『扇風機をつけたまま寝ると死ぬ』は本当か 最新科学で都市伝説を調査
2016年07月30日 16時27分 CIRCL
2016年07月30日 16時27分 CIRCL
2016年07月30日 12時00分 CIRCL
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都市伝説というと、少々恐ろしい響きがあると感じるのはCIRCL編集部だけだろうか。「信じるか信じないかはあなた次第」…とは言わずに、今回は、ちまたに溢れる都市伝説を、それぞれ科学などで真偽を調査した記事を紹介したい。
少し内容が多いので、今回は睡眠に関する都市伝説をピックアップしてみた。
□「寝言に答えると夢から覚めなくなる」は本当?寝言に答えると「夢から戻れなくなる」とか「魂が抜けてしまう」などと言い伝えられているのは多くの方がご存知だろう。しかし、実際に夢から戻れなくなり何日も眠り続けたとか、魂が抜けて亡霊のようになった人を見たことがある人は、一体どれほどいるのだろうか?
もし、実際に夢から戻れなくなるようなことがあったとしたら、大きな社会問題となり、「寝言応答禁止法」なる法律すら存在する世になっていただろう。すなわち、この言い伝え自体が寝言なのかもしれない。
では、寝言に答えても良いのか? 答えは「あまり答えない方が良い。」である。
睡眠には、脳が覚醒に近い状態で眠りの浅いレム睡眠と、脳と体の両方が休息している深い眠りのノンレム睡眠の2つがある。周囲にわかるようなはっきりとした寝言を言うタイミングはレム睡眠の最中である。レム睡眠は眠りが浅いため、比較的周囲からの刺激によって覚醒しやすい。寝言を言っているときに返事をすると、それが刺激となって目が覚めてしまうということが十分あり得る。
また最近の研究では、レム睡眠中は覚醒中とは異なり、脳の感性や情動をつかさどる部分が活発に活動しており、日中に働く論理的思考をつかさどる部分はあまり活動していないことが報告されている。このことからレム睡眠中の動きの感知や情動の活動により常識にとらわれない発想ができるのではないかという仮説を立てている研究者もいる(※1)。レム睡眠を妨害することは感性や情動の発達に影響を与えるかもしれないのだ。
参考:CIRCL「「寝言に答えると夢から覚めなくなる」は都市伝説?」
□「電気カーペットをつけたまま寝ると死ぬ」という都市伝説は本当?続いてこちらの都市伝説、「電気カーペットをつけたまま寝ると死ぬ」は本当なのだろうか。
生活製品の使い方で問題がある事例や対処方法を紹介している国民生活センターには、電気カーペットを使用中に低温やけどになったという事例が多く寄せられている。
低温やけどは、素肌が長時間触れていたという事例が多く、ホットカーペットの上に敷いた布団に幼児を寝かせていたら、熱中症になったという事例もある。中には救急車で運ばれて入院したり、後遺症としてまひが残ったりといったひどいケースもある。
熱中症での死亡例は確認されていないが、電気コードがスパークして発火した火災では、死亡例が報告されている。製品の経年劣化での発火件数は多いので、寝ている時に使うと、火災が起きたのに気づかず死亡する可能性もある。
電気カーペットメーカーは、就寝用に電気カーペットを使用するのを禁止している。就寝用の使用についての記載があるかを調べたところ、5銘柄全てが取り扱い説明書や製品本体に、就寝時には使用しないように明記していた。そもそも就寝時に使ってはいけないのだ。
つまり、「電気カーペットの上で寝ると死ぬ」というのは都市伝説でもなんでもなく、可能性としては十分にあり得る事実だった。
参考:CIRCL「超コワイ冬の都市伝説 「電気カーペットの上で寝ると死ぬ」の本当のところ」
□「扇風機をつけたまま寝ると死ぬ」という都市伝説の真偽は?幼少期の夏の夜、布団に入る前に親から言われたことがないだろうか?「扇風機つけっぱなしで寝たら死ぬよ」と。熱帯夜が今ほど頻回ではなかったひと昔前なら、扇風機をあきらめ、汗をかきながら寝るというのも悪くない話だ。しかし、熱中症が心配される現代ではそうはいかない。夏本番となる前に、真実を明らかにすべくこの都市伝説を検証する。
そもそも、なぜ、扇風機をつけて寝ると死ぬという都市伝説が横行しているのか。1972年の毎日新聞の報道で「風呂上がりに扇風機をつけっ放しで寝た男性が心臓麻痺で死亡した」という記事が実際にあるようだ。1987年には「クーラー・扇風機が殺人 裸で寝て心不全」という記事も出た。
こうした新聞報道の見出しだけを見ていると、まるで扇風機が原因で突然死亡したかのような印象を受けるのだが、実際には、死亡した人々は心臓病やアルコール依存症などの持病を持っていた。
扇風機をつけっぱなしにしたことが死亡の直接の原因だという医学的な根拠はないのだ。東京で活躍するある内科医は「健康な人なら、亡くなることはない」と断言する。
しかし、いくら健康な人といっても、就寝中の扇風機のつけっ放しは、寝冷えで風邪をひいたり、おなかを壊すことがある。長時間、風圧のストレスを受けるので、体がだるさや重さを感じるかもしれない。そういった点では注意が必要だ。
参考:CIRCL「「扇風機をつけて寝ると死ぬ」あの恐ろしい都市伝説の真実」
睡眠に関わる都市伝説は、なぜか「夢から覚めなくなる」とか、「死ぬ」とか、少し怖いものが多い。しかし科学的に説明されれば、むやみに恐怖を抱くこともなくなるだろう。上記で紹介した注意点をしっかり念頭に入れつつ、今日も良い睡眠を。