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最低賃金、過去最大24円上げ 中小支援へ助成金拡充

2016/7/27 10:57
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 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は26日、2016年度の最低賃金を全国平均で時給24円引き上げ、822円にする目安を決めた。現在の決め方になった02年度以降で最大の上げ幅となる。引き上げ率は3.0%で「3%引き上げ」を求めた安倍晋三首相の意向に沿った。これを受け、同省は中小企業の賃上げを支援するための助成金を拡充する方針だ。

 これまでは15年度の18円が最大の引き上げ幅だった。上げ幅が20円台に乗るのも初めて。5年連続で2ケタの引き上げとなり、第2次安倍内閣発足以降の4年間で70円以上、上がった。

 引き上げ幅の目安は都道府県を経済状況などに応じてA~Dの4つの分類に分けて示す。東京、神奈川、大阪などA地域は25円、埼玉や京都などB地域は24円、北海道や新潟などC地域は22円、高知などのD地域は21円上がる。

 目安通りに引き上げれば、最低賃金の最も高い東京は932円、最も低い鳥取、高知、宮崎、沖縄の各県は21円高い714円になる。地域差は昨年度の214円から218円へわずかに広がる。

 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「人手不足が深刻な状況では企業側は賃上げを受け入れざるを得ない」と指摘する。

 最低賃金の引き上げは中小企業にとって負担が大きいため、国は支援に乗り出す。生産性の向上につながる設備や機器の導入費用の一部を補助する厚労省の業務改善助成金は、時給800円未満の労働者の賃金を60円以上引き上げることが支給条件となっている。

 時給800円未満についてはこの要件を外す。60円以上の条件も最低賃金の水準が低い地域は30円以上へと要件を大幅に引き下げる見込みだ。地域によって助成に必要となる賃上げ幅に差をつける。

 非正規労働者の処遇を改善するキャリアアップ助成金も拡充する。現在は2%の賃上げで助成しているが、3%の引き上げでさらに増額する。

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