藻を使ったバイオ燃料実用化へ実証施設 熊本

藻を使ったバイオ燃料実用化へ実証施設 熊本
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バイオ燃料の原料として期待されている光合成によって二酸化炭素から油を作る藻を培養する実証プラントを大手自動車部品メーカーが熊本県内に建設し、本格的に稼働しました。
この実証プラントは、愛知県に本社を置く大手自動車部品メーカー「デンソー」が熊本県天草市の廃校になった中学校の跡地に建設したもので、一連の熊本地震の影響で当初の計画よりもおよそ3か月遅れてこのほど本格的に稼働しました。
プラントでは、光合成によって二酸化炭素から油を作るという藻を長さ80メートル、幅8メートルの「培養槽」と呼ばれる屋外プールで大量に培養します。
メーカーでは、平成30年度までに藻を大量培養する技術の確立を目指していて、藻を使ったバイオ燃料の実用化に向けて研究を進めることにしています。デンソー新事業推進部天草事業所の渥美欣也さんは「天草は、日照が強く、かなりの収量が見込める手応えを感じている。熊本地震で当初より3か月遅れたが技術の確立を目指して頑張っていきたい」と話しています。

藻を使ったバイオ燃料 国も注目

バイオ燃料は植物や農産物それに廃棄物などを原料にした燃料で化石燃料の代わりに利用することで温室効果ガスの削減につながると期待されています。バイオ燃料の実用化に向けた実証実験は国内では「藻」のほかにも企業や大学などで木材のくずや生ゴミ、廃棄された油などを原料に行われています。
現時点ではいずれも燃料を大量につくれなかったり、化石燃料と比べてコストがかかったりするため、実用化に課題もあります。
ただ、藻を使ったバイオ燃料は植物の光合成を利用することから二酸化炭素の排出がほかの材料と比べて少ないという利点があります。
このため、2020年東京オリンピック・パラリンピックで、バイオ燃料を使った航空機を運行させるという国の構想でも有力な候補として注目されています。