全国に25人…12人は2年前から 厚労省
住民票はあるのに自治体が居住実態を把握できない「所在不明の子ども」が28日現在、13都県に25人いることが厚生労働省の全国調査で分かった。うち12人は2年前の調査から引き続き居場所が分からず、事件に巻き込まれたとみられる子どもも含まれる。事件や虐待など危険な状況に置かれている可能性があるとして、各自治体は警察と協力し安否確認を続ける。
調査は2014年に続き2回目。14年10月20日時点では141人の所在が分からなかった。
今回の調査は、15年6月時点で乳幼児健診を受けていなかったり、学校に通っていなかったりして連絡が取れず、市区町村が安否確認が必要と判断した18歳未満の1878人を対象に実施した。
その結果、1853人は家庭訪問のほか、他の自治体や警察、入国管理局との情報共有、照会により所在が確認されたが、25人(男10人、女15人)はなお所在が分からない。
年齢別では就学前が4人、小学生7人、中学生6人、義務教育期間後の子が8人だった。
都道府県別では、東京5人▽栃木、埼玉各3人▽茨城、三重、和歌山、熊本各2人▽長野、愛知、岡山、山口、高知、長崎各1人。数人は、周囲の状況から海外に出国している可能性もあるという。
25人のうち3人は、過去の経緯から病院に通院させていない恐れがあることなどから虐待を受けている危険性がある。また、15年6月に東京都新宿区の女性が相模原市で遺体で見つかり、元交際相手の男が殺人容疑で逮捕、起訴された事件で、消息が分かっていない女性の長男も25人に含まれる。
一方、所在が確認された事例の中には、殺人容疑で逮捕、起訴された男の供述で今年1月に佐賀県伊万里市で母親とともに遺体で見つかった福岡県久留米市の男児が含まれる。全国調査に伴って県児童相談所が14年6月に県警に行方不明届を出して捜査が始まり、発覚した。
厚労省虐待防止対策推進室は「昨年3月に自治体や教育委員会、警察が協力して調査するよう求める通知を出し、連携が進んで居場所が分かる子どもが増えてきた。今後も調査を実施し、早期に居場所を把握して事件や虐待の防止につなげたい」としている。【黒田阿紗子、桐野耕一】