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月が導く異世界道中 作者:あずみ 圭

三章 ケリュネオン参戦編

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全て跡形もなく

「あははは!!」

「狂った?」

「まさか。二つほど、笑える事があっただけよ」

「はぁ?」

 思わず呆れた声が出る。
 結局チャームを解いても、帝国の勇者の事を言い出さなくなっただけであまり性格は変わらなかった。
 殺気は継続して放たれているのに、いきなり笑い出すんだから。
 狂ったのか、と思った。
 だけど直後、目の前で不敵に笑うソフィアの力が変質するのが伝わってきた。
 そうか。
 一応は根拠がある、狂った訳じゃないのか。

「一つは、相棒なんてものは本当に呆気なく、簡単に死ぬって事」

「ランサーが死んだか」

 識がいるところまで界は広げてないから本当かまではわからないけど。
 まあ、識が負ける訳は無い。
 でもトドメまで刺せるなんて、思ったよりもずっと強くなってるな識。

「もう一つは、賭けはやっぱり私の勝ちだったわ、っていう自分の強運への呆れ、かしら」

「賭け……。ランサーと?」

 僕とは賭けなんてしていないし。
 もう、こいつで試す事は無い。
 何かするなら見てもいいけど、そろそろ終わりにしよう。

「ええ。私が先に死んだらあいつのコレクションに加わる。あいつが先に死んだら、私に残る命も捧げる。そういう賭けよ」

 残る命。
 ランサーって何個も命があるんだ。

「……で。賭けに勝って残る命をもらったお前に、何が出来るの? もうその剣も、竜の力も。全く及ばないってわかっただろう?」

 今更ランサーの力が宿ったところで、何が出来るというんだろう。
 剣が多少強くなったって。
 光の剣の転移が少しばかり強力になったって。
 何の意味も無い。

「……ああ。笑えはしないけど、もう一つ気付いた事があるわね」

「ふぅ」

 楽しげな顔が表情を失い、でもソフィアはまだ話し続ける。
 待ってやるんだから、こんな時間稼ぎをしなくてもいいのに。
 思わず溜息が出る。

「私も最近よくやっていたけど、誰かを見下す戦いをする奴っていうのは、胸糞が悪いわね。反省したわ」

「あ、そう」

 よく言うよ。
 挑発のつもりなのか知らないけど。
 僕は自分の精神の手綱を、今はある程度握れている。
 もう決着になるこの戦いの結末も、淡々と迎えられるだろう。
 極端にさえ感じた、冷たい感じのする戦いの思考。
 何のことはない。
 ただの、戦う時の心境、なんだと思う。
 例え戦争で人を何人も殺した人だって。
 友達と食事にいく、一緒に遊ぶ、きっとそんな気安さで人を殺せる訳じゃない。
 多分、そういうものだと割り切って慣れるだけなんだ。
 スイッチを切り替えるみたいに、兵士として動けるようになるだけ。
 僕の中にあるこれが、きっと僕の慣れ。
 特別とか、そういうものじゃなく。
 生き死にの戦いなんて非日常に、適応しただけなんだろう。
 別人が心の中にいるんじゃないんだ。
 自分なら、多少は向き合ってきている。
 ソフィアが何を言っても、魔力体が攻撃を僕に至らせないのと同じように、ごく表面的にだけ捉えて受け流せる。

「そして、そういう輩は油断もする。だから、私は間に合った。見せようじゃない、二匹の上位竜を圧倒して殺した私の奥の手」

「強者が戦場を蹂躙して、好きなように振舞う。むしろ、摂理じゃないかと思うけど。油断、かな?」

「今もそうやって、私を止めようともしない。それを油断と、驕りと言わずにどういうのよ?」

「……余裕? ん?」

 ソフィアから答えは無かった。
 代わりに彼女を中心に極彩色の気持ち悪いエリアが床を伝って広がっていく。
 やがてそれは僕の足元にも及び、空にも広がっていった。
 どこまで広がるのかと思っていたら謁見の間だった空間を埋め尽くすまでもいかず、拡大を止めた。
 目に優しくない空間だ。
 身も蓋もない感想を頭に浮かべたすぐ後、ガラスに爪を立てたような耳障りな音が大きく一帯に響いた。
 極彩色のエリアは砕け散って、元の謁見の間に戻る。
 だけど、これは……。
 僕の推測を肯定するように、ソフィアの足元から、いや空の至るところから剣が次々に出てきた。
 どれも意匠の異なる剣たち。
 共通するのは剣であるという事と、結構な業物だという事くらいかな。
 まるでエルダードワーフの武器庫にある剣を引っくり返したみたいなラインナップになっている。

「ようこそ、剣の獄へ。ここはランサーが集めた剣の保管場所。そして、処刑場でもある」

 ソフィアの不敵な笑み。

「凄いね。僕を隔離した空間に連れ込んだんだ」

「少しずらしただけの手抜きだけどね。でも、その分もてなしは凝っているから安心しなさい」

「いやいや、これでも無理矢理別の空間に連れ込まれるなんて初めて、いや例外を除いて殆ど無かったんだよ。狭いとはいえ大したもんだ」

 ソフィアは静かに目を閉じて、大きく深呼吸した。
 無視か。
 でも、巴にもされなかった事なのに大したものだよ本当に。
 あの耳障りな音の時に空間がずれたとかなのかな。
 見た感じは同じ場所にいるようにしか見えないのが凄い。
 今回初めてソフィアに感心させられたかも。
 すぐに仕掛けてこないから、界を使ってこの空間の特性を把握する事にした。

「展開した者の力を高める。でも、最も特異なのは……剣との生命共有?」

「閃き、ってレベルじゃないわね。何か、した?」

「ちょっとね。この剣全てがソフィアの命って訳だ。残機無限が真骨頂とは嫌らしい力だ」

 ただ刺さり浮かぶだけの剣から命の脈動を感じる。
 命のシェアみたいな事が彼らとソフィアの間で行なわれている感じだ。
 反応を見るとそう間違ってもないみたい。

「……千と八十。無限ではないわ」

「もう少し、少ないみたいだけどね。ランサーが識に使った分も結構あるんじゃないかな」

 壮観だし、見事な能力だ。
 ソフィア個人の戦闘能力を考えればこんなのと延々と戦うのは、上位竜だって嫌だっただろう。
 しかも、僕と最初に戦った段階で瀑布、つまり癒しを得意とする竜を手に入れていた訳で。
 夜纏と紅璃に同情するね。

「お前が死ぬまで続く剣舞に変わりは無い――」

「でも残念。最後の最後で最悪な能力を持ってきたねソフィア」

 両手に剣を握り二刀流になった竜殺しに、僕は伝えた。
 多分、心底僕は彼女を哀れんだ顔をしていただろう。
 ソフィアに反論は無く、代わりに彼女は僕の左手を凝視していた。

「ライドウ、それは……」

「戦士とか、術師とかさ。違う、全然違うんだソフィア。僕はね」

 左手を彼女に向ける。
 それを持ったまま。
 さっき別空間から取り出した、僕の武器を。
 ソフィアが作った、彼女が支配する空間でそんな事が出来てしまう。
 亜空の応用とは言え、申し訳ない気もする。

「ああああああああ!!」

 直感だろうか。
 目を見開いたソフィアの雄叫び。
 弾丸に例えても相応しい位の速度で彼女は魔力体に切りかかってきた。
 へえ、威力も強い。
 なら……。
 界を強化に変更する。
 ソフィアが鋭く裂いた魔力体は、対策直後から途端に殆ど傷つかなくなる。
 確認して頷くと、僕は右手に弓と同じく取り出した白い矢を手にする。
 そして、つがえる。
 地を空を疾走しながら攻撃を続けるソフィアの視線が僕の左手から離れない。

「これ? アズサ。僕の武器だよ。名前を付けてくれって、どうしても作ってくれた職人が譲らなくてさ。それで古くからある弓の名前をそのまま、ね。梓弓って言うんだけど」

 右手から白一色の矢に魔力を大量に流し込む。
 徐々に、その色が桃色になり、さらに赤が濃くなっていく。
 僕がしている指輪ドラウプニルと同じ素材で出来た矢だ。
 魔力体を得た時に思った。
 僕が魔力を一度に大量に術として構築できないなら、外で溜めればいい。
 溜められる物を使えば良いんだって。
 込めるにも限界はあるとは言え、真っ赤になったこの矢の威力は僕が使う魔術よりは余程強い。

「ああああああああ!!」

 ソフィアの意思に操られて、その手に持つ二本の剣以外の剣まで僕への攻撃を開始していた。
 斬る、突く、払う、降り注ぐ。
 容赦が無い攻撃だ。
 そんな中でソフィアは器用に自分の攻撃をかわしながら駆け回って位置を変え、攻撃を続けている。
 術まで使い出して正に全部出し切っていた。
 関係ない。
 この世界では珍しい大弓、僕にとっては慣れ親しんだ和弓のフォルムをしたアズサを引き絞っていく。
 千回以上殺さなきゃ終わらないなら、一度にそうするまで。
 ソフィアも剣も、全部一撃で消し飛ばす。

「ライドオオオオオオオオオオオオ!!」

 血走った目のソフィアを視界から消す。
 目を閉じて、静かに。
 今更焦っても遅い。

「もののけを、引き放してぞ梓弓、引き取りたまえ今日の聞き神……なんてね、うろ覚えだけど」

「お前、お前はぁぁぁ!!」

 自らこんな狭い場所に閉じこもったんだ。
 もう、逃げ場は無い。
 かく乱を狙って動き回るソフィアなど、見る必要もない。
 ナニカに当てるだけで、この空間全てに攻撃は届くだろうから。
 ゆっくりと目を開ける。

「僕は、弓道家だ。名は深澄真。偽名を叫んだまま死ぬのも惨めだろう、ソフィア?」

「私はまだ、奴に、ルトに、調和の上位竜に会ってすらいない!! 死ねる、ものか!!」

 僕が折角名前を教えたのに。
 スルーされたよ。

「ルトの事か。調和ねえ、混沌の方がアレらしいと思うよ。しかし笑えるね、自分がアレにカメラ代わりにされていることにさえ気付かずにいるんだからさ」

「っ!?」

 相手にされてないどころかいい様に利用されて、それに最後まで気付かなかった。
 ルトと陰謀で勝負しようとするのが間違いのような気もするけど、挑んだ結果は無様なものだ。
 竜殺しの肩書きも……。

「さようなら、ソフィア=ブルガ。ああ……ルト、これは貸しだからな」

「!!!!」

 ちらりと。
 ソフィアの瞳の奥を覗き込むように見て、生中継を見ているだろう変態に言ってやった。
 地に刺さる剣の適当な一本に向けて真紅に染まった矢を、放つ。
 内から魔力体を突き破って射られた矢に剣が砕かれ、甲高い音がした。
 溢れ出す真っ赤な破壊の光が狭い空間をどんどん満たし、存在する大量の剣がまとめて消し飛ぶ。
 当然僕の魔力体の表面にも触れ、徐々に削っていくけど、ここまで届く事は無い。
 矢で突き破られた部分はすぐに塞がれている。
 抜かりはない。
 でも、僕と違ってそうはいかないソフィアの怒りか焦りかの絶叫が響く。
 でも何が変わるでもなく。
 やがてその身が光に呑まれて、声は唐突に止んだ。

 盛大にガラスが砕けた音がして彼女の作った空間が崩壊したのは、その後すぐの事だった
 静かな、誰もいない謁見の間には弓を持つ僕一人だけ。

 呆気ない、か。

 お前もそうだったな。
 さっきまでと違って外から入ってくる匂いのある風が、戻ってきた事を確認させてくれた。
 ……ルトが僕を見ていたのは、ソフィアが空を飛び回り始めた辺りで気付いた。
 覗き見か。
 驚きはしたけど、ルトだしなあ。
 ソフィアとルトにどんな関係があったのか、何が理由でルトに執着していたのか。
 実はあまり興味は無いんだけど、嫌がらせになりそうだから後でルトに話してもらおう。
 日頃の変態発言のお詫びもかねて。

「後は、ステラ砦か」

 近くまで行くのが面倒臭いな。
 とは言っても、ここから真っ直ぐ狙うと結構酷い事になる。
 ……星湖も僕の仕業みたいだし、何度も盛大に地形を変えるのは自重しておこう。
 砦までの間に誰かいたら無駄に殺しちゃう事になるし。
 出来れば標的だけを破壊したい。
 僕は上を見た。
 まだ夜は明けていない。
 魔力体を纏ったまま、地を蹴る。
 何メートルか跳躍して、勢いが弱まったら足元に魔力を固めてまた跳躍。
 王都全部が足元の視界に収まり、更に高度を上げる。

「この辺りからなら……いけそうだな」

 足場となる魔力を足元に具現化して、空に立つ。
 前回を思い出してステラ砦の大体の方向を見てみた。
 でもそれだけだと流石に砦そのものは夜の闇も邪魔して見えない。
 やってみようか。
 そこにある、とわかる地形の目星は付けた。
 自分とそこを両端にして集中する。
 周りの全てに意識を広げるんじゃなく、見つめる先と自分を結ぶように。
 日本でも狙う的までの距離が相当あったりした時、たまにやった方法だった。
 何度か試行していると、隘路の先にある光の灯っていない巨大な砦が見つかった。
 あれだろうな。
 それじゃあ、やりますか。
 もう一本何も無い空間から矢を取り出す。
 矢筒を持ち運ばなくてもいいのが巴直伝のこの方法の良いところだ。
 亜空の扉を開くのと、あまり変わらない要領でやれるのも良い。
 別に建物に恨みは無いのだし、番えて引き絞るまでそれほど時間はかけない。
 矢が真紅になるまで待つ必要が無いからだ。

「これにて一件落着、と」

 どれほどの距離があるのか、はっきり言ってわからない。
 何十キロ、いや、もっとかな?
 でも不思議と外す気は全くしていなかった。
 ぼんやりと赤い光の尾を引いて、放った矢は目標の場所に中り、綺麗な光柱を形成した。
 じっと見つめて後の様子も確かめる。
 無事ならもう一発必要だし。
 ……大丈夫だな。
 砦はもちろん、隘路を形成した地形の一部も巻き込んですり鉢状になっている。
 女神の依頼はこれで終了だ。
 足場にしていた魔力を散らす。
 下に引っ張られるように、自由落下が始まる。
 識のいる場所を確認して、その場所めがけて何度か足場を作って軌道修正する。
 無事地面に着地、というか激突した。
 魔力体の中央に身体を置いておけば、別に問題も無い。
 これで次から落とされても全然平気だ。
 なにやら念話では言い難そうにしていた識の姿を確認すると、彼は無事だった。
 無事だったんだけど……。

「なんで、その姿?」

「申し訳ございません。姿を晒してしまいました。思いのほかランサーが」

 深々と頭を下げる識。
 識はリッチの姿じゃなくて、人になっていた。

「大分疲れてるね。早く戻ろう」

「王都はこのままでよろしいのですか? 勇者とも……知らぬ仲ではないようですが?」

 疲れが隠し切れない顔をしながら、それでも識は今後の対応を聞いてきた。
 先輩って思いっきり言ってたからなあ。
 そりゃあ、覚えているよね。
 識も巴も、僕の記憶を見ているならあの人を知っていても不思議は無いけど。
 クラスメイトや友人にはあまり興味を持たれたことがなかったな、そう言えば。

「王都の事ならリミアの人で何とかするでしょ? 王様だってこっちに急いでいるみたいだし、僕らが手を出すとしても後からでいいんじゃない? 事情もわからずほいほい手を出すと、後でまた面倒になりそうだからさ。勇者は……まあ、知ってる人だった。その話は戻ってからね。あんな格好を見られた挙句、あんな格好を見ちゃったんだぞ。正直、どんな顔をして会えばいいかさっぱりわからない」

 特撮ヒーローコスプレ見せてセクシーコスプレ見ましたってどんな顔して会えばいいのやら。
 つくづく、女神に絡むとロクな事が無い。

「久しぶり、ではやはりまずいでしょうか?」

「……無理」

「しかし響はあまりあの格好を恥ずかしがっている様子は無かったですが。私が見た時もさした反応もなく堂々としておりましたし」

「そりゃ、骸骨だったからじゃ……」

「この姿でも見たのですが特段」

「うーん、そんな趣味でもあったのかなあ先輩」

 聞いた事がない。
 ……いやいや、悩むな僕。
 例えそんな趣味があっても、周知されている訳が無い。
 大体先輩の私服なんて一回偶然見たくらいだ。
 何も知らないと同じじゃないか。
 あほらしい。
 さっさと戻ろう。
 僕の事だ、下手に長居すれば鉢合わせも考えられる。
 今はこの辺りに生存者は誰もいないみたいだけど、それでもね。

「それと、ツィーゲの冒険者ですが。救えませんでした」

「仕方ないよ。冒険者はそういう仕事でもあるんだから。自分で選んで戦争しにリミアに来たんだ。覚悟はしてたでしょ」

「だと良いのですが」

「先輩が無事ならとりあえず問題ないよ。あんまり気にしないで、ちょっとでも寝とこう」

「……そう言えば、巴殿たちから連絡がありませんな」

「多分もう亜空でしょ。念話したら報告をお楽しみに、って含み笑いしてた」

「相変わらず、余裕ですなあ……あのお二方は」

 識がどこか遠い目をしている。

「向こうには竜殺しも勇者もいなかったんだから、楽だったんじゃない? あんま自分を責めない方がいいよ、識。本当に良くやってくれてるんだからさ」

 何だか落ち込んでいるようだったから励ましてみる。

「若様も、ソフィアを余裕であしらったご様子。傷も汚れも見あたりませんし」

 重い視線、識はランサーに相当苦戦したみたいだな。
 でも、慰める為にそんなこと無いよって言うと、もっと凹むケースに思えるし……。

「まあ、自分の力を知る手頃? な相手だった」

「……もっと、強くならねば」

「ああ、力になれる事があったら僕も付き合うね」

「是非! ……それはそうと若様、勇者達の仲間を一人助けまして。奴らから礼をしたいと言われたのですが、何を求めましょうか」

 あ、ロッツガルドの識に戻った。
 ずっと引き摺らないのも識の長所だよな。
 ……散々巴と澪にぼこぼこにされて後天的に身につけた長所だけど。
 素晴らしい長所には違いない、うん。
 僕も見習わないとなー。

「お礼。識の姿を見なかった事に、でいいんじゃないの?」

 そうしないと最悪、識をあまり学園都市とか人目の多い場所で出せなくなって人手が足りなくなって、僕がまた商売で矢面に立つことになって……。
 今日の数倍は恐ろしい事態になる。
 胃痛で寝込みそう。
 レ、レジとか接客だけなら僕でも日本人のスマイルゼロ円精神で何とかできる気もするんだけどねえ。

「それは既に言ってみたのですが、どうなることか」

「そう……。だったら、ああ、確か先輩のパーティにはローレルの巫女さんがいるんだよね?」

 良い事思いついた。

「ええ、チヤと言いましたか。ヒューマンにしては相当魔力値の高い娘でした。将来は有数の巫女となるでしょうな」

「だからさ。こういう感じで……」

 考えた事を識に話す。

「承知しました。では」

「うん。帰ろう、亜空うちに」

 まさかこの時間から宴会にはなっていないだろうけど。
 向こうも大勝利だったら、明日は宴会でもいいかな。
 能力の使いすぎで若干足元がふらついている識を気遣いながら。
 僕らは静かに王都を後にした。
感想返しは週末に出来る予定です。
書籍は今日発送開始との事ですので、恐らく早いところで明日から流通するかと思います。遅くとも週明けには本屋さんに並ぶのかと思うと……。

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