ARF:親米・親中で激しい外交戦、韓国はいずれにも組せず

 26日にラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)は「親米連合軍」と「親中連合軍」による一歩譲らぬ外交戦が展開された。南シナ海の領有権問題、韓半島(朝鮮半島)への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題などをめぐり米中の覇権争いが激化し、親米国と親中国で明らかな戦線が形成された。

 親米グループは南シナ海問題などで中国を強く圧迫。ARFの議長声明には中国の南シナ海に対する領有権主張を否定した仲裁裁判所の決定内容が反映されるべきだと主張した。フィリピン、ベトナム、ブルネイなど南シナ海で中国と利益が衝突する国々がそろって賛同した。

 一方、中国はカンボジアなど伝統的な友好国を集め、米国の攻勢に対抗した。中国の王毅外相は24日、ラオス入りした直後からミャンマー、カンボジア、ラオスなどと相次いで接触し、南シナ海問題でASEAN内部の分裂を図った。

 中国はまた、韓米によるTHAAD配備に対する懸念を議長声明に盛り込むべきだと主張し、韓米と衝突した。NHKによると、ARFの参加国に回覧された議長声明案には、米国の韓半島へのTHAAD配備について、「複数の外相が懸念を表明した」という表現が入っているという。THAADに反対してきた中国の立場が声明案に反映された形だ。

 韓国政府はTHAAD問題が議長声明に含まれれば、国際社会の北朝鮮に対する圧力が弱まるだけに、阻止に総力を挙げる方針だ。外交筋は「南シナ海のような大きな課題では、結局米中どちらかの選択を強要されることを今回のARFが示している」と指摘した。

 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(外相)は昨年、「米国と中国から同時にラブコールを受けることは祝福だ」と述べた。しかし、今回のARFで韓国はTHAAD配備に反発する中国と南シナ海の自由航行を強調するよう求める米国の間で対応に苦慮した。韓国外交部(省に相当)関係者によると、尹長官は同日の会議で、「(南シナ海問題が)平和的かつ創意的な方法でうまく解決されることを望む」と述べた。米中のいずれかを支持することはないとする立場の表明だ。

 今回のARFはこれで閉幕したが、議長声明はいつ出るか不透明な情勢だ。ARF議長声明に法的な拘束力はないが、「中立的文書」という象徴性があり、特定事案で対立している当事国は少しでも自国に有利な内容を盛り込むために外交努力を重ねてきた。

ビエンチャン=李竜洙(イ・ヨンス)記者
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