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パナマ文書 日本人不正が発覚

07月28日 19時20分

パナマ文書 日本人不正が発覚

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世界各国の記者で作る団体が分析を進めている「パナマ文書」。
このプロジェクトに参加したNHKの取材で、巨額の年金資金を消失させた「AIJ投資顧問」の元社長が、租税回避地・タックスヘイブンにあるペーパー会社を悪用した株価操作などを行っていたことを認めました。
パナマ文書に関連して、日本人の不正行為が明らかになったのは初めてです。

各国の首脳や富裕層などの隠れた資産運用を暴いた「パナマ文書」は、中米パナマの法律事務所から流出した膨大な内部データで、南ドイツ新聞が入手し、「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」が世界各国の記者と連携して分析を進めています。
NHKは6月下旬からこのプロジェクトに参加し、パナマ文書を独自に調べたところ、ICIJが日本関連として公表している個人や企業以外にも少なくとも370人の日本人に関する資料が見つかりました。
そして、こうした資料から投資運用会社「AIJ投資顧問」の浅川和彦元社長(64)が、イギリス領バージン諸島に2つのペーパー会社を保有していたことがわかりました。
AIJは4年前、全国の年金基金から預かった年金資金などおよそ1500億円のほとんどを運用の失敗で消失させていたことが発覚しました。
浅川元社長は年金基金などに対する詐欺などの罪に問われ、ことし4月、懲役15年の判決が確定し、7月22日に収監されました。
浅川元社長は収監される3日前、取材に応じ、保有していた2つのペーパー会社について「AIJを設立する前、外資系の証券マンだった1990年代半ばに上場企業の経営者などの顧客に頼まれ、香港の会計事務所を通じて購入した」と説明しました。
そのうえで「ペーパー会社は名義が隠せるので、表向きはわからない形でその口座にカネを流し、顧客の企業が上場した時に外国人が買っているように見せかけて株価を操作していた。顧客の名前は迷惑がかかるので明かせない」などと証言しました。
パナマ文書に関連して日本人の不正行為が明らかになったのは初めてです。
またパナマ文書の資料には2つのペーパー会社は4年前、AIJの不正が発覚した時期に株主が別の法人名義から浅川元社長の個人名義に書き換えられたうえ、浅川元社長の逮捕の前後に閉鎖されたことが記載されています。
こうした手続きについて、浅川元社長は身に覚えがないとしたうえで、AIJとの関係については「ペーパー会社を使っていたのは10年ほど前までで関係ない。口座には今は資金は入っていない」と強調し、AIJが運用していた資金を使った不正や資産隠しは否定しました。

長野県内にある建設会社300社余りの従業員など、6000人以上が加入していた「長野県建設業厚生年金基金」は、当時、AIJ投資顧問におよそ65億円の運用を委託していました。
このうち回収出来たのは、現時点では2億8000万円ほどと60億円以上の損失が出ています。
基金はことし5月に解散し、現在は精算作業に追われています。
この基金の元理事長で現在は代表清算人を務める中川信幸さんが、NHKの取材に応じました。
この中で中川さんは「浅川元社長がしたことは会員の老後の生活に関わることで、非常に憤りを覚える。汗水垂らして貯めた金を持っていかれたのは非常に腹立たしいが、とにかく金を返して欲しい」と話しました。
さらに「会員のために1円でも多く回収しようと必死の思いできょうまで来た」とした上で、浅川元社長が保有していたペーパー会社について「誰が追及するのか分からないが、そこに資産が残っているなら、その中から返して欲しい」と訴えました。

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