■がん、高齢、公約丸投げ……知事の資質に疑問あり
がん検診への並々ならぬ熱意は、鳥越氏自身の闘病体験から来たものだろう。氏はこれまでがんのために4回の大手術を経験している。2005年に直腸がんを患うと、07年には転移により左肺を一部切除、同年8月には右肺も手術。09年、今度は肝臓に転移し、切除手術を受けた。氏が一私人であるならば、「がんと粘り強く闘う勇敢な人」という評価は間違いないのだろうが、都知事選候補となると、体力的な不安を払拭することは難しい。そもそも年齢だけを考えても、有力候補者とされる小池百合子氏や増田寛也氏は64歳、鳥越氏は76歳と、ちょうど一回り年齢が上だ。はたして、がん手術後の76歳男性に都知事のようなハードな仕事は可能なのだろうか。
「一般論として、年齢的にはかなりきついでしょう。がんの闘病を繰り返せば、どうしても体力は低下してしまう。少なくとも体力の点では他の2人の候補より見劣りがします」(上氏)
政策の不透明感を晴らすためにも突っ込んだ話を聞きたい都民は多いだろうが、都知事選候補者の討論が行われる予定だったフジテレビの『新報道2001』に関して、増田寛也氏がツイッターで「鳥越氏が出演を見合わせて中止になった」と発言。今のところ、話題になるのが会見などでの言い間違いばかりというのはいただけない。
▼本件で指摘した事項に関し、事実の確認を求めたところ、鳥越俊太郎事務所より下記の回答があった。
鳥越候補は、東京都のがん検診受診率について、「まずは50%、最終的には100%を目指します」としています。
偽陽性のがんの発見は、がん検診の受診率が向上すれば、おおむねそれに比例して増加するものと推測されます。偽陰性や偽陽性、過剰診断など、がん検診に不利益があることは承知していますが、現在50%にも達していない東京都の受診率を向上させていくことの方が、都民の利益になるとものと考えています。早期発見・早期治療により、健康長寿社会を目指したいと思います。
また、鳥越候補の体力面については、4年前のホノルルフルマラソンを完走し、今も週3回はジム通いをしていくことなどから、指摘は当たらないと思います。
唐仁原俊博=文 時事通信フォト=写真
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