THAAD反対派によるもう一つの主張は「THAADが対北朝鮮用ではなく中国監視用であり、THAADを導入すれば、米中の戦略的対立に巻き込まれ、韓半島(朝鮮半島)が戦場になる」というものだ。THAADが米中の戦略的対立にとってそれほど重要ならば、中国は2006年から13年にかけ、日本に探知範囲2000キロメートルのTHAADレーダー2基が配備された際に騒ぎ立てるべきだった。当時沈黙していた中国は、探知距離がはるかに短い(800-1000キロメートル)という韓国のTHAADだけを問題している。
中国はTHAADを中国けん制用だと主張するが、韓米がレーダーの方向を変えれば、中国の偵察衛星がそれをとらえることができる。米国の衛星が北朝鮮の核実験の兆候をとらえるのと同じ理屈だ。すなわち、慶尚北道の星州に配備されるレーダーは中国けん制用ではなく、中国をレーダー観測しようとすれば、すぐに判明する。その上、中国は吉林省、福建省などに最大探知距離5500キロメートルのレーダーを配備し、韓半島と日本を細かく監視している。「自分は構わないが、他人は駄目だ」というのが中国式の論理だ。
韓国のTHAAD反対派は中国のそうした覇権的態度を批判するどころか、経済報復の可能性を挙げ、中国の意に沿おうとする。経済的損失は一時的なものだが、安全保障を失えば、あらゆるものを失う。THAAD反対派が「中国に対する幻想」を捨ててこそ、THAADをめぐる論議が合理性を取り戻すことになる。