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【「慰安婦」日韓合意】
「遺族にも現金」 日本国内の反発必至 元慰安婦支援財団発足で日本政府が抱える課題
日本政府は、日韓合意に基づき韓国側が元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」を設立したことを受け、8月中に日韓の外務省局長級協議を開いて財団の事業内容などを協議した上で10億円の拠出に向けた調整を行う。だが、財団は元慰安婦だけでなく遺族にも現金を支給することを検討しており、ソウル日本大使館前の慰安婦像撤去のめどが立たない中での拠出には国内からの反発は必至。日本政府は難しい説明を求められそうだ。
10億円拠出時期「未定」
岸田文雄外相は27日夜(日本時間28日午前)、訪問先の米ニューヨークで、財団設立を受けて「(日韓)それぞれが誠実に努力してきた結果だ」と指摘し、「引き続き韓国と連携し、合意の履行に努力したい」と述べた。
菅義偉官房長官も28日の記者会見で「日韓両政府が合意を責任をもって実施することが重要だ」と強調した。一方、財団運営費の原資となる10億円の拠出時期については「未定だ」と述べるにとどめた。
政府は外務省局長級協議を通じ、財団が実施する事業内容が「元慰安婦の心の傷を癒やす」との趣旨に沿うか見極めた上で資金を拠出する方針だ。ただ、外務省幹部は「具体的に何をするかは韓国側が考えることだが、日本側が納得できる最低ラインもある」と予防線を張る。