シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。メール、プレゼン、企画書・報告書、議事録。あらゆるシーンで活用されている。最新刊『超・箇条書き』の著者、杉野氏にその詳細を語ってもらう。
人を引きつける
「生々しいメール」とは?
前回の記事で、人を引きつけるための「固有名詞の使い方」について触れた。だが、固有名詞を使うのが難しいときもある。
例えば、コンセプトや総論的な話など、抽象的なことを伝えたい場合はどうすればよいのだろうか。
そういうときでも固有名詞は使える。使うべきだ。ただでさえ抽象的なことなのだから、少しでも固有名詞を入れて、相手を引き込むのだ。
では、どのように固有名詞を使えばよいか。
テクニックとしては、抽象的な事柄に対し、その例を示すものとして固有名詞を加えるのだ。あくまでも例なのだが、固有名詞があるだけで、抽象的で“乾いていた”箇条書き全体に、“生々しさ”が出てくる。
例えば会社の先輩に、次のような箇条書きのメールで相談したとする。
現在の仕事で悩んでいます。
今週のどこかで、アドバイスを頂くことは可能でしょうか?
悩みは主に次の2つです。
1.仕事のスピードが遅い
2.プレゼンが上達しない
お時間があればで結構ですので、ご検討頂ければ幸いです。
△△
「仕事のスピードが遅い」や「プレゼンが上達しない」という悩みは、多くの人が抱えているものだ。とても一般的で抽象的だ。乾いている。
このため、メールを受けた先輩としても、一般的で、抽象的過ぎてピンとこないかもしれない。
「まあ、よくあるよな。あまり、大ごとじゃないんじゃないか?」とか、「思い込み過ぎじゃないの。誰でもそんな悩みは抱えている」と感じて、真剣に読まない可能性が高い。結果的に、この悩みへのアドバイスは先送りされるかもしれない。
ここで、このメールの箇条書きに、固有名詞を使った例文を入れる。一気に生々しくなり、引きこまれるようになる。