(水田)このままでは…倒産します。
(鞠子)そんな…。
「あなたの暮し」が出版できなくなってしまってもいいんですか?
(ノック)
(常子)常子です。
よろしいでしょうか?
(花山)どうぞ。
失礼します。
何だね?はい…。
現状を鑑みると広告を載せる以外方法はないと思うんです。
賛同して頂けないでしょうか。
花山さん聞き入れてくれるといいんですが…。
(緑鞠子)ええ…。
・
(花山)その話は終わったはずだ!質を落とさず続けるためには広告を載せるしかないんです。
認めん!広告を載せると広告主の意向に沿わねばならなくなるかもしれない。
「あなたの暮し」は本当に正しい事だけを伝えたいのにできなくなるかもしれないんだぞ!考え直しなさい常子さん。
我々の雑誌を守るために。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」やっぱり許す訳ないか…。
でもこのままじゃ…。
広告は…載せます。
いいんですか?
(緑)だって花山さんは…。
花山さんには…伝えずに載せます。
黙って広告載せるの?完成してしまったら受け入れるしかないでしょう。
いやそれはそうですが…。
「あなたの暮し」を続けていくにはもうこうするしかないんです。
雑誌を楽しみにして下さっている方のためにも私たちが生きていくためにも。
とと姉がそう決めたなら。
早速探しましょう。
(美子)ただいま戻りました。
どうかした?広告をね載せる事にしたの。
花山さんいいって?ううん。
花山さんにはないしょで。
えっ?大きな声は…。
私は反対。
そんな裏切るような事…。
しかたないじゃない。
ほかに手がないんだから。
こうでもしないと春までに潰れてしまうの。
広告主は景気のいい会社がいいと思います。
積極的だと思うので。
景気のよいところ…。
お料理学校は?最近看板が目につくからもうかってるのかなって。
確かに食料の供給も安定してきたし欧米の最新知識が入ってきた事で家庭料理に洋食を取り入れたいと習いに行く人が増えていると聞いた事があります。
お料理学校か…。
ここに当校の広告を?はい。
「あなたの暮し」の購読者層はそちら様の生徒さんとなる方々と同じだと思います。
女性全般に広く話題の雑誌だといわれておりまして…。
発行部数は?
(水田)創刊号は3万部以降も6,000部以上は出ています。
3万はすごいな。
はい。
いかがでしょうか?よく我が校を選んでくれました。
ねえ?お父様。
うんそうね。
では…。
これからの花嫁は西洋料理も一とおりできないとという風潮のおかげで料理学校は乱立してましてね。
ちょうど宣伝に力を入れようと話し合っていたところなんです。
ねえ?お父様。
うんそうね。
それじゃあお願いしましょうか。
是非!
(3人)よろしくお願いします。
それでは早速広告料のお話を…。
あっその前に…。
一つだけお約束頂きたい事が。
何でしょう?とと姉があんな条件出すから破談になるかと思ったわ。
(水田)「雑誌の内容には口を挟まないでほしい」なんてヒヤヒヤでした。
でも大切な事でしょ?それにもっとお上品な言い方でしたわ。
(笑い声)とにかく決まってよかった。
これで花山さんに話しても安心よね。
そうね。
内容は私たちの好きにしていいって約束して下さったものね。
いえ。
やめておきましょう。
広告と聞くだけであんなに毛嫌いするほどですから…。
せっかくの契約が取り消しになってしまうかもしれません。
ああ…そうかも。
もっと伝わりやすい文章を書きなさい。
はい。
ただいま戻りました。
ただいま戻りました。
(水田)ただいま帰りました。
そろってどこへ行ってた?あ…あの…。
書店です。
書店?日頃ごひいきにして下さっているところにご挨拶をしに。
ええはい。
(花山)そうか。
美子さん!はい!赤字部分を書き直しなさい!すみません。
でももう締め切りが…。
関係ない。
それは君が提案した企画だろ。
自分の提案した企画には最後まで責任持ってやり遂げなさい!はい。
もしもし桑原印刷さん?ああ「あなたの暮し」の花山ですが。
表紙の件でね。
青を強めに出してくれないか。
ちょっと待って下さい。
もうやり直しするお金は…。
代金の方は気にせずすぐにやり直してくれ。
ん〜弱いんだよ。
青だけでいい。
強めにね。
すぐにできるかな?
こうして花山に広告の事を伏せたまま「あなたの暮し」第5号の準備は進められていきました
(君子)花山さんには事後報告って事?それしか手がないんです。
それじゃ黙っていなきゃいけないあなたたちも心苦しいわね。
ええ…。
どうだか。
本当に心苦しかったらあんなに平然とうそつけるかな。
よっちゃん。
私は今でも賛成じゃないからね。
どうして分かってくれないの?広告入れなきゃ雑誌自体が…。
広告入れるなって話じゃないの。
花山さんに話すべきって話!さんざん話したけど分かってもらえなかったの!何で分かってくれないの?2人ともやめなさい!お食事中ですよ。
(三枝子)やっと最新号の完成なんですね。
ああ。
だがすぐに次とその次も同時に考えねばならん。
(茜)もういらない。
どうしてだ?おなかがすくぞ。
飽きちゃったみたいなの。
うどんかすいとんばかりですものね。
本当はお米を食べさせてあげたいけれど手に入らないから…。
明日闇市に行く用があるから何か食べ物手に入れてくるか。
でもこの前みたいな事もあるじゃないですか。
やっと塩じゃけが食べられると思ったのにほとんど腐っていて食べられないなんて…。
食糧事情はいまだに悪く配給も米は僅かで小麦粉ばかりでした
(ため息)鞠子さん。
なっ…!お〜!あ…すみません。
戻ってらしたんですか?とと姉は?まだ印刷所?あっいえ。
あの…常子さんは帰りに寄る所があるそうで。
そうですか…。
あっもしかして常子さんと美子さんの事を?あ…朝から2人の様子がおかしかったので。
ええ。
あの2人ゆうべやり合ってしまって。
美子花山さんに心酔してるから。
すみません。
お忙しい時に相談に乗って頂いて。
(五反田)いやいや引っ越しも手伝ってもらえてるしそんな面白い話を聞かせてくれるなら大歓迎だよ。
面白くありませんよ!あの花山伊佐次を欺くなんて僕にはできないな。
(谷)経営者として君は正しい。
うちも生き延びるために吸収合併って道を選んだからね。
でもな…編集長としては理想の雑誌を追求する花山さんの気持ちも分かる。
そのためにもう一度直線裁ちのような発明をと内心焦りはあるかもな。
あの人がですか?何をお探しなんですか?鉛筆だ。
えっ鉛筆なら会社にあります。
それでは駄目だ。
本当に気に入ったものでないと。
はぁ…。
いいか?文章にせよ絵にせよ書く道具にも念を入れるべきだ。
そうやって選んだ道具でやった仕事には一層愛着が深くなり一生忘れられないものになっていく。
はい。
勉強になります。
うん。
・さあさあさあ小麦粉持ってくればこっちで焼くよ〜!何でしょう?いい匂いしますね。
(花山)ああパンを焼いているんだ。
小麦粉があっても家にパン焼き器や天火がなくては焼けない。
だから代わりに焼いて商売にしているんだ。
へえ〜。
戦争が終わってアメリカからララ物資など大量の小麦粉が日本に入ってきた。
だから今では配給も米ではなく小麦粉だ。
ああ…。
ところが小麦粉を自宅で食べる事をしてこなかった我々日本人は急に困ってしまった訳だ。
どうやって料理していいのかを。
そう言えばうちもうどんかすいとんばかり…。
そうか…。
小麦粉を使った新しい料理だ。
新しい料理?次号の特集だよ!ハハハハハ!えっ…えっ?鉛筆…。
2016/07/29(金) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(101)「常子、花山と断絶する」[解][字][デ][再]
広告を載せる以外に手はない。常子(高畑充希)は花山(唐沢寿明)を再び説得するが、取りつく島もない。悩んだ末、花山に黙って広告を載せることに決めた常子だが…。
詳細情報
番組内容
広告を載せる以外に手はない。このままでは水田(伊藤淳史)を解雇しなければならなくなる。経営者として苦渋の決断の迫られる常子(高畑充希)は花山(唐沢寿明)から許諾を得ようと説得するが、済んだ話をするなと一喝されてしまう。悩んだ末、花山に伝えず広告を載せることに決める常子だが、花山を心酔する美子(杉咲花)は不満をあらわに。谷(山口智充)からは正しい決断だと擁護されるも、どこか不安を払拭できずにいた…。
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,奥貫薫,及川光博,山口智充,伊藤淳史,唐沢寿明,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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