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【社会】

グリーン車用スロープあるのに… 車いす乗車を誤って断る

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 千葉県我孫子市のJR我孫子駅で五月、車いすの半身まひの男性(74)が常磐線のグリーン車利用を希望した際、駅員が「(グリーン車のドアに)対応するスロープがない」と誤った説明をし、車いすに座ったままでの乗車を拒否していたことが分かった。男性は同伴する妻(74)に車いすを預け、立ち上がって脚を引きずってグリーン席まで移動した。(皆川剛)

 男性の妻から本紙に手紙が寄せられたことをきっかけに、JR東日本に問い合わせて分かった。バリアフリー研修が不十分な実態に、同社は「駅員が正しい運用を知らなかった。周知を図りたい」としている。

 男性は五月十一日午前、病気治療で都内の病院へ向かうため常磐線を利用。それまで普通車両に乗ることが多かったが、「通勤通学客が多く、車いすで乗車すると迷惑をかけてしまう」との思いから、この日は列車到着の三十分前に我孫子駅に着き、グリーン車の利用を申し出た。

 車いすの人が乗車する際は、ホームと車両との間の隙間や段差を埋めるため、駅員が板状のスロープを用意する。

 常磐線は普通車のドア開口部の幅が百三十センチ、グリーン車は八十一センチ、特急車は九二・六センチと異なる。そのため、駅には普通車用の幅八十四センチのスロープと、グリーン車・特急車用の七十四センチのスロープを備え、使い分けている。

 しかし男性に対応した駅員はこのことを知らず、「スロープが、グリーン車の車両(の幅)に対応していない。普通車への乗車になります」と案内した。JR東によると、我孫子駅には同様にスロープの正しい運用を知らない駅員が複数いたという。同社広報課は「事前にお客さまの利用状況を伺い、適切なご案内をするようあらためて周知する」としている。

 男性の妻は「誤った対応を受けたのは私たちだけではないと思う。現場の人はいつも懸命に車いす利用者に対応してくれ、感謝している」としつつ、JR東に対し「運用をしっかりしてほしい」と求めている。

 

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