本棚の中を見たいとリクエストを頂きましたので、適当に見繕って紹介することにしました。
少々長いですが、最後までお付き合い頂けると嬉しく思います。
もはや神話的作家である、椿實の全作品集です。
三島由紀夫、澁澤龍彦、稲垣足穂などに支持されましたが、若くして筆を折ってしまった作家です。
装丁は尾崎翠の第七官界彷徨や種村季弘の吸血鬼幻想でも担当した野中ユリ。伝説的出版社、薔薇十字社刊の吸血鬼幻想を学生時代の恋人の誕生日に贈ったことがありますが、いま自分でもすごく欲しい!
逸れに逸れたので戻しますと、椿實を知っているという人に出会ったらそれだけでもう友達になれる気がします。
十代後半、渡辺温など幻想小説界隈に足を突っ込みかけたことがありまして、その際に名前を知りました。
購入したのは4年ほど前だと思いますが、この本はですね、美しすぎるのです。僕は怖くて未だに殆ど読めないでいます。アスタルテ書房にて。
絵本千一夜物語、寺山修司。画は宇野亜喜良です。
定価380円くせに30倍の値段しました。アスタルテ書房にて。怖くて読めないです。
おそらく、持っている中で一番古いものです。埴谷雄高の死霊の一巻と太宰治の晩年です。
意外と安価です。共に昭和二十三年発行。後で見直したら、同年のキルケゴール、死に至る病もありました。
カフカの再来と言われた中国現代文学の気鋭の作家、残雪です。
十代の頃購入し、数ページ読んで混乱した為暫く積んでましたが、最近また数篇読んで混乱した為再度積むことにしました。然して注目の作家です。いつになったらバオ・ニンに辿り着けるのでしょうか。
新刊書店で購入出来ると思います。
宝島社、戸川純の気持ち。一冊丸ごと戸川純です。インタビューや人生相談コーナー等があって面白いです。
写真も充実しております。戸川純を知らない方はYouTubeで聴いてみましょう。
パウル・ヴンダーリッヒの画集です。大判の方は写真家の奥さん、カリン・シェケシーとの共著です。僕はとても好きで、学生時代はずっと彼の画集を図書館で借りていましたが、怖いのか気持ち悪いのか、僕しか借りる人がいませんでしたね……。身体を解剖学的にデフォルメしてるというか、線が実に綺麗なんですよね。あ、ちゃんとマン・レイとかも好きですよ。
中身を少し。
澁澤龍彦が集めた、或いは愛した美術品等を掲載。その数310点。
澁澤氏については僕は詳しくはないですが、中々に興味深かったです。澁澤氏の美術への造詣の深さに舌を巻きます。近代の文化人は至る所で繋がっていまして、澁澤氏なんかは交友が広い文化人の代表格ではないでしょうか。美術館、新刊書店で購入できます。
ひまわり社、それいゆ。表紙は中原淳一。かつて存在した、昭和の女性誌です。
それいゆの影響を受けていない女性誌はないと言われます。
置いている古書店はあまり多くないと思いますが、割と廉価で購入できます。
少女趣味がばれて少し恥ずかしいです。額縁イラストは美術館にて。
ユリイカ。面白そうな号を見つけると買います。古書店ですと500円~2000円が相場です。
高校の時に現国の授業で使用した資料ですが、侮るなかれこれは中々に秀逸です。本を読みたいけど、どんな本が良いか分からないという方にはこれをオススメします。きっと、気になる作家が見つかると思います。僕はこれで吉行淳之介の蝿を初めて読んで驚嘆しました。モーツァルトの変態っぽい手紙なんかも載っています。
国語の教科書についてなんですが、僕はですね、中学校の教科書にはゲーテの若きウェルテルの悩み、太宰の女生徒、サリンジャーのライ麦畑でつかまえてあたりを、高校の教科書には、ザミャーチンのわれら、オーウェルの動物農場か1984年、ブコウスキーの短編なんかを載せたらいいと思うんです。高橋源一郎のさようならギャングたちなんかもいいですね。それで捻くれて鬱屈した少年少女が幾らか救われると思うんです。飽くまで個人的意見ですし、既に載っているものがあったらごめんなさい。
ルドルフシリーズ。僕のことが書かれている本です。今後ともご贔屓に。
安部公房関連本。右下の天使は新潮発売当初、品薄で手に入らなかったので図書館でコピーして読みました。
作家、劇作家、映画等、マルチに活躍される方は僕にとっては迷惑です。本を沢山買わないといけないからです。寺山修司なんて以ての外です。
サリンジャー関連本。拗らせているようですが、海外作家では未だに一番好きです。
個人的に村上春樹訳はいただけません。
さて、後談と致しましては、本や本棚にはロマンがありますよね。
例えば本の虫なんて言いますが、実際に古い本を開くとよくわからない虫が出てきたりしますでしょう。
……ロマンですよ。そこでこの虫はなんぞやと図鑑やネットで調べたりするのは無粋ってものですよ。
いや、虫好きには寧ろロマンかもしれませんね。
本がお好きな皆さんは大なり小なりロマンをお持ちのことと思います。なんでこんな臭い話をするかというとですね、お前ちゃんと読んでない本なんて紹介してるんじゃねぇなんて言われそうなものですから、そこはロマンを感じてください……という責任逃れのためです。
最後の写真は実家の書斎ですが、結構理想形なので載せてみました。
いつか、自分でも作り付けの書棚が欲しいです。敬称略で失礼しました。草々。