心霊写真ブームだったときにテレビに出ていた心霊写真に現れた幽霊はかなりサービス精神満載だった。
カメラ目線だったりいい感じに苦しい表情だったり、何か訴えかけるような目線だったり、それは俳優や女優の類だ。
その中でも一番印象に残ったのは店の宣伝用に撮った写真に写っていた幽霊だ。二枚同時に紹介されたのだが、どちらも同じ風景で赤い靄の場所が違っている。その二枚の写真をつなげると、なんと幽霊が苦しんでいる顔が現れたではないか!霊能力者曰く「地獄の縁で苦しんでいる悪霊が苦しみを訴えている」と言っていた。2枚にまでわたって登場し、かつ2枚重ねるとうまいこと人の顔になると言う演出である。
地獄の縁で苦しんでいるのになぜこの幽霊はこんなにも視聴者を楽しませる演出をしようとするのか。もっと苦しんでいる自分のことを考えればよいのに。もしやこれは日本人の社蓄魂のようなものなのか、この幽霊はサービス業にでも携わっていたのか。いずれにしてもこのようにサービス精神満載の幽霊が地獄の縁で苦しんでいるというのはなんと救いようのない世界なのだ。どれだけブラックな世界なのか。
最近は幽霊も写真でサービスする必要性がなくなったらしく、心霊写真の類の番組はほぼなくなった。これはあの世のブラック企業が減ってきたということか。朗報である。とにかく心霊写真に出てきて我々を楽しませてきてくれた幽霊さんたちにはあの世で安らかにいてほしい。