どうも、hashiken(@conteanime)です。
2015年から個人事業主としてこの『コンテアニメ工房』の運営管理と絵やキャラクター商品の受注制作などしていますが、並行して業務委託でスマホゲームのイラストアートディレクターもしてたりします。
たまに『イラスト 仕事』みたいな感じで検索したりすると、専門学校やクラウド系のマッチングサービスなどがソーシャルゲームのカードイラストを描く仕事をおすすめしてる内容をよく目にするんですね。
門戸が広くなったのは確かにいいんですが、どうにもキレイな部分しか書いてないのが前から気になってたので・・・現場を見てる側として、2016年最新のスマホゲーム業界におけるイラストレーターの現状をお伝えしたいと思います。
目次
イラストレーターの状況、業界全体での量から質への大転換
グリーやモバゲーによるソシャゲが主流の頃はとにかく絵のテイストはバラバラでいいからカードイラストを大量生産という状態でしたが、2016年夏時点ではなるべく統一した絵柄によって作られるゲームが増えてきました。
なのでイラストレーターも、主要キャラと似た絵柄が描けるかどうかがかなり重要視されるようになっています。テイストもファンタジーな厚塗りよりはアイドル系のライトな塗りが重宝されてきてますね。
激しく移り変わる流行りへの対応能力は、今後も強く求められていくはずです。描き手の個性よりも設定に合わせられるかどうか・・・対応できなきゃもちろん仕事がなくなります。
イラストレーターになるのは昔より簡単、でも長く続けていけるのは・・・
ソシャゲ以降イラストレーターの必要とされる数は爆発的に増えましたが、先のような状況から仕事をし続けていくことは年々厳しくなっている印象です。
大量生産が美徳だった時代は終わり、高品質なもののみが求められるようになりました。
アプリも一時期のように出せば売れる状況ではもはやなく、少しでも安い作りだと全くユーザーはつきません。大作としてお金をかけてもコケるときは一瞬で、メーカーとしてもかなりギャンブル的なビジネスになっています。
一方、イラストレーターは技術だけで生きていくのが難しい面もあったりします。
ずば抜けた技術のある人は多少おかしな言動や行動をしても許されるでしょうが、人並みよりちょっと上程度の技術では常識的な対応ができないとすぐ他にとって代わられる恐れがあります。
こんなのクイズにもならないと思います(笑
会社員として絵を描く人と同じくらい、フリーで絵を描く人にも最低限のビジネススキルが今後はますます必要になってきます。絵を描く人にはユニークな人が多いから・・・なんてのはもはや免罪符にすらなりません。
また、若いうちはいいですが自分が30、40、50・・・となっていく未来も考えておきましょう。40、50になった時に1プレイヤーにすぎない状態にいては限界はすぐ目前です。社内にいるなら管理側に移れていないと先はないですし、フリーランスはなおさらです。
最初から在宅やフリーランスのイラストレーターを目指すのは危険!!
上にも書いたように、フリーや在宅で仕事をもらっていくには常識的なビジネススキルが必須です。その訓練をまるでしないまま業界に入ることは到底オススメできません。
一度会社に属した上で、人脈などもある程度築いてからだって独立は十分間に合います。
学生の頃にどこか一つの会社から絵の話をもらって、就職しなくてもなんとかなるさと思ったら負けです。イラストレーターの代わりなんていくらでもいます、抜きん出た技術でないなら過信せずどうしたらうまく生きていけるか考えながら動いてください。それを知るためにも、まず一度会社組織に加わって絵を描いてみることが絶対におすすめなんです。
その他、知っておきたいイラスト業界の豆知識
ネット上のコンペ形式のマッチングサービス
お手軽だからって、クラウド型のコンペ形式に応募するのは個人的にあまりオススメしません。技術を安売りする癖がつきますし、対価としての価格がそれほどでもないからです。
本気でイラストレーターとしてやっていきたいなら、技術を上げる事と人脈を活かす事に集中しましょう。
そして、やった内容に対し正当な対価をもらえる仕事を引受けていくようにしましょう。
在宅イラストレーターの存在価値
ほんのり憧れを感じるかもしれませんが、在宅で絵を描くのは別に珍しく無いことを知っておきましょう。
すごく悪い言い方をすると、無茶を頼めて気楽に使えることがクライアントが在宅外注を使うメリットです。
会社によっては、予定されてたはずの仕事を連絡無しで飛ばすことも普通にありえます。在宅で仕事をするなら最低でも、3つないし4つは仕事をもらえる企業(つて)がないと危険です。通勤などなく楽な分、あきらかなリスクも有ることは理解しておきましょう。
お金の計算をできるようになろう!
仮に、背景付きのカラーイラストを5万円で受注したとします。
一ヶ月に生活で必要な額が30万とすると、ひと月最低6枚は描く必要があります。
一枚完成させるのに合計何時間かかるのか?
完成に要するのが40時間だとした場合、一日8時間作業すると5日で終りますね。単価5万円を40時間で単純に割ると、1,250円です。
時給1,250円はごく一般的なアルバイトの相場よりは高いかもしれないですが、逆にめちゃめちゃ高い額ではないのもわかります。
ひと月6枚の仕事があって1枚40時間で仕上げるためには、一ヶ月240時間必要になってきます。一日8時間労働で割ると、30日で終わります。休みは1日ですね。休みを増やすには、1日の労働時間を増やすか、作業のスピードを早くしていく他ありません。
さあどうでしょう・・・この仕事は、自分にとって納得がいくのかどうか??
考え方の基準として、実際の数字を把握しておけると便利です。
ソーシャルゲーム隆盛期は、一枚絵の価値もわからず大量生産に追われるクライアント側といきなりイラストレーターになった人たちとの間で異様に安い単価が横行してしまいました。今はさすがにそこまでの事例は減ったはずですが、検索などでちゃんと最新の相場も調べつつ、一方的な条件で相手のいいように使い捨てされないよう・・・自分の身は自分で守りましょう。
さいごに、
専門学校など直接学生と関わる現場では、華やかな話ばかりでない今回のような現実もしっかり講師の方々から学生に伝わってると信じたいです。
様々書いてきましたが、別に業界を腐す意図はありません(自分も最近までいた身ですし・・・/笑
ただ、こういう面もあることはぜひ知っておいてください。ろくな情報を集めず大事な決断をすると、エライことになります。検索がこれだけ便利になった現代で、重要な事柄を事前にたいして調べないまま決めてしまうことは情弱の一言ではもはや済みません。
危険な状況を防ぐ意味でも、同じ業界の友人知人といった人脈は欠かせません。むしろそれなしじゃフリーランスや在宅のイラストレーターとして生きていくのは困難なので、やっぱりまずは会社に属して色々覚える選択肢が一番効率的だと言えます。
後悔のない人生を歩むためにも、視野を広く持つことを意識して進んで下さいね。そろそろ業界から離れる老兵よりのアドバイスでした・・・(笑
将来の進路に悩んでたりしたら、今回の記事の内容も頭に入れた上で考えてもらえたら嬉しいです。