少女像は「民間の問題」 韓国外務省局長、国民感情に配慮

 【ソウル曽山茂志】韓国外務省の鄭炳元(チョン・ビョンウォン)東北アジア局長は29日、現地ラジオのインタビューに応じ、ソウルの日本大使館前にある従軍慰安婦問題を象徴する少女像について「民間が設置したものであり、政府がああしろ、こうしろと言える問題ではない。そういう立場で(日本と)合意した」と述べた。

 少女像撤去に敏感な国民感情に配慮し、慎重な言い回しをしたとみられる。28日に発足した元慰安婦支援の「和解・癒やし財団」の理事も務める鄭氏は、日本側が拠出する10億円について「少女像撤去とはまったく別問題」と改めて強調。その上で「資金拠出が遅れて、財団の事業が遅くなるようなことはないだろう」と述べ、早期に受け取れるとの見方を明らかにした。

 財団を巡り、日本政府の一部から両国の留学生支援など「未来志向」の事業を求める声が出ているが、鄭氏は「財団の目的は被害者の名誉と尊厳の回復であり、それらと関係ない事業は考えられない」と明言。「日本側からの提案もない」と述べた。

 一方、韓国の聯合ニュースは29日、鄭氏と日本外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が、8月第2週にもソウルで財団の運営などを協議するとの見通しを伝えた。10億円の支払い時期も固めるとみられる。

=2016/07/30付 西日本新聞朝刊=

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