北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は26日、ラオスのビエンチャンで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議直後の会見で「われわれが追加の核実験を行うかどうかは、米国の態度いかんに懸かっている」と発言した。李外相は「現在、情勢を悪化させている原因は米国の(北)朝鮮敵視政策だ」とした上でこのように述べた。
李外相は韓米両国が慶尚北道星州郡に配備することを決めた米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について「米国の核戦略の資産」と批判した。また北朝鮮が韓国を攻撃対象としてミサイル発射実験を繰り返していることについても「南朝鮮(韓国)に米国の核戦略資産が導入され、核保有国である米国の資産が存在するようになれば、それらは標的になり得る」と明言した。
李外相の発言は、表現方法は多少異なるものの、これまで北朝鮮が主張してきた内容とほぼ一致している。また北朝鮮の主張の多くが米国を念頭に置いている点とも共通していた。実際に李外相は「米国」という言葉を会議の場で13回、会見で7回口にした。このように李外相の発言内容は米国への非難一色だったが、一方ではこれに対して識者の間から「内心は『北朝鮮にもっと関心を持ってほしい』と叫んでいるようなもの」という見方も出ている。
これに対して米国は北朝鮮に冷たい態度を取り続けた。米国の「北朝鮮無視戦略」は前日の夜に開催された歓迎夕食会でもあからさまだった。夕食会中、米国のケリー国務長官は各国の外相たちとあいさつするため何度も席を立ったことから、ケリー氏が李外相に近づくと他の出席者や取材記者の注目が一気に集まった。米国による人権問題への批判や経済制裁に北朝鮮は強く反発しているため、双方の外相があいさつを交わせば、それだけで大きなニュースになるからだ。
ところがケリー氏は李外相の左に座ったパプアニューギニアの外相に言葉をかけてあいさつをした後、李外相を飛ばして右側のパキスタン外相に近づき、肩をたたきながら言葉を交わした。ケリー氏はこの場で李外相には見向きもしなかった。