「不起訴相当」を議決 元秘書「不起訴不当」
あっせん利得処罰法違反容疑などで告発され、東京地検特捜部が不起訴とした甘利明前経済再生担当相(66)について、東京第4検察審査会は29日、「不起訴相当」とする議決を公表した。一方で元秘書2人が建設会社側から受領した現金は「あっせん行為の報酬、謝礼とみるのが自然だ」と指摘。検察の判断は納得できないとして「不起訴不当」と議決した。
議決は20日付。これにより甘利氏の不起訴は確定した。地検は元秘書については再捜査するが、再度不起訴にすれば捜査は終結する。「起訴相当」の議決ではないため強制起訴の可能性はない。
同法違反は議員や秘書が「権限に基づく影響力を行使」したと認められる場合に成立する。議会で行政に不利な質問をするとちらつかせることなどが典型例とされる。
議決要旨によると、審査会は甘利氏の秘書が2013年6月に事前連絡なく都市再生機構(UR)を訪れて職員と会い、建設会社側との補償交渉への対応を確認した経緯について、「有力大臣の秘書だからこそ面談できた」と指摘。こうしたケースも「影響力の行使」に当たる可能性があるとの考えを示した。
そのうえで、13年8月に元秘書が建設会社側から受け取った500万円は「補償が増額された結果に対する報酬、謝礼とみるのが自然だ」とした。元秘書2人が15年に受け取った計795万円も報酬や謝礼とみられるとし、検察に再捜査を求めた。
甘利氏については元秘書と共謀した証拠はないとして不起訴は妥当とした。審査を申し立てた団体は「検察は市民の判断を尊重し、元秘書を立件すべきだ」とのコメントを出した。【石山絵歩、平塚雄太】