案件。
とあるマッチングアプリにて。
「是非、飲みにいきましょう(*^^*)!」
話は早かった。マッチング後、すぐにメッセージのやりとりをし、すぐにLINEの交換。
向こうに疑いの色は無い。
自分の顔に自信がある写り方。
1人ドアップで写っている写真が5枚ほど。
派手すぎず、地味すぎず。
可愛さと綺麗さの絶妙なバランスで、色んな趣味嗜好の男に好感を持たれそうな雰囲気である。
この女。モテる。
そして、
そのモテ具合を自覚している。
しかしだ。
それが真であるならば、マッチングアプリなど使う必要は皆無。
どんな条件でもモテ女というものは悪手を王手飛車取りに変えてしまうのだ。
となると、、、
訳ありのモテ(ていると思っている)女。
僕は取材の一環ということでアポの準備を整えた。
とある平日の夜。19時半。
「あ、ここでーす!」
ワンピースに身を包んだ、少し身長高めの若い女が僕の方へ手を挙げた。
初見:
まず、写真より少し太めである。
お決まりの写真の15%オフな見た目。これはマッチングアプリを使う者としては常なので想定の範囲内。
僕のこれまでの経験だと、だいたいは写真の1.1倍ぐらいの体重の女が現れる。
細そうだし、50キロぐらいかな?と思ったら現物は55キロぐらいはあると見て良いだろう。
あと、写真加工において最も簡単なのは肌のきめ細かさ詐称である。幾度となく僕の高精度スカウターをかいくぐってきた最新技術なので、要注意。
そして、今回も肌は写真のように綺麗ではない。
色々と記述したが、すべてを差し引いても可愛い。 マッチングアプリ案件としてはかなり当たりの方だと思う。
ちなみに、僕の方は
まず、載せてる写真が自分でも「コイツ誰?」なぐらいの詐欺写真である。
それに加え、当日はロクに髪をセットせずグシャグシャ。装備すると見た目レベルが下がると評判のメガネを着用して参上。
理由は単純。
ワックスもコンタクトも
家にわすれましたー(^o^)
会った瞬間に「なにコイツ誰。え?私これからコイツと飲むの??」と思ったに違いない。
それでも笑顔をくれた彼女を表彰したい。
お互いに
写真とリアルの相違を感じながら居酒屋へ。
前日までのLINEでは、
ものすごい食い付きとクイックレスポンスで
「色んな業界の方とお話してみたいです」とか
「年上の男性の仕事の話とか勉強になると思うので聞いてみたいです」とか
そんなこと言ってたのに
目の前にいる1.1倍女は
iPhoneでどこかの誰かとめちゃめちゃ連絡をとりあっていた。
話半分に聞きながら、一応な相槌。
笑ってはくれるけども、質問などは皆無。
自分から話を広げることはしない。
とにかくiPhone。
典型的なそこまで可愛くないのに調子乗ってる女である。
29年も生きてきて、アップル社製品に完全敗北した僕は早めにお会計を済ませ退店。
ゆーて、そこそこ飲ませたので少し陽気になり、最後の方はお互い饒舌だった。
ようやく会話に火がついてきて、
さらなるネタのために二次会を提案。
「うーん............
明日仕事なので今日は帰ります。」
本気で悩んでくれたかのように見えた。
あれが演技だったら大したものである。
改札前で別れ、去っていく彼女。
みえなくなる直前でこちらを振り返り、笑顔で大きく手を振ってくれた。
(か、かわいい、、、、、。)
脳内再生。
※21:30から見るとちょうど本文とリンクします。
その後、すぐに御礼のLINEを送信。
すぐに既読になるが、
前日までのように返事が返ってくることは二度となかった。
またひとつ、花が散る。
何もかも中途半端で自分の無能さを感じつつ、
安定の【BAD END】
[あとがき]
終わりらへんの距離が近くなった感はなんのことはない、
ただ酒が回っていただけである。
「永久にさようなら〜*(^o^)/*」からきた笑顔である。
今回、有用な方法としては
スマホを触りまくってる時点で向こうには仲良くなる気が無いので、すぐに解散するか、雑に扱って反応を楽しんでネタを増やすかするべきだった。
マッチングアプリで数多の男の中から選んでもらうには、プロフ画像を盛るしかない。
しかし、会ったときにガッカリされる。
この差異を埋めるのはトークなのだが、iPhone地蔵と化した女には全く通用せず。
前日までのLINEにあった「話を聞きたい」とは
話の内容に興味があるのではなく、
この世に存在しない詐欺写真の男と会う為の口実である。
つまり、当日の僕に最初から勝ち目など無かった。
そういえば、これまでの経験上
話をしているときにスマホを触りまくる女に良い子は1人もいなかった。
「ごめん、ちょっといま友達と連絡とらなきゃいけないからスマホみるね」と一言添えれば好感度は保たれるというのに。
わざわざ時間を割いて来てくれた相手よりも
スマホという自分にとって都合の良い宇宙を楽しむ女。
こういう女が現れた時、絶対に容赦してはならない。
自分の中の軸がまた増えたところで、考えれば考えるほど「もっと何とかできたのではないか」と遺恨が残る。
この種の女とまた会いたいなぁと考え始めた梅雨明けの7月であった。
完
併せてこちらの記事もどぞ。