「学問のすゝめ」初版本 福沢の故郷・中津で発見 [大分県]
明治初期に福沢諭吉が著した「学問のすゝめ」の初版本が、福沢の出身地の大分県中津市で発見された。これまで確認された初版本8冊は全て東京都にあり、慶応義塾福澤研究センターなどが所蔵。センターの西沢直子教授は「学問のすゝめはもともと中津の人々に宛てたメッセージ。中津で初版本が見つかったのは意義深い」としている。
市教育委員会社会教育課文化財室によると、学問のすゝめは福沢の働き掛けで開設された「中津市学校」の生徒に向けて学問の在り方を説いたとされ、1872年2月から76年に出版された。
見つかった初版本は縦18センチ、横11・5センチ。当時の最先端技術だった活版印刷で刷られた。出版と同時にベストセラーとなったため、72年6月の2版目からは、当時大量印刷できた木版で増刷。初版は4カ月間しか印刷されず、現存数が少なく貴重とされる。
今年3月に地元郷土史家の遺族が市歴史民俗資料館に寄贈した資料の中から発見された。30日から10月2日まで、中津市の福澤記念館で公開される。
=2016/07/29付 西日本新聞朝刊=