夏休みの宿題の定番といえば読書感想文です。小学校に提出する前に、お父さんやお母さんがほんの少しアドバイスをするだけで、見違えるほど仕上がりが良くなります。この記事では、読書感想文の書き方を8つのポイントに絞って解説します。
- 適切な本を選んでいるか
- 原稿用紙の使い方や学校の規定は守っているか
- 読みたくなる題名になっているか
- 書き出しは独創的か
- あらすじをダラダラ書いていないか
- 「おもしろかった」「思います」を連発してないか
- 「そう感じた」理由は書いてあるか
- 読書後の変化が書いてあるか
適切な本を選んでいるか
学年と読解力に応じた本を選ぶことが大切です。読書感想文の評価をするのは、学校の先生です。高学年なのに低学年向けの本を選ぶと、十分に思考をひろげられずマス目を埋めるのに苦労します。
学年が上がるとともに求められる原稿用紙の枚数は増えていきます。自由課題の作文では、自分の興味の持てる本を選べば問題ありません。どんな本が読書感想文に選ばれているかは、こちらのサイトを参考にすると良いでしょう。
原稿用紙の使い方や学校の規定は守っているか
課題が原稿用紙400字詰め3枚ならば1200文字。すべてのマスは埋められないにしても8割以上のマス目は埋めましょう。この場合は最低2枚半以上を書きます。意外と守られていないのが「原稿用紙の使い方」です。原稿用紙の使い方を確認しておきましょう。
なお、感想文を書くときは学校で習った漢字はきちんと使いましょう。書くことが思いつかず、マス目を埋めるために「ひらがな」ばかりで書くことのないように。
読みたくなる題名になっているか
読書感想文の題名は自由につけて良いことになっています。読み手の目を引く、本文を読みたくなる題名をつけましょう。いちばんもったいないのが「○○を読んで」と、本の題名を書くこと。
たとえば、太宰治の「走れメロス」で読書感想文を書くなら「正気か、センヌリウス!」くらいのインパクトのある題名をつけても大丈夫。本の題名を書かないと心配な場合は、副題で―「走れメロス」を読んで―と添えれば良いでしょう。
書き出しは独創的か
文章は書き出しが命。ここで読み手の関心を引けるかどうかが、感想文のデキの印象を左右します。1行目を「私は」「ぼくは」ではじめないだけで、ほかの生徒と差をつけることができます。書き出しのパターンを2つあげます。
ひとつは、本を読んでもっとも印象に残った言葉を引用して書き出す方法があります。「なぜその言葉が印象に残ったのか」あるいは、その言葉を読んだとき「自分はどう感じたか」と理由を書くことで感想文を展開していきます。
もうひとつは、本を読んで生じた疑問から書き出す方法があります。走れメロスなら「なぜメロスは親友を身代りにしたのか?」とか「センヌリウスは、なぜメロスの邪魔をしなかったのか?」など、素朴な疑問から文章を展開していきます。登場人物の心情を想像し、自分の体験と照らし合わせて、答えを推論していく形式です。
あらすじをダラダラ書いていないか
読書感想文は「感想」を書くものです。あらすじは最低限にしましょう。いつ、どこで、誰が、何を、どうして、どうなったか。5W1Hを用いて必要に応じて数行でまとめましょう。
あらすじが長くなるのは、文章の読み込みが足らず十分にマス目を埋める材料が準備できていないとき、あるいは、自分の読んだ本の内容を、読書感想文の「読み手は知らない」という前提で説明するときではないでしょうか。
読書感想文は、読んだ人がその本に興味を持つように書くのが基本。あらすじは、映画の予告編のようにダイジェストで伝えましょう。
よくある失敗が、あらすじを書いて短い感想、またあらすじがあって短い感想が続く書き方。俗に「雨だれ型感想文」といいます。あくまでも自分がどう思ったのか、感想を中心に書くことが大切です。
「おもしろかった」「思います」を連発してないか
単調な「おもしろかった」「思います」の連用は、文章を稚拙に見せます。気持ちを表す言葉と感想や意見を表す言葉の種類を増やして適切なものに書き換えましょう。文末表現に幅ができると、それだけで読書感想文が上手く見えます。
「そう感じた」理由は書いてあるか
マス目の埋まらない、書くことがすぐに尽きる読書感想文の典型が、「○○がおもしろかったです」と気持ちを書いて、次のあらすじに移るもの。読み手が知りたいのは「どうして、その部分がおもしろいと感じたのか」という具体的な説明です。
おもしろい、かなしい、うれしいなど、心が動いたとき、人は自分の過去の体験や知識と照らし合わせているものです。無意識のうちに登場人物の生き方や考え方を自分と比べて共感したり、反発したりしているのです。
自然にわきあがった気持ちを「こう感じたのには理由があるはずだ」と観察や推理をして、言葉で説明するのが読書感想文です。理由を説明する過程で、書き手の個性、根本思想、考え方が読み手に伝わります。読書感想文は、本の感想を伝えることで、自分を表現し伝えるものともいえましょう。
読書後の変化が書いてあるか
読書の目的のひとつに、読み手の成長と変化があげられます。読む前と読んだ後で、意識がどうかわったのか。どのような気づきが得られたのか。これからの毎日に意識の変化や気づきをどう生かすのか。これが読書感想文の最後に書いてあるかどうかで、感想文の価値がまるで変ります。
読書感想文の締めは、読書によって得られた意識と行動の変化を中心にまとめましょう。