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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.28
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 日本経済は1990年代から停滞、安倍晋三政権が日銀の黒田東彦と始めた政策、いわゆる「アベノミクス」が推進されている間に経済活動は大きく落ち込んでいる。GDPで比較すると、2012年に5兆9570億ドルだったものが15年には4兆1230億ドルまで低下、この数字は1993年の4兆4150億ドルを下回る。

 以前にも書いたことだが、この結果を見て安倍政権の政策は失敗だったと言うことはできない。アベノミクスの柱になっている「量的・質的金融緩和」、いわゆる「異次元金融緩和」は資金を世界の投機市場へ流し込むだけで、庶民に恩恵がないことは最初から明白だった。投機市場のバブルを膨らませ、富裕層の評価資産額を増やすだけだ。政府は意図的に行っている。さらに、安倍と黒田のコンビは国内の投機市場におけるバブルを維持するため、ETF(上場投資信託)やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を利用している。

 内外の富裕層を儲けさせるため、自国を破壊する政策だとも言えるわけで、日本政府や日銀に対して「狂っている」という言葉が浴びせられるのは当然であり、そうした政府や日銀の政策に反対しない日本人が「狂っている」と言われても仕方ない。

 昨年6月、黒田日銀総裁は自身が進めている政策について、「飛べるかどうかに疑問を持った瞬間、永遠に飛ぶことができなくなる」と発言、それ以来、彼を「ピーター・パン」と揶揄する人がいる。情勢の客観的な分析を拒否、ネバーランドへ足を踏み入れ、「神風が吹く」という妄想の中へ逃げ込んだとも言えるだろう。

 勿論、永遠にバブルを膨らませることは不可能。投機市場へ流入する資金量が細ってくれば相場は天井を打って下がり始め、マイナスのスパイラルが始まる。2008年9月にアメリカの大手投資銀行、リーマン・ブラザーズが破産法第11条(日本の会社更生法、あるいは民事再生法に相当)の適用を申請、つまり倒産したのも、そうした結果だ。

 この倒産劇は「サブプライムローン」の焦げ付きが切っ掛けとされている。不動産を担保にして高利でカネを借り、相場が上昇すれば不動産の担保価値が膨らんで融資余力が生じ、さらに借金するということが行われていたのだが、それが破綻、このマルチ商法的な仕組みで大儲けしていた巨大金融機関が一転して窮地に陥ったわけだ。

 本来なら破綻した金融機関は処分、不正を働いた幹部は罰せられなければならないのだが、そうならなかった。「大きすぎて潰せない」とか「大きすぎて処罰できない」という屁理屈で助けられ、そのツケは庶民に押しつけられた。

 こうした投機を支えていたひとつの要因が日本のゼロ金利政策。円資金を借入れて投機に利用したわけだ。いわゆる「円キャリー取引」である。この政策自体、投機の拡大が目的だった可能性もある。政策の目的はともかく、日本の政策がバブルを膨らませ、金融破綻の衝撃度を高めたとは言える。

 1980年代から日本政府が進めてきた政策は生産活動を破壊し、金融活動を盛んにさせるというもの。イギリスでマーガレット・サッチャーが行った政策と基本的に同じだ。つまり新自由主義。アメリカも生産活動を放棄している。これは1932年の大統領選挙でハーバート・フーバーが敗れるまで続けられた政策でもある。これにブレーキをかけたのがフランクリン・ルーズベルトが率いるニューディール派。ルーズベルトが1945年4月に急死したあと、ウォール街はニューディール派が残した政策を潰してきた。その仕上げとも言えるのが1933年に制定された投機規制を目的としたグラス・スティーガル法の廃止だろう。これは1999年11月にグラム・リーチ・ブライリー法が成立して実現した。

 日本やアメリカでは目先の個人的な利益を求める政策を推進した結果、国は疲弊、アメリカを拠点とする巨大資本へ国民ごと売り飛ばされようとしている。そうした目論見に対する反発は欧米だけでなくアジアでも強まってきた。アメリカの支配層は軍事力を使った世界制覇、あるいは軍事侵略による略奪で窮地を脱しようとし、日本の「エリート」はそのアメリカに従っているが、成功するようには見えない。





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最終更新日  2016.07.29 14:19:37
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