安達Bの部屋

安達瑶の片割れ、安達Bがあれこれ書く部屋です。メイキングやお寄せくだすったご感想への返事などを中心にやって行きます。


[96/08/11 13:11]

安達B/…は実在する(笑)

 安達Oも書いてましたが、アスキーの『感じるインターネット』に安達ページが紹介されました。

 自己紹介文のうちBが作成した部分が引用されてまして、嬉しかったです。

 大森望さんは『別冊宝島100号/映画の見方が変わる本』(1989)のSF映画論(*)を読んで以来、お名前を知ってましたが、「活字メディアの向こう」にいると思っていた方と接点が出来るのは、とても不思議な気がします。

(*)……「映画はSFをわかってくれない/SF映画絶対不可能説」
 映画版『2001年宇宙の旅』は木星以遠を完全に神の領域とすることにより、それ以上の思弁や論理を封じており、また『スターウォーズ』『未知との遭遇』も物語の神話的原型を宇宙・宇宙人という素材をつかって再話したものであり、本来的な意味でのSFとは言えない。SFの本質は「現に存在するもの」と「一見して存在し得ないもの」の間をあくまで論理・科学によって説明しようとするその「思考方法」にある。よってSFの本質を映画によって表現することは不可能である、という主旨(だと理解してます)。

 で、大森望さんは、安達瑶の「最大の特徴は(ほんとかウソか知らないけど)男女の合作チームのペンネームだってこと」(笑)と紹介されてますが、これ「ほんと」です。わたくしこと安達Bは「実在」します。目に見える証拠は出せないんですけれども。

 OとBは、性格とか感性は共通するところが多いですが、文体はかなり違います。(もっとも、一人でいくつかの文体を使いわけるくらいじゃないと娯楽作家はやってられない……とも思うけれど(^_^;)

 好きなストーリーパターンも、ちょっと違うと思います。
 基本的にBはミーハーでして、Oが出した原案をいつの間にか自分の好きなパターンに改変している、というケースがあります(^_^;)。

 女子高生がぢつは「代々夜伽の血筋」で、旧家の性奴隷に堕とされてしまう話(O)が、出来上がりは『家なき子2』(笑)のようになってしまってる(B)とか。

 最新作、『強制ブルセラ 剥かれた制服』(グリーンドア文庫)も同様です。Oの原案には当初「アイドル」という要素はなく、「良いコギャルが悪いコギャルに陥れられてブルセラを強制される」というお話だったんですが、企画段階で、あるアイドルの「泣き顔写真」が納められた写真集の存在を知りました。

 この写真集の紹介文は『フラミンゴ』にのっていて、これはコミケ風の、それも鬼畜系というか、わりとディープな雑誌じゃないかと思うんですけれども、「メジャーがここまでやるのでは我々も大変だ」みたいな紹介をされていて、とても興味をそそられました。

 普通のアイドル写真集に泣かされてるショットがはいっていたりすると、撮影中何があったのかしら、とか色々想像してしまうじゃありませんか。

 で、Bとしましては安達Oにお願いして、「アイドルもの」をやりたいと言ったんですが、そういうものは今までにたくさん書かれているから新味がない、ということで、結局、O案の「強制ブルセラ」との中をとる形で、「ブルセラアイドル受難物語」になりました。

 ブルセラ写真の撮影、援助交際の実態(?)、マニア参加AV作品など、それなりにリサーチして書きましたので、H以外の部分も楽しめるのではないかと思っています。

 それと、お話の基本ラインが、これもBの好みで「シンデレラ・ストーリー」になってます(^_^)。女性にかぎらず少女マンガがお好きな方には、恐らく心地良いパターンではないだろうかと想像するのですが……。


[96/08/11 14:17]

女子高生フィギュアはなぜHか?/安達B


 「強制ブルセラ」のプロットですが、完成品はもっと見せ場が多いし、登場人物も多彩になってます。
 冒頭いきなり登場する「援助交際おじさん・谷日出人(たに・ひでと)」(笑)とか。
 これは安達Oの考えたキャラクターでして、「ダニー・デビート」のアナグラムです。
(ルックスもそれに準じる……あっ、やっぱりギャグが入ってるじゃないか(^^;)

 その他、女子高生フィギュア作成マニアであるヲタク三羽烏の少年たちとか(これはBのアイディアです)。

 フィギュア、ガレキ、そこまでゆかなくてもジェニーやリカちゃんのような人形でも私は何だかとてもHというか、時として十分にエロティックだと思うので、作中に「永沢いずみフィギュア」を登場させることを希望しました。

 その Ver2.0 は関節が自由に動くし、マイクロスイッチで内部回路が作動するので、適切な刺激をあたえるとマイクロモーターで動き、よい声で鳴きます、という(笑)……けれども、そのあとニフティのFCOMEDY 「オタクアミーゴス」の会議室で、そういう人形なら、最低でもどうやら7・80センチの大きさは必要らしいということがわかったりして(^_^;)。

 多分実際にフィギュアやガレージキットを作成してる方は、Hというよりはもっと純粋な気持ちでつくってると思うので、これも偏見に満ちた取り上げ方、ということになるかも知れません。でも、もともとポルノというジャンル自体、男女双方のセクシュアリティについて、それこそ「偏見に満ちた」取り上げ方をしているからなあ……(^_^;)。

 思うに人形がなぜHかというと、それは、対象とのあいだに、まさに「大きさの違い」という形で圧倒的な力の差があるからではないでしょうか。で、これはポルノ自体に普遍的な、男女間の圧倒的な力の差とか女性の完全な対象化と、パラレルなんですね。

 ……というわけで、『強制ブルセラ 剥かれた制服』のヒロイン、永沢いずみちゃんも、言うなればフィギュアのようなものです。或いは二次元アニメ・アイドルの活字化というか……とにかく「性格の良さ」「従順さ」という点では、安達の手になる今までのヒロインの中でも群を抜いてると思います。

 もっと性格悪いコのほうが好き、という方にはちゃんと援助交際シャネラー(笑)「水城レイ」も用意してございますので、どうぞお楽しみくださいませ。


[96/08/21 12:12]

泣き顔アイドル


 「泣き顔写真」って、いいですよね。(じつは私も鬼畜系?(^o^)

 中森明菜ちゃんのドッキリカメラのお話、とても面白かったです。(*註:館淳一さんが『中森明菜のドッキリカメラ』ネタを提供してくれたのです)
 黒人二人に銃を突きつけられて「じゃあ歌え」なんて、何だかぞくぞくしました。こんなコトをゴールデンタイムの電波に乗せていいの(笑)という感じです。

 明菜ちゃんはアイドル「歌手」としては、最後のビッグな存在だったような気がするので、余計そう思うのかもしれません。歌もうまかったですし。

 それが黒人にホールドアップされると、日本で凄く人気があったり歌が巧かったり……なんてことは、全部無に帰してしまうんですねえ。そのあたりが、すごく「鬼畜」です。

 圧倒的なバイオレンスを前にして、それまで人格についてたオプションが全部剥ぎ取られてしまうこと、これぞ鬼畜の原点だと思いました。

 安達Oが同様にぞくぞくする、と言ってた(多分)実話に、教養もあり育ちもいい白人女性のキャリアウーマン(か何か)が、アフリカで誘拐され、黒人たちのあいだで奴隷になっていた、というのがあるんですが、これも同じノリでしょう。(あの話って、映画か何かでしたか? >
安達O)(*註:『アシャンティ』というマイケル・ケイン主演の映画がこれによく似ている。ケインの奥さんは黒人の医師なのだが、黒人という事で一網打尽にされて奴隷商人に売られる……というストーリーは鬼畜モノなのだが、実際の映画はコメディのようなホンワカ・ムードだった)

 「鬼畜の定義 その1 人格の高次の部分を選択的に破壊すること」

でしょうか。

 明菜ちゃんに話を戻すと、すっきりした顔立ちで、手足なんかバービー人形みたいに細いし、ファッションのセンスも悪くないと思うし私は好きなんですが、なぜか薄幸そうなイメージがあって、そこがすごく嫌、という男の人も結構います。

 明菜ちゃんが嫌い、という人は、何となくその嫌い方がハンパじゃないように思えるのは、やっぱり「そそるタイプ」なんじゃないでしょうか。

 人の攻撃欲動(って言葉でいいのだろうか?)を起動してしまう……というか。
(もしくは似たようなタイプと別れる時にさんざん揉めた、とか(^_^;)

 「鬼畜の定義 その2 いじめてキズつく対象ほど、ますますいじめたくなる」
 

 聖子ちゃんとか(そのお手本の)マドンナとか、いじめたいって、多分あまり思いませんよね。

 聖子がニューヨークのブティックでホールドアップされたら……

黒人「フーザファック アーユー?」
聖子「アイアムア マザー! プリーズ ドントキルミー」
「マザー?……ワットザファックァ マザーズ ドゥーイングイン サッチプレイス?
 ユー リッチビッチ!」
「ノーノー! アイムフロムジャパン! アイムア スチューデント」(爆笑)

 とかいう展開になり、マイハズバンド ダズントラブミー アイムベリー アンハピーと言うかどうかは知りませんが、やがてブラザーと聖子はヒタと見つめ合い、バックには『逢いたい』が流れて……あっ、ついワル乗りしてしまいました。どうも済みません。m(__)m


 松田聖子の場合は、彼女はベッドではああだったこうだったと昔の恋人にバラされても、全然動じないところが凄いと思います。むしろ、あれこれ言われるのを楽しんじゃってるというか……マドンナ(二見書房の文庫ではなく歌手のほう)も過激な写真集を出してますが、何となく婉然と微笑みながら、中指立てられてるような印象があります。(^_^;)


 怒号絶叫SM『胎児が密猟する時』、タイトルに惹かれて調べてみたのですが、

 変質者のおじさんが若い女の子を自室に誘い込み、縛りあげてサディスティックにいたぶる。昼も夜も縛られ殴られて女の子は半死半生、しかしついに縄をほどいて……

 ……という(Bの好きなパターン(^o^)1966年、若松孝二の衝撃的傑作なんですね。

 1993年時点では残念ながらビデオになってないようですが、最近名作のリバイバルが相次いでいるようなので、出ているかも知れません。


[96/08/23 21:28]

抜ける?ドッキリ


 「スケバンにからまれて啖呵を切った香西かおり」……香西(コウザイ)かおりさんは、演歌系アイドルなんですね。安達Oに聞きました。(*註:これもドッキリカメラネタで、睦月影郎さんが提供してくれた)

 「泣き顔系」ではなく、「怒った顔系」美少女のはしりと言うと、(ちょっとズレてるかもしれませんが)今を去ること約10年前、『毎度おさわがせします』の、中山美穂あたりが思い浮かびます。当時はあの男言葉が新鮮で、あの後からだったような気がします、電車の中でも女子高生が「うるせーよ」みたいな言葉づかいをするようになったのは。

 ホラー系のどっきりとは少し違うんですが、番組改編期にやる「NG集」に、レポーターの女の子のNGばかり集めたコーナーがありました。

 たとえば、これは外国のどっきりにもある「定番」なんですが、車から降りたレポーターがドアを閉めた拍子に、引っ掛かったスカートがアッという間にびりりりっと全部取れてしまうとか……(それにしても破れやすい布地だ(^_^;)。

 あるいは、カメラに向かって丘みたいなところの頂上を指差し「それではこれから上に行ってレポートしたいと思います」と、カメラマンの前に立って土の斜面を登り始めた途端に転び、ミニスカートからパンツが丸見えとか……。

 中でも凄かったのは、「今日御紹介するこちらは、鰻の養殖をしているんですねー」……生簀に渡された板の上に立つリポーター、異常に細い板、渦巻くウナギの群れ……次の瞬間、悲鳴があがり、可愛いリポーターの女の子は哀れウナギの海に……というものです。これなんか、結構タフだと思います。

 それぞれ系列の地方局の名前が出るんですが、しかしそれにしても、こんなにドジなレポーターばかりがいるものであろうかと……(^_^;)。

 こうして見ると、どっきりってちょっと(どころではなく?)Hですね。(^_^)
(ネタになりそう)


[96/09/01 13:58]

ドッキリがネタになった話


 ……といってもH系ではなく、アイドルの泣き顔でも怒り顔でもないんですが。

 マドンナ社から出た拙作、『美母絶頂』(原案「ホーム風俗」)のアイデアを、一番最初に安達Oが持ってきた時のことです。その日はなぜかノリが良くて、ディスカッションをするうちにほとんどのプランが出来てしまったことを憶えています。

 基本コンセプト(笑)としては、昭和四十年代に洋酒ブームというか家でカクテルなどをつくるのが流行り、ホームバーを搭載したリビングのある家などもあったりして、そこから安達Oは「ホーム風俗」のアイデアを思いついたらしいです。普通の家の応接間でお酒が出てくる……それなら女の人も、という発想ですね(^^;)。

 で、家庭訪問の先生を客と間違える、あるいは居間の中央を神奈川県との県境が通っていて(笑)淫行規定に抵触するとかのアイデアは、その時にBが出したんですが(「惜しいねえ、あと少しで東京だったのに」のセリフは安達O)、それと一緒に、十年ぐらい前に見たドッキリの名作を使うことも思いつきました。

 そのドッキリというのは、雀荘かどこかです。一般客がトイレにはいって出てくると内装が妖しく変わり、お客さんも全員一見してその筋の人ばかりになっている。曖昧な笑いを浮かべトイレに引き返すサラリーマン、しかし再度出てくるも相変わらず妖しい店……次第に冷や汗がタラーリ、というものでした。


 こういう話を、秋のひと日、東京芸大の近くの愛玉子(オーギョーチイ)でしてたんです。
昭和二十年代で時間が止まっているようなお店で、老夫婦がオーギョーチー(ゼリー状の台湾のお菓子)を出してくれるんですが、何と思われたことでしょうか(^^;)。

 『美母絶頂』では、これを一般家庭のリビングが一瞬にしてピンクサロン(若妻自宅風俗ラッキーホール(笑))に変身という設定に応用しましたが、数ヶ月後。

”うす暗い照明にミラーボール、淫水がたっぷり染みこんだようなソファの周りに
 は意味ありげに背の高い観葉植物”

 との「いかにも」な描写が原稿になって送信されてきた時には、お腹をかかえて笑いましたです。安達Oが実際に行ったことがあるかどうかは知りません。(*註:行ったことありません)

 ではでは。ドッキリがネタになったお話でした。


[96/09/01 13:59]

近況 & GHOST IN THE SHELL


 先週、マドンナ(歌手ではなく二見書房の文庫)の新作の原稿がやっと上がりました。ほんとうは八月の初旬に出来上がるはずだったものが、今回は予想外に時間がかかってしまって……。世間も夏休みで、緊張感がなかったせいでしょうか(反省)。

 私は昼間でなければ仕事が出来ない人なので、夜も早く寝ればいいのに『攻殻機動隊』の放映があったりするとつい見てしまったり……。夏はBSも良い番組をやりますね。

 で、まあ何とかぎりぎりで間に合いまして、お祝いに、というかずっと閉じこもりきりだったので、翌日久しぶりに街に出ました。

 原宿に行ったのは数年ぶりです。
 同潤会アパートは、上の階までブティックやギャラリーやオフィスに模様替えされた部屋が増えました。緑のツタに覆われた古い壁に、きれいで明るいウィンドウが幾つも並んでいるのは素敵な眺めです。ケヤキ並木と相まって、ほんの少し、ヨーロッパにいるような気分が味わえます。

 観に行ったのは展覧会です。
 去年、東京中日スポーツに連載した『電網セックス女体コレクション』に挿絵を描いていただいた星恵美子さんの絵を含む同人展です。SF・ファンタジーアートの同人展ということで、宇宙服に身を包んだ美女の油彩がきれいだなあ、と思いました。

 原宿の同潤会アパート2号館の1階、ギャラリー80・夢想空間というところで開かれていますが、まだ会期中ではないでしょうか。

(追記)
『攻殻機動隊』、ジェイムズ・キャメロンが評価するだけあって、ビジュアルも音楽も、まさに「アート」の名に相応しい出来栄えでしたが、インターナショナル・バージョンの吹き替えが私にはちょっと……あまりにも端正な英語で、なんだか語学教材聞いてるような気分になるのです。日本の声優さんの声で聞いてみたいです。
「草薙素子」が凄く魅力的で、官能的なだけに、よけいにそう思いました。


[96/11/22 08:44]

お仕事の記録


 みなさま、おひさしぶりです。安達Bです。

 夏の終わりからずっと切れ目なく仕事がはいって(有難いことだ)、中々ここに書く心の余裕もなかったんですが、20日にやっとグリーンドア文庫新作が完成しました。

 心覚えにどれだけ仕事をしたか書いてみよう。
(何も書いてないものは安達OとBの共同作業です)

1996/8/12〜8/26
 マドンナメイト文庫の長篇を執筆(今度発売になる『淫獣の「餌食(エサ)」』)
 
1996/8/30
日刊ゲンダイ短気集中連載(『TVリポーター・奈津子』)プロット
(原案、わたくしσ(^_^)です)

1996/9/12
ソウリュウ・ノベルス長篇『悦楽OL・肉襞営業』(未刊)プロット
(『派遣社員・生贄OL』の続篇です。このHPに皆様から戴いたアイデアをほぼ全部取り入れる形で安達Bがまとめました)

1996/9/28〜10/13
『TVリポーター・奈津子』全25話分執筆

1996/10/16
同上・一話余分に書き過ぎたので圧縮・整理。
(安達Bσ(^_^)が担当。76行分もカットしたのに辻褄の合った事に我ながら驚く(^_^;))

1996/10/17
マドンナメイト文庫『淫獣の「餌食(エサ)」』校正

1999/10/19〜11/03
 『悦楽OL・肉襞営業』執筆(ソウリュウノベルス刊行予定)
  ↑↑↑↑↑↑↑↑↑
 (好きです(^o^)このタイトル)
 
1999/11/04
短編「電脳美人マウスでイカせて」(『小説NON』掲載予定)リライト
(編集部のダメ出しに合わせて。タイトルは祥伝社の編集の方がつけてくれました)

1996/11/13〜11/20
 グリーンドア文庫の長篇を執筆
 (仮題『細腕発情記』(笑)あるいは『温泉大欲情』(笑)。仮題は安達Oによるもの)
 
 ということで、ぎりぎりの20日のお昼前にようやく最後のファイルを安達Oに送信しました。これで年内は長篇の締切がないかと思うと、すごい解放感ですv(^_^)。
間があいてるのは9月だけで、10月の末からほとんど切れ目なしだったので。

 打ち上げはカラオケで盛り上がりました。いつもよりちょっと遠くの、曲数が多くて音響も良いところまで行って……ささやかですねー。

 またぽつぽつと「メイキング」など書いてゆこうと思いますのでよろしく。m(__)m


[96/12/13 07:22]

『淫獣の「餌食」』メイキング


 >Mad Tom さん(*註:ニフティサーブの安達HPに寄せられた書き込みへのお返事という形を取っています)
 
 過分なお言葉、ほんとうに有り難うございます。m(__)m
 これでみんなが遊んでいる8月、安達Oともども部屋で一生懸命パソコンに向かっていたあの約一月が、すべて報われたという感じです。

 私どもの意図したことをほとんどすべて読み取っていただいて、ほんとうに作者冥利につきます。とても嬉しかったです。

 もっと早くお返事をしようと思っていたのですが、例の「多重人格もの」のプロットに予想外に時間がかかってしまって……私が書く、と言い切ったのは良かったのですが(^_^;)、やはり慣れてないもので。編集に通ればいいんですけれど。

 では、いただいた感想にコメントさせていただきます。

>>ストーカーという今話題のネタとネットワーク
>>社会でのプライバシーの漏洩をうまく組み合わせていると感じましたし、

 ネットを利用した「ハイテク・ストーキング」? は、この秋公開されたジム・キャリー主演の『ケーブル・ガイ』のテーマにもなってます。これを私共がやってみようと思ったのは、『アエラ』に(この春頃だったかな)取り上げられていた「『地上の楽園』事件」(*)がヒントになっているんですが。

(*)完全匿名ネット『地上の楽園』で、ある女子大生の住所その他が詳細に書かれ、
この女性をレイプしてくれた方に十万円進呈、などの書き込みがあったこと。その
女子大生はネットの会員ではなく、そもそもパソコン通信自体をやっていなかった。
友人を通じてその事を知り、恐怖に駆られ家にも帰れず友人宅を転々とした、との
こと。

 拙作『淫獣の「餌食」(エサ)』の「鬼畜ネット」のモデルだと知ったら、『地上の楽園』関係者きっと怒るでしょう(^^;)。ニフティの掲示板 #8 への書き込みによれば、なぜあんなコトで騒ぐのか、というノリみたいですから。朝日系のメディアは最近通信スキャンダルの「魔女狩り」に血道をあげている、とも。

(自分とこのネットが料金高くて面白くない→会員数伸びないのをヒガんでる(笑)から、なんだそうです)

 朝日新聞が繰り返しニフティの不祥事を報道してるのを読むと(毎日も報道してるけど)この見方も納得できないでもありません。でも、その女の人の味わった恐怖も、私には良くわかるんです。知らないところで自分のプライバシーが独り歩きしてるって、怖いですよ。……で、まあ、この事件を百倍くらい大袈裟に(笑)書いたものが『淫獣の「餌食」』ってワケなんです。

 知らない人が読めば「通信って何てコワい世界なの」って思うでしょうね。まさに偏見バツバツ(笑)です……けれども、ポルノってジャンル自体、女性への或いはセックスそのものへの偏見抜きには絶対、面白くならないものだと私、思ってますから。

>>最
>>初のレイプ陵辱シーンで、まず読者を掴んで、そのあとはなかなかカラミを
>>出さずに、集団痴漢、プールでの露出プレーとエスカレートしていく展開は
>>ページをめくらさずにはおきませんね。

 冒頭レイプシーンは、当初安達Oのアイデアでは、プロローグだから軽く流そう、最初から飛ばし過ぎるのも何だし、ということだったんですが、私は、いや、それは勿体ない、こここそじっくり書き込もう、と主張してあの分量になってます。

 二人の強姦犯のうち「凶暴なほう」のセリフも大幅に(さらに凶暴に)Bが書き改めました。1.5倍は(笑)エグくなっているハズです。

 また、集団痴漢のアイデアはBですが、その他(プール、野外プレー、SMクラブ)の並びと構成は、すべてOによるものです。

>> ストーリー面だけでなく、美紗の心理面の動きや、愛するが故にストーキ
>>ングがエスカレートしていく祐一の心情が憎いまでに描かれていると思いま
>>す。

 ありがとうございます。m(__)m
 ポルノでは悪役はただもうとにかくひたすら悪い(笑)のが常道かも知れませんが「祐一」には出来るだけ感情移入して書いたつもりです。安達Oから回ってきたファイルでは、美紗が堕ちてゆくにつれて軽蔑しか感じなくなる、となっていたものを、軽蔑しようとしても出来ない、逆に切ないほどの嫉妬を感じる、というように書き換えたのは私σ(^_^)です。ここはまあ女性の願望(笑)がはいってるかも知れませんが。

 それにしても、リンデン・グロスの『ストーカー』(おお『小説NON』の祥伝社だ)、必須参考図書として当然読みましたが、ストーキングに走る人って、妄執のトリコになるまではそれなりに優秀だったり社会的にも地位があったりする事もあるんです。

 モデルにしたのは「ローラ・ブラック事件」ですが、犯人は優秀なコンピューター技師だったのにストーキングに情熱を傾け過ぎて職を失い、ついには武装してオフィスに乗り込み7人を道連れに射殺したという……ほんとうに人間の「業」のようなものを感じます。まあ、このトンでもない犯人はわれらがユウイチ君と違って、相手の女性には憎しみしか感じなかったのかもしれませんが。

(それでも肩を撃って「やめて、リチャード、撃たないで!」と言われて、彼女のことは殺さなかった)

 しかし、それほどの愛(?)でも女からみれば「イヤなものはイヤ」「たとえ無人島に二人でも」というのも、これまた真実なんですねえ。これも「業」かしら。

>> 話はズレますが、私はAVも好きで、特に淫乱系の巨乳の人が大好きなん
>>ですが、2本差しプレーをやる高沢みずきさん(アテナ映像、今は渋谷の風
>>俗勤務らしい)を観たときには、ぶっとんでしまいました。

 私(B)は映像に関しては不勉強なんですが、これ、見てみようと思います。「前後同時」なんて加筆しながらも「ホンマ出来るんかいな、こんなコト」と思っていたりするもので……。

 「自己懇願系」……いい言葉ですね。φ(..)メモメモ

>> 閑話休題。もうひとつカラミのシーンで思ったのは、美紗にまとわせるコ
>>スチューム撰びのセンスと、その描写の丁寧さです。

 これも今回は特に書き込んだと思います。『O嬢の物語』なんか読むと、ちょっと変わった(あるいはHな)ドレスのデザインとか着こなしが、とても丁寧に描かれてますよね。そのあたりからの影響でしょうか。

 「痴漢シーン」での「サイドストリング」および「いまどき珍しいフロントホック」はBが提案しまして、「おっ、それいいね」と即採用になったものです。スカートがなぜかタイトという仕掛けは安達Oのアイデア、また「プールで着る超Hなビキニ」ブラジリアンもOです。
(これはインターネットのH下着のホームページまで行って資料を収集したのだそう(^^))

 「野外プレーでの、シースルーのパーティードレス」。これは元ネタは、畏れ多くも勿体なくもモデルであらせられる三*ゆりさんの写真集なんです。安達Oはこれをパソコンのかたわらに立てかけて、「申し訳ないなー」と思いながら(笑)書いていたといいますが。

 その中に、刺繍入りのシースルーのドレス(というよりミニスリップかな)の写真があったのです。色は黒ではなく、上品なシャーベットオレンジでしたが。こーゆう感じで、とそれを安達Oに見せられて、「これってシェールが『月の輝く夜に』でオスカーの主演女優を取ったときに着てたドレスに似てるよね」と言ったのは私です。

(あの時は司会のビリー・クリスタルも驚いて、「このドレス、ちょっとでもズレ ると彼女の大事なトコロが見えちゃうネ」ってウケてましたよね、確か)

>>裸の体よりHなコスチュームって
>>あるような気がします。体のラインを強調したり、あるいは色彩が女性の心
>>情を表したりと、ある意味でコスチュームは口ほどに物を言うという面があ
>>るのではないでしょうか。このあたりを丁寧に描写していただけると、本当
>>に嬉しいですね。

 もう絶版で手にはいらないかも知れませんが、拙作『肛交教師 恥辱授業』(グリーンドア文庫、1995)も「ポーリーヌ・レアージュに捧ぐ」とおもって書いたもので、『O嬢の物語』には及びもつきませんが、コスチュームの描写にはそれなりに気を配ってます。イメージカラーが偶然にもミッドナイトブルー、真紅、(肌の色の)白の三色になって、おふらんす文化(笑)に敬意を表する結果となりましたが。

 『肛交教師』はたしか私共の三作目で、この仕事でどうにかやってゆけそうだ、いややって行こう、とBが初めて決意したのは、これが完成した日のことでした。2月のおわりの、南風の強い、晴れた日でしたが。

 チャイナ・ドレス……これは去年東京中日スポーツに『電網セックス女体コレクション』を連載しました折り、このHPにて「上海雑技団から逃げだした『超絶体技』の姑娘を是非出して」とのリクエストをいただきまして、描写したことがあります。その部分だけ、ここか安達ページで公開してみようかしら……(イメージキャラは「チュンリー」(笑)だったりするが)。『バチェラー』の観月麗華さん、探してみます。

 ……嬉しさのあまりつい長く書いてしまいました。
 どうも、ありがとうございます。


[96/12/18 15:36]

「ラスト」について


>七平 さん(ニフティの『安達HP』に七平さんが厳しいご感想を寄せてくれました。それへのコメントです)

 『淫獣の「餌食」(エサ)』、お読みいただき有り難うございました。

 手厳しい御意見も参考になりますので。
 あきらかに時間が足りなかったり描写が不足だったりする部分、つまり指摘されるべくして指摘される箇所と(*)、そうではない箇所の違いはあると思いますが。

(*) Mad Tom さんにも御指摘をいただいた、ラスト近くの「鬼畜ウェディング」
のシーンがそうです。あそこまできて体力がなくなりました。確かに枚数も時間もありませんでしたが、「ちょっと駆け足」になったのは、やはりパワーを使いきったせいだろうと思っています。

 「そうではない箇所」というのは、そこを変えると「安達が安達でなくなってしまう」ような部分なんですが。(具体的に言えば、あのラストがそうです)

 「今までよく使われた『ねた』」自体を使うことは、仕方ない面もあると思うんです。すでに数多くのパターンが出尽くしているわけで、必然的にその組み合わせとバリエーションを使うことになりますから。これはポルノに限らず、またメディアを問わず、娯楽作品全般に言えることだと思います。しかし『淫獣の「餌食」』に新しい「ネタ」が全くなかったか、というとそんなことはないと思いますよ。

 しかし「表現」ということになると話は別です。筒井康隆が、小説で大事なのは「何を書くか」ではなく、「どのように」書くかなのだ、というような事をずっと以前に書いていましたが、具体的な「表現技術」に関してはまだまだ研鑚が必要だと私も思っております。由紀かほる先生の作品、きちんと読んでみなくては。

>>最後の刺青でいよいよかと思ったところで場面が変わるし、刺青はどこへいった
>>んやと思ってしまいました。

 どうもすみません(^^;)。まあ、あそこであれしか残りページが無いのに「刺青」で期待させてしまうのは「反則」だったかも……。でも安達Oは「刺青」がスキらしいので、多分いつか書くと思います。『令嬢姉妹』にも、じつはヒロインが刺青をほどこされるくだりがあったのです。でもこれは編集からの要請で(詰め込み過ぎ、という事だったのでしょうか)全面カットしてしまったといういきさつがあります。削除部分を安達ページ上で公開してもいいかもしれません。

 「ラスト」についてですが、今回も、また『美囚・麻耶 集団凌辱』(グリーンドア文庫)のラストにしても、ああいう風にしたのはBの要望なので、いささか責任を感じてしまいます(^^;)。

 ただひとつ言えるのは、ああいうラストでなければ私は「気持ちよくない」ということでしょうか。ああいう終わり方ではなく「ありがちなラスト」を書けと言われれば書けるでしょうが、それは多分私にとっては「『物語』への愛」ではなく、単なる「現状の追認」でしかなくなってしまうと思うのです。

 『O嬢の物語』、じつは私、ラストが駄目なんですよ。

 ラストを除けば、耽美ですし、ロマンス小説(笑)の要素もあるし、とても好きなんですけれども。

 あれはファンタジーだと安達Oは言いますが、私にはむしろ「寓話」のように思えます。「物事のあるべき姿」を描いたものには思えないのです。人間には自由を捨て去る自由さえある、という終わり方ですが、他人の欲望を自分の欲望と思い込まされて自由を失う、という事態は私にとってむしろ「笑えない現実」だったもので……。(そしてこれは今世紀ヨーロッパの歴史的現実でもあった)

 けれども立場が違えば、「物事のあるべき姿」もまた違って見えるのは当たり前のことですよね……。
 ポルノのラストひとつ取ってみても、これだけ食い違うわけです。

 よって「男と女のあいだには暗くて深い……」云々という「永遠の真理」に、結局は行き着くんですが(笑)。

 『淫獣の「餌食」(エサ)』にしても、女性の側の「完全勝利」ではないですね。彼女もかなりのものを失ったし「第二のストーカー」の出現を予感させて終わってます。

 「従来型エンディング」と比べれば「一方的にやられっぱなし」で終わるか、それとも「戦い続けて」終わるか、の違いだけであるような……なんてことを書いても七平さんは全然納得できないと思いますが(^^;)……

 まあ、いずれ「ご正道監禁モノ」は書いてみようという話にはなっているので、その時は刺青・人体改造もたくさん盛り込み、もちろんラストも「従来型」でいってみたいと思います。(「続篇」を書いてひっくり返すかもしれませんが)

 私共のデビュー作『令嬢姉妹』については、また発言を改めまして……
題材ではなくスタイルの点から、もうああいうものは二度と書けないという特殊な
事情があったと思います、あのお話には。


[96/12/18 19:10]

デビュー作のころ

 私どもの事実上のデビュー作、『令嬢姉妹 完全飼育』ですが、これを書いた当時を思い出すと色々懐かしいです。

 まだコンビネーションがうまく行ってなくて、私も今よりはずいぶん大人しくて(笑)ストーリープランについて意見を出すとか、テーマはこれこれで、とか全体にかかわるような事を言おうなどとは夢にも思っていませんでした。

 いくつかのシーンを書き加えるように提案はして、そこを実際に書いたりはしましたが、今のようにBがテクスト全体にわたって手を入れる、ということはしてなかったと思います。

 おそらく注意して読めば「継ぎ目」がはっきりわかるんじゃないでしょうか。

 まさに「フランケンシュタイン状」のテクストですね(^^;)。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は元祖サイバーパンクと言われてますが、あのころのOとBは未だ「キメラ化」してなくて言わば境界解体の途上にあった(^^)……などと言うとアレですが、まあ書く題材が題材だし(笑)お互いにまだ遠慮があったんでしょうね。

 口頭でのコミュニケーションは今ほどなかったです。その後、『調教妻 復讐の凌辱』(グリーンドア文庫)で、はじめてBのプランがメインになってるハードボイルド・タッチの復讐譚を書いたときに、こちらの思っていることを前もってはっきり伝えないと非常に効率が悪く、しかも加筆段階で自分がえらく苦労することが判った(笑)ので、事前のディスカッションをそのころから重視するようになったのだと思います。

 というわけで処女作のころは、お互い(アタマの中身に関して?)手さぐり状態で、しかもBのほうの事情を言うと、まだ「機械との融合」すら完成していませんでした。信じられないでしょうが、一度紙に下書きしたものを入力してたんですよ。キーボードを前にすると頭が空白になってしまうんです。機械と前頭葉を接続するシナプスが完成してなかったのでしょうね。きっと。

 まあ書こうとしてたのがポルノですから、そういう意味での抵抗ももちろんありました。

 そんなこんなで、色々な面で、文体が大変ぎくしゃくしたものになる条件は揃い過ぎるほど揃ってたと思います。>『令嬢姉妹』

 でも、読まれる方によってはかえってそこが良いのかも知れません。

 たとえばヌード写真集にしても、マドンナみたいに堂々と、「見られること」を意識してボディを完全なコントロール化においたようなものは、おそらく「来ない」んではないでしょうか。

 しかしそういう「表現」が見るからにぎこちなかったりすると……それは「アイドル泣き顔写真」みたいなもので、非常に「H」なものになり得る可能性がある(^_^;)。

 うーん、今にして思えば、アレはまさに文字通りの「処女」作だったな、と(笑)。

 ということで安達ユニットのデビュー作『令嬢姉妹』が今もって何人かの皆様の偏愛の対象となっているのは、そのあたりにも原因があるのではないかな、と思っております。言うなればケガの功名、でしょうか。

 Hであることは良いとして、それが意図したものではない、というあたりが、何か作者としてはくすぐったいです(^_^;)。「スクロールの彼方」に消えさりつつある事をホッとするべきなのか、惜しむべきなのか……。

 そういうわけで、あれと同じことをやれ、と言われても多分、もう二度と出来ないと思います。

 「過激な描写」も初めて書いたときは物凄く抵抗ありましたが(^^;)、一度書いたら全然平気になってしまいましたから。「一人殺すも(笑)十人殺すもおんなじだっ」って感じでしょうか。鳴呼我がロスト・イノセンスや何処……という。

 昔話をしてしまいました。一度書いておきたかったことだったもので。