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【首都スポ】

高校野球 八王子が甲子園初切符 “3度目の正直”ついに決勝の壁破った

2016年7月28日 紙面から

ナインに胴上げされる八王子の安藤徳明監督(北村彰撮影)

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◇西東京大会 八王子学園八王子5−3東海大菅生

 第98回全国高校野球選手権(8月7日から15日間、甲子園)は27日、西東京決勝で、八王子学園八王子が延長11回、5−3で東海大菅生を破って春夏通じて初の甲子園出場を決めた。八王子市内の学校としても初出場。東海大菅生は3年続けて決勝で涙をのんだ。神奈川では、昨夏の甲子園を制し、連覇に挑んだ東海大相模が2−11で慶応に8回コールド負け。準々決勝で姿を消した。

 昨秋の東京都大会ブロック予選の初戦敗退からスタートしたチームが西東京を制した。マウンドでできた歓喜の輪の中で、川越龍主将(3年)は喜びをかみしめた。「ブロック初戦で負けたのは初めてだった。だから『おまえら初めて甲子園に行けるぞ』と監督に言われてやってきた。長い1年でした。最後は全員の力で勝ちました」

 「ありんこ軍団」らしい戦いぶりだった。池添法生前監督(現東京都高野連常務理事)のころからのモットーだ。1匹ずつは小さくても、みんなが結束すれば大きなカブトムシも倒せる。その教えとともにチームを引き継いだ安藤徳明監督(54)は、準々決勝・早実戦前日のミーティングで改めてその意味を伝えた。そして、怪物スラッガー清宮幸太郎内野手(2年)らを擁した早実に逆転勝ち。「個人プレーで戦ってきた自分たちが一丸となれたのが大きかった」と川越主将。この夏の分岐点となった。

 早実に勝った流れを大事にしようと、その後は不動のオーダー。決勝は持ち前の機動力で揺さぶり、序盤から得点を積み重ねて主導権を握った。2年連続準優勝の東海大菅生に中盤に底力を見せられて、相手ペースに巻き込まれかけたが、早実戦の9回に清宮を抑えた元エースの米原大地投手(2年)が5回途中から救援して無失点に抑え、延長11回に山口が勝ち越し打。米原は「(右肘のけがで)春に投げてないのにメンバーに選んでもらったので応えたかった」と胸を張った。

 3度目の決勝進出で初優勝。就任11年目の安藤監督は「八王子市からは甲子園に出ていなかったので、昔から応援してくださっている方々に恩返しがしたかった。長い時間がかかりましたが、とにかくうれしい」と自身も生まれ育った八王子が来年迎える市制100周年にも花を添えた優勝を喜んだ。

 八王子の名を聖地にも刻み込む。「甲子園はもっと気持ちがいい場所だと思うので、思い切ってプレーして校歌を歌いたい」。川越主将も力強く誓った。 (小原栄二)

甲子園出場を逃した東海大菅生ナインは泣きながら引き揚げる

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◆2度あることは3度ある… 東海大菅生3年連続準V

 3度目の正直ではなくて、2度あることは3度あるだった。3年連続で準優勝に終わった東海大菅生の若林弘泰監督(50)は「伊藤が踏ん張ってくれて、こっちに流れが来ると思ったけど…」と終盤の我慢比べに負けた悔しさをにじませつつも、「今年のチームは史上最低だと言い続けてきたけど、みんなが奮起してよくやってくれた」と選手をねぎらった。

 投打の柱・伊藤は相手の盗塁を絡めた攻撃の前に3回までに3失点したが、徐々に立ち直った。7回に無死満塁を切り抜けると、8回以降は走者を全く許していなかった。しかし、心身ともに疲れが出たのか、11回に許した遊撃内野安打からつかまった。

 「(決勝打は)スライダーが抜けてしまった。若林さんを甲子園につれていきたかったが、できなくて悔しい」と伊藤。グラウンド上ではこらえていた涙を流しながらバスに乗り込んだ。

決勝点となる右越え三塁打を放つ山口

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◆山口 決勝三塁打

 八王子学園八王子は11回1死二塁で、1番の山口が高めのスライダーをたたいて右中間フェンス直撃の適時三塁打。「監督から『今まで練習を頑張ってきたんだから思い切って振ってこい』と言われました」。この日3本目のヒットで勝負を決めた。冬から春に守備、機動力を磨き直して臨んだ今春の東京都大会の準々決勝は、全く打てずに二松学舎大付に負けた。その後の約3週間、全員で打撃練習にひたすら時間を費やした成果が最後に実った。

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◆9年前の準優勝メンバーも応援

 八王子学園八王子のスタンドでは、2007年決勝で創価に負けて準優勝したメンバーも応援。先制したものの追いつかれて7回を終わって3−3のスコアは9年前と同じで、当時の主将の今泉拓也さん(26)=写真(右)=らも途中ヒヤヒヤだったが結果、見事に初優勝を飾り、満面の笑み。恩師の優勝インタビューを見て、今泉さんは「僕のときはできなかったけど、監督が話しているのをこうして見るとうれしい。甲子園にも応援に行きたいですね」と話した。

    ◇

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