも何かを感じ取って、ブログを書く際のお役に立ててもらえると嬉しいと思い、言葉を使う仕事をする者として差別用語に当たる可能性のある言葉を取りあげていきたいと思います。
1.身体障害者
身近なところでは身体障害者ですね。えっ?普通に新聞などでも取り上げられてるよ??と思われる方も多いかも知れません。ですが、この言葉を使うには配慮が必要となります。
ということです。少々古い出典なので時流とともに言葉の定義も変化しているかもしれませんが、知恵遅れの方を「身体障害者(身障者)」とは呼ぶのは間違いだと思われます。ただし、同じ出典の定義でいくと「身体」を取り除いた「障害者」という表現には知恵遅れや精神障害の方なども含まれます。例えば、知恵遅れの方々が公園で空き缶を拾う活動をされていたとします。
となるわけです。もっというと、「障害者」の「害」という字に、社会的にネガティブな印象を受ける可能性があるということで、「障がい者」と、「害」をひらがなに変換する動きもあります。
さらに、「障害を持つ」という言葉は、正確には物理的に障害を手に持っているわけではないので、「障害がある」という表現が望ましいそうです。
2.地方・田舎
これもよく使われていますよね。「地方創生」とか「東北地方」とか、「畑しかない田舎」とか。そもそも「地方」とか「田舎」の定義ってなんでしょうか。首都圏からの距離で定義することが可能かもしれません。東京都千代田区1丁目1番地の皇居を中心に半径100kmの円を描いてみました。
この地図を見る限り、宇都宮や高崎はギリギリ「都市」で、甲府やひたちなかは惜しくも「都市」から外れてしまいました。「地方」や「田舎」ということになります。
…ちょっと待ってください。勝手に定義づけておいて恐縮ですが、「大阪が入ってないやん」とか、「名古屋がみゃーみゃーゆーとります」とか、「福岡はどげんすっか」とツッコミが入りそうです。
そう、「都市」の定義ってきちんと決まっていないんですよ。「みやこ。都会。都邑。」(出典:『広辞苑』第六版,岩波書店)だそうです。「みやこ」なら京の都も「都市」ってことになりますしね。なので、「関東地域」とか、「東北地域」とか、全国一律に「地域」と定義づけてしまえば、「都市」か「地方」かで悩む必要はありません。もしくは「地方」で統一してしまってもいいかもしれません。札幌から見た「東京地方」とか。
今現在「首都」は間違いなく東京にありますが、本来「都市」と「地方」や「田舎」を切り分けるのは無理があるってことですよね。
3.啓蒙
「啓蒙」には、「無知蒙昧な状態を啓発して教え導くこと」(広辞苑)という意味が含まれます。なので、「バカな人に教えてやる」というように、完全な上から目線になる可能性があります。
その点、「啓発」なら「知識をひらきおこし理解を深めること」(同上)という意味ですから、問題ありません。
4.ジャップ(Jap)
ジャップとは、英語で日本人を卑しめて呼ぶ語です。この言葉の場合、使う当事者も差別用語だとわかっていながら使用していることが多いと思います。そういう場合は「What do You mean? Do you want to offend me??」(どーゆー意味?オラを怒らせたいんか??)と言って、売られた喧嘩は買いましょう。勝てる見込みがありそうなら…
ちなみに、「The Black(黒人)」とか「Yellow Monkey (黄色人種)」など、人種を肌の色で呼ぶことも差別とされていましたよね。Monkeyは明らかに余計だと思いますが…私は外国人に自己紹介するとき、あえて「Hi! I’m Yellow Monkey!!」とあえて自虐めいた自己紹介をすることもあります。「本当に黄色いサルに見えるのかな?」という好奇心もありますが。
失礼、脱線しました。しかし、現在黒人は他に表現のしようがないので、「アフリカン アメリカン(african american)」など、特別な指定が無い限りBlack manなどと呼んでもかまわないそうです。
5.めくら・つんぼ
「めくら」とは視覚障害のある方で、「つんぼ」は聴覚障害のある方ですね。「めくらめっぽう」という言葉があるように、「めくら」には物事の分別がつかない人、「つんぼ」は感覚を失っている無神経な人といったように、ネガティブな意味が込められている場合があるので使用は控えた方がいいかも知れません。
6.ちくしょう
この言葉は「畜生道」という仏教の教えに由来しているみたいです。「あの畜生め!」のような言葉は、明らかに相手をののしるための言葉なので意識して差別していますよね。今ではあまり使われなくなりましたが、「人畜無害(人にも家畜にも無害なこと)」という言葉も、これといってとりえが無い場合に使われるので避けた方が良さそうです。
7.ブス・デブ・ちび
自嘲して自分のことを「ブス」だとか「デブ」だとかいうのは構わないと思うのですが、他人を指差してこうした言葉を使うことは差別ですね。そもそも、こうした言葉に明確な定義がないので、体重何キロ以上が「デブ」で、身長何センチ以下が「ちび」なのかわかりません。あくまで主観的な価値観なので、他人に対して簡単にこういう言葉を使うことは望ましくありません。
8.ミス○○
割とどうでもよくなってきているのですが(笑)、「ミス・コンテスト」なども「女性差別」、「性の商品化」とされて特定の団体から抗議がくることがあるそうです。結論で述べますが、女性自身が望んで出場するコンテストをとやかく言う必要があるのか疑問です。しかし、そうした考え方があることも頭に入れておいた方が良さそうです。
9.白痴・バカ
「白地」とは、「知能がいちじるしく劣っていること」(広辞苑)、「もと、医学上の分類で、知的障害の最重度のものをいった語。言語の習得が不完全で、日常生活のすべてに介助を必要とする」(明鏡国語辞典)といった意味があるので、差別用語に当たります。「バカ」に関しては文字通りバカにされている(愚か者呼ばわり)ので赤の他人に使うのは失礼に当たります。
10.部落
「部落」には「身分的・社会的に強い差別待遇を受けていた人々が集団的に住む地域」(広辞苑)という意味が含まれている場合があります。今では信じられませんが、「部落」出身というだけで親御さんに結婚を許されなかったりした時代があったそうですよね。この言葉自体が、今では既に廃れてますけどね…
番外編:男子禁制、女性限定、女性専用車両
割とこれが言いたかったりします。たま~に男子禁制のカフェとか、女性限定のクーポンとかありますよね?なんでこれが差別に当たらないのかが不思議でなりません。女子会プランとか。「女性より男性の方がよく食べるから」とか、統計的には正しいと思いますけど、断言はできないはずです。逆に「男性限定プラン」はあまりありませんが、非難を呼ぶ可能性は多分にあるはずです。
また、これも議論になりますが、「女性専用車両」があるなら「男性専用車両」もあってしかるべきだと思うのです。女性が痴漢被害のリスクにさらされているように、男性も痴漢冤罪の被害のリスクにさられています。なので、私は満員電車の中でできるだけ女性の近くには寄らないようにしています。万が一女性の体に腕が当たるような状況に遭遇したら、両手でつり革を掴むなど、間違っても女性の体に手が当たらないように気をつけています。
気をつけなきゃいけないぐらいなら、「男性専用車両」を作ってくれれば痴漢の可能性は同性愛者の可能性を除いてゼロじゃないですか。女性専用車両しか存在しないのは逆差別だと訴えたいぐらいですね。だって、女人禁制の相撲の土俵とか、これまでのタブーは破られてきてるんですよ?「男子禁制」が許されるのなら、同じ割合で「女子禁制」も無いと不公平な気がするのですが…
結論:本人の感じ方次第
結局、何が「差別」に当たるかっていうのは、パワハラやセクハラと同じで本人がどう感じるかだと思います。当事者が見聞きした際に不快に感じるか感じないか。これによって「差別か否か」が決まると思うのです。だからといって、上司に「バカ」と言われたのが不快だからと裁判に訴え出るのは、金銭と労力の無駄になる可能性が高いです。
要は、言葉を使う側が、「いかにその言葉を使った時に不快に思う人を最小公約数におさめるか」が差別を少なくする方法だと思います。どんな言葉であれ、それを心地よく受け取る方もいれば不快に思う方もいるわけです。私自身、こうしてブログを書くことで気づかぬうちに誰かを傷つけているはずです。最低限その自覚だけは持って記事を書いていきたいと思います。
※記事内容は予告なく変更されることがあります(最終更新日時:2016年7月30日23時12分)