WEDGE REPORT

世界的な「ポケモンGO」旋風に焦る韓国
コンテンツ不足に悩む韓国に「親日派GO」誕生!?

崔 碩栄 (チェ・ソギョン)  ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

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時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 つまり「拡張現実(Augmented Reality)を利用したコンテンツ開発は韓国が先に行い、既にいくつもの試みがなされていた」などと負け惜しみと取られてもやむを得ないような開き直りをみせるか、「ゲームに対する政府の行き過ぎた規制(利用可能年齢、時間などに対する規制)が、ゲーム業界の発展を阻害している」などと誰かのせいだと宣伝してみせるのだ。あるいは、韓国生まれの人気のアニメキャラクター「ポロロ」や「タヨ」のようなコンテンツを利用した「韓国版ポケモンGO」を作るべきだと「純韓国産」に固執したオーダーを声高に叫んでみたりする。

 もっとも、今回の一件に関しては冷静に分析する声も少なくない。これらの声に共通して聞かれるのは「コンテンツの不在」という問題だ。ポケットモンスターはここにきて急ごしらえで作られたコンテンツではない。長い時間をかけ、数多くのキャラクターとストーリーが蓄積され、ゲームになるずっと前から全世界の子供たちから愛されていたキャラクターだ。果たして韓国にそのようなコンテンツがあるだろうか、という議論がなされているのである。

 韓国はゲーム産業が活況だ。韓国の代表産業の一つと言っても過言ではなく、優秀な開発者も少なくない。彼らが総力を挙げて取り組めば韓国も短期間のうちにポケモンGOと同じような形式のゲームを作り上げることだってできるかもしれない。だが問題は、韓国には世界に通用するコンテンツがないという点だ。ポケモンGOも、ポケットモンスターという抜群の認知度、人気を持つコンテンツが存在しなかったのならば、ここまでの人気を博すことはできなかったことは間違いない。

世界が共感できるコンテンツを作れるか

 日本にはポケットモンスター以外にも、ドラゴンボール、NARUTO、ワンピースなど、世界的人気を誇るコンテンツは枚挙に暇がないほど存在する。それは日本の漫画、アニメ産業とそのファンたちが数十年間かけて作り上げてきた財産ともいえる。一方、韓国には、残念ながら世界中から愛されていると言えるキャラクターがいない。国内で人気を博し、愛されているキャラクターはいるが、世界の市場にアピールするためにはまだ力不足だというのが実情だ。

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著者

崔 碩栄(チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

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