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祭終わりて、また祭り
結局、あの一騒動は とある事業部を除いて、みんな断った。
ホントみるも無惨な結果でね…
「係長(の案件に)は、人が集まりません」と、皆が皆、あの手この手で断り続けた。
…でも、実は…とある事業部だけが…人を出しちゃって…
その有る意味、周囲を裏切った事業部とは、横浜事業部。…ウチですよ、ウチ!!
しかも、事も有ろうに あたしが自分で手配した。
あのね、言い訳させて。
別に良い顔したかったわけじゃないの。カナコに脅迫されたわけじゃないの。
あたしだって、好きでこんな事した訳じゃない!!
「係長案件に戦力を回してあげて?ウチはもう、大丈夫だから」
西東京事業部の牧瀬さんから直々に説得され、
「あんなあ? いがみ合ってもいい結果出ねえんだよ、こういうのは!」
武藤さんから、お叱り電を受け、
「裏切ったとか、思ってないから…ホント。」
各事業部の仲間から諭され。
仕方なく渋々、敵に塩を送った。
加藤さんからの電話が一番堪えたなあ…
「人を呪わば、穴二つってね? 藍ちゃんは、悪事に向いてないよ?」
はあ。
絶体絶命に困らせたかったのにね。良いチャンスだと思ったのになあ。
穴と言えばそうそう。
その数日後、あたしは 何故か本社の人と面談していた。
「月に何回程度の頻度ですか?」
「毎日じゃないですか?」
「毎日?」
「だって、システムのログイン時間見れば、分かるじゃないですか」
「…まあ…毎日ですよね…」
人事の課長から事情聴取にご招待されましたの…ついに、あたくし、パワハラで訴えられましたわ、ウフフフフ。いや、正確にはパワハラ疑惑?
話の出所は、カナコ彼氏デスヨ。あ?やっぱりと思った?
元々はね、本社が、カナコ彼氏に託した本社案件の顛末がどうにも許せなかったから、その腹いせに出頭事情聴取をしたらしい…まあ許せないよね
一事業所残して、全部の事業部が 何だかんだの言い訳つけて協力しなかったんだもん。
カナコ彼氏を事情聴取しながら、日頃の行いを、ちくちくちくちく…とイビったんだって。
そしたら、(やっぱり)叩けば埃しか出てこない。中でも、やたら高い社用携帯の通話料が発覚するわ、電話先がいつも同じだわ…で、そのまま 問いつめたら カナコを苛めるあたしの件で相談を受けていたからだと。
まあ、あたしも 日頃の行いが聖人君子ではありませんので、事情聴取へのご案内となりまして。
今聞かれてたのは、カナコの勤怠。
カナコをイビった末に、カナコが心痛めて、起きられなくなったってのが、向こうの言い分。
…ふざけんなよ、だからって カナコさあ?遅刻してるのに定時で出社してることにしないでよ。
「でも、勤怠は…遅刻になってないし、所長印も押されてますよ?」
人事課は言うけど、
「じゃあシステムエラーとわたしの勘違いですかねー? カナコのパソコンだけが、毎日毎日、ログイン時刻を数分から十数分遅く送信してるってことですかねー?」
スットボケて言ってみたけど…んなわけないだろうなあ?
さすがのあたしも、そんな改ざんは出来ないし、もし出来ても、良心はイチオウ有るのでヤリマセン。
もーさー? 本社もさっさと認知しなよ。所長が判子、押しちゃってるのが悪いんじゃないの?!
イチオウ、所長を巻き込む気はまだ無かったので言ってあげた。
「カナコのパソコン、本社でチェックして頂くって出来ますかー?中でなんか、楽しい設定でも組まれてるんですかねー?」
「…その必要、あると判断して、言ってるんですか?」
ないと思いまーす!
あーあ
まさかの事業所全体での遅刻隠蔽が発覚ですか。
あたし、悪くないよーだ。
念のため カナコのパソコンは、本社に持って行かれ ウィルスチェックの名の下に パソコンの私物化を調査されたそうな。
後日、カナコ彼氏の評判がどん底に落ちたのと平行して、カナコ自身は、厳重注意+顛末書の提出となり。
とばっちりというか、当然というか。うちの所長も注意不行き届きで怒られた
あたし?
まあ、あたしも怒られたけど…ねえ?
「まあ、権田さんは…今回は事情聴取の対象であって、あくまで『当事者』ではないので」
今回は見逃してやるけど、今後はマークするからな、と暗に言い含められて、放免された。
「権田は、売上持ってるんでね。今、処分するのは、少し時期が早い」って、統括支店長が助命嘆願してくれたって。
クワバラ、クワバラ。
首の皮一枚で、繋がった気がしたわ。
ちゃんと仕事してて良かったぁ~
いつあたしも切られるか分かんないけど、とりあえず 助命嘆願してもらえただけ良かった。
カナコは処分、
カナコ彼氏は 評価どん底で人望も失ったから いまさら逆転で起き上がってこれるとも思えない
そこをいけば、あたしは無傷。無傷以上かも。
社内には仲間がいて、加藤さんという客先兼業者がいて、武藤さんっていう最強の現場社員がいて…今回で沢山の絆をつかんだ。
あたしだけが、何も失わずに、沢山の大事なものを掴めた。
ボロ勝ちじゃん。もう、それでいいかな、いいよね。
あのね、あのね!
今夜は、武藤さん、牧瀬さん、あたし、加藤さん、そして 大林さんたちでの通称「武藤組会合」やるのーっ!!!
ウフフフフ~ あんなバカどもにかまけてる時間は勿体ないんですの、オホホホホ
そうそう!
大林さんって、すごいカッコいいらしいね!インテリ系メガネ男子で、見た目からしてもクールビューティだって。あの牧瀬さんを落としたオトコですもの、イケメンで男前じゃないワケがないでしょ?!?!
加藤さんがチラッと教えてくれたんだけど、柏木アシスタントマネージャーのダンナさんは、結婚前ギリギリまで 大林さんに気を許さなかったラシイ。それって、どんだけのイイオトコなのよ、超見てみたい。
イケメンが見られる。それだけで思いっきり!浮かれてますけど、その前にあたしは、一勝負控えてます…
加藤さんにトコいって、例の案件候補者の引き合わせですよ。現地見学会ってやつ。
あれから加藤さんとは、全く進展してない。話さないように逃げ回ってたって方が正確なんだけど…
ホントそろそろ決着つけないと。
いいオトナだもん、曖昧なスタート切りたくない。ちゃんと「宜しくお願いします」って伝えるんだ。
こんな中途半端なまま、外野に外堀を埋められた状態で進みたくない。
だから…ちゃんと好きデス!って伝えるんだ。
伝えちゃうんだもん。緊張するけど、頑張りマス
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