大麻草約300株をマンションの室内で栽培したなどとして、近畿厚生局麻薬取締部が韓国籍で無職の洪浩司容疑者(39)=大阪市浪速区=ら男3人を大麻取締法違反容疑で逮捕・送検していたことが29日、分かった。強い照明で水耕栽培されており、同部は密売目的だったとみている。

 容疑は6月19日までの間、同市浪速区の賃貸マンション2棟の3部屋で大麻草計318株を栽培するなどしたとしている。

 同部によると、大麻草の花穂部は葉の部分より幻覚作用が強く、薬物常用者の間で「バッズ」と呼ばれている。3人は「バッズを収穫する目的で栽培した」と容疑を認めている。他に逮捕された洪容疑者の知人の男2人が報酬としてバッズをもらっていたという。【池田知広、戸上文恵】

 ◇1〜6月検挙数3割増

 危険ドラッグの取り締まりが強化されて販売店舗が激減した影響で、薬物常用者の間で大麻が大量に出回っている。捜査関係者は「大麻回帰現象が起きている」と懸念。取り締まりを強化している。

 警察庁によると、今年上半期(1〜6月)の大麻取締法違反での検挙件数は1570件で、前年同期比で28%増えた。1500件を超えたのは6年ぶり。大阪府警も上半期で102件を検挙しており、昨年のペースを大幅に上回っている。

 捜査関係者によると最近は都市部のマンションの室内で違法栽培するケースが増えている。大麻はネット上で「野菜」などの隠語で呼ばれているという。

 大阪府警は6月、大阪市浪速区のマンションの一室で栽培中の大麻数百株を押収。男を所持容疑で逮捕した。火災報知機が作動して駆けつけた警察官が大麻栽培を見つけた。照明器具などの影響で室内が高温になっていた可能性がある。九州大学大学院の森元聡教授(生薬学)によると、ネット上で大麻の種子が簡単に入手できるほか室温を適切に管理すれば一年中栽培できる。森元教授は「最近は幻覚作用が強い大麻が出回っており、種子の流通経路を遮断するなど違法栽培を積極的に摘発してほしい」と話している。【池田知広】